研修マスターの6つ星“指南術”

【第1回】チームを育てる人の「言い方」つぶす人の「言い方」

チーム目標の達成、メンバーの心身の健康への配慮、離職防止など、マネジメント職の負荷は増大しています。しかし、このような悩みが「言い方」1つで解消するとしたら。

上司の下で活きる部下、沈む部下

某チェーン店の店長研修に企画担当として携わり、研修に立ち会っていたときのこと。後方からサーッと光が射し込むような感覚が。いったい何?と思い振り返ると、そこには福福しいお顔の方が。その方は人事部長。研修スタッフによると、その部長は「業績低迷店の立て直し人」という異名をお持ちとのこと。部長が業績低迷店に赴任すると、どの店舗もメンバーがイキイキとし、業績をみるみる回復させてきた実績があるというのです。

一方で、「原田さん、ここだけの話なんですがまた1人離脱者が…」という話を人事部の方からうかがうことも。この離脱者というのは、出社できなくなり長期休暇に入る人のこと。また別の会社では、「とうとうあの課には部下がいなくなりました…」という話も。どちらの会社も、優秀といわれている管理職の下に配属された部下が、心身のバランスを崩す、あるいは、短期間で辞めるというのです。

このように、特定の人の下で、部下が輝きを放つこともあれば、急速に失われることもある。私はこのことに着目し、何が違いを生んでいるのかを知りたいと考えました。

その原因は「言葉の遣い方」にあり

その結果、ある違いを発見。それは言葉の遣い方にありました。
あるとき「立て直し人」の部長に、その秘訣をお聞きしました。部長は「困りましたね。特別なことは何もしてないんですよ。1日2日、そのお店の一人ひとりの動きを観ていると、ちょっとズレているところがある。そのズレを見つけて伝える。スタッフはそれをやってみる。

すると、前よりもスムーズに動けたり、ミスが減ったりする。そうすると本人の表情が明るくなる。明るくなったら『できたね』と声をかける。例えば、そのズレはささいなことです。お客様が入店されたときの『いらっしゃいませ』のお声がけ。お客様に体を向けていない人がいる。そういう人が、お客様に『いらっしゃいませ』と体を向けて言えるようにする。それだけです」とおっしゃっていました。

一方で、部下が離れていくタイプの人と接していると、ルールや原則を重視する「~~すべき」「当たり前」や批評的な「○○は××だな」などの言葉を多用しています。

イメージしやすくするために、後者のタイプの指導場面を、あいさつを例にしてみましょう。あいさつができていない人を指導する際「お客様がご来店されたらすぐに「いらっしゃいませ」と言うべきだ。角度はこうだ」という言い方をします。加えて「○○はあいさつ1つ出来ないのか」と批評します。
お客様が入店された時の「あいさつ」というシチュエーションは同じでも、自分から行動を変えてみようと思える「言い方」と、言われたからやるという「言い方」。そこには違いがあるのです。

相手が動きやすくなる言い方をしてみては?

実は私は「~~すべき」と考えるタイプでした。そのため、メンバーと衝突したり成果が出なかったりすることがありました。しかし、このことに気づいてから「成果がでないことや、仕事にやりがいを感じられず辛いのは、メンバーだ」と考えるように。以来「どう言えば、相手が動きやすいだろうか?」と考えてから接するようになったのです。

心がけるようになってから、メンバーとのチームワークが良くなったのはもちろんですが、自分の精神的な負担が大幅に軽減され、イライラすることがほとんどなくなりました。成果もそれに比例しています。「相手が動きやすくなる言い方」工夫してみませんか?

(このコラムは2015年6月3日の記事を再掲載しています)

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