新入社員の本音を大公開。アンケート結果から見えた早期離職の傾向と対策
期待や希望を胸に抱き4月に入社してきた新入社員が、日を追うごとに意欲をなくし、やがて早期離職につながってしまう。そんなケースを目にしたことがある方は少なくないはずです。
その原因は、バリューの浸透度にあるかもしれません。
今回は、新入社員を対象に2019年3月から10月にかけて独自に実施したアンケートの結果を公開します。普段社内では言いづらい本音を含む、新入社員の生の声です。そしてこのアンケートから見えた傾向を基に、2020年の新入社員の早期離職を防止し、ロイヤリティとモチベーションを上げるための対策について解説します。本レポートが、新入社員育成のための参考になれば幸いです。
●調査目的:
2019年度新入社員の方々が入社当初に抱く会社や仕事に対する考え方・傾向を知り、社内教育の一助となること。
●調査対象:
2019年度新入社員(有効回答数:春697名 秋310名)
●調査期間:
春 2019年3月1日(金)~2019年5月31日(金)
秋 2019年8月1日(木)~2019年10月31日(木)
●調査方法:
アンケート用紙を配布し、各人の匿名性を保証した上で回答を依頼した。
入社半年が経過した2019年度新入社員が持つ3つの傾向
この度のアンケートから確認できた2019年度新入社員の傾向は、主に以下の通りです。
- 2人に1人は入社後半年の間に「辞めたい」と考えた経験あり。
- 会社への主な不満・不安は「労働時間・業務量」と「成長実感不足」。
- 良い意味でも悪い意味でも、「人」による影響が最も大きい。
2人に1人は入社後半年の間に「辞めたい」と考えた経験あり。ロイヤリティは30%も低下。
「辞めたいと思ったことはありますか?」の項目において、「ある」と回答した割合は56.7%、「ない」と回答した割合は43.3%と、ほぼ同じ結果でした。
※図はクリックすると拡大します(以下の図も同じ)。
また「今の会社を好きですか?」の項目に「とても好き」「好き」と回答した割合の合計は、春時点の80.8%から秋時点では53.2%と、大きく減少しました。
なお、「とても好き」「好き」を選択した人の内、約60%の人が人間関係を理由に回答していました。
それから、「今の会社でどのくらいの期間、働こうと考えていますか?」の項目に「1年未満」、「1~3年」、「4~5年」と回答した割合の合計は64%でした。春時点では49%だったため、15%も増加しています。理由を見てみると、内半数は入社当初から転職や起業を視野に入れているためでしたが、残り4割は会社への不満からの回答でした。
しかし半数は楽しんで仕事をしている
「今の会社での仕事は楽しいですか?」の項目において、「とても楽しい」「楽しい」と回答した割合の合計はおよそ半数。その内61%は業務のやりがいや成長実感、34%は人間関係を理由に挙げていました。
なお、「どちらでもない」を選択した人の大半は、まだ覚えることが多く、受動的な時間が長いために判断しかねていることを理由としていました。
「楽しくない」「全く楽しくない」と回答した人は、3分の2が業務の大変さややりがいを見いだせないこと、3分の1が人間関係や上司の言動を理由に挙げていました。
会社への主な不満・不安は「労働時間・業務量」
「今の会社の不満を友人にぶちまけるとしたら、何を話しますか?」の項目において最も多かったのは「労働時間・休日」に関する回答でした。
入社前と入社後に感じたネガティブなGAPは何かを問う項目においても、やはり「業務時間・量について」の回答をする人が最も多くいました。
そして、春時点では「まだ無い・分からない」に含まれていたであろう「業務内容」や「理念・社風・企業文化」への不満が出始めました。
「仕事における不安、悩みはどんなことがありますか?」の項目において最も多かったのは、「自分の能力・成長」に関する回答でした。また、こちらでも「勤務環境・労働時間・休日」に関する回答が多く見受けられました。
どの設問においても「人間関係」を理由に回答する傾向が強い
「今の会社を友人に自慢するとしたら、どんなことを話しますか?」の項目において最も多かったのは「人間関係・他社員について」に関する回答でした。
春時点に比べ「仕事内容・やりがいがある」等の実態に関する魅力を挙げる人が増えており、会社への理解が深まっていることが分かります。そうした中でも「人間関係・他社員について」の回答が最も多いのは変わらず、むしろその割合は増加しました。
入社前と入社後に感じたポジティブなGAPは何かを問う項目においても、やはり「人について」の回答をする人が最も多くいました。具体的には、「優しい」「仲がいい」「明るい」といった単語を含む回答が半数を占めました。
ただし、「今の会社の人間関係に満足していますか?」の項目において「とても満足」「満足」と回答した割合の合計は62%と、そこまで高くはありません。
「不満」「とても不満」と回答した人は、上下関係や指導方法に対して不満を持っていたり、ハラスメント系の悩みを持っていたりしました。
「周りの先輩の足りない点はどんな点だと思いますか?」の項目においても、後輩への指導方法を筆頭に、気遣い、優しさといった「人とのかかわり方」を上げる人が最も多いという結果でした。
新入社員の早期離職を防ぎ、モチベーションやロイヤリティを向上するには
改めて、本調査によって明らかになった2019年度新入社員の傾向をまとめると、以下の3つになります。
- 2人に1人は入社後半年の間に「辞めたい」と考えた経験あり。
- 会社への主な不満・不安は「労働時間・業務量」と「成長実感不足」。
- 良い意味でも悪い意味でも、「人」による影響が最も大きい。
こうした傾向に対し、モチベーションやロイヤリティを向上するポイントは①先輩・上司に『バリュー(価値観・行動指針)』を再度浸透させる、②『バリュー(価値観・行動指針)』をメインに教育する、の2つです。
①先輩・上司に『バリュー(価値観・行動指針)』を再度浸透させる
春時点のアンケート結果によると、2019年の新入社員は、『ヒト重視型』のようです。
「人」と「雰囲気」を見て入社を決め、入社当初は「人間関係」や「先輩の魅力」よってモチベーションやロイヤリティを左右され、「他者からの評価」を気にし、「明確さ」を求めているという特徴がありました。また、「何をするか」より「誰とするか」に重きを置いていました。
この傾向は秋時点でも変わっていませんでした。まだ教わることの方が多く、成果も出にくい1年目の間はこの傾向が続くと見られます。
社内の人間関係や、先輩、上司の魅力が新入社員のモチベーションにそっくり影響するものと思って差し支えありません。
したがって、全ての先輩や上司の方は、常に見られている意識を持っておく事が必要です。中でも教育担当になった方は特に気を使う必要があります。
また、入社当初というのは、知識不足により物事を多面的に捉えることが難しい時期です。
伝え方のニュアンスが違うだけでも「言っていることが違う」と思われかねません。
前述した通り、2019年の新入社員には「他者からの評価」を気にし、「明確さ」を求めているという特徴もあります。今回のアンケートでも、分からないことに対する不安や、教えてもらえないことに対する不満がよく挙げられていました。そうした中で教育を進めるには、まずは教える側の意識を統一させることが必要です。
伝える手順を完璧に揃えるという訳ではありません。それを行う目的やゴールを統一させるのです。そうすれば、自分で考え、フレキシブルに対応する思考を育てることが出来ます。
『バリュー(価値観・行動指針)』は会社が求める正解が文言化されたものですので、基本はこれを軸に教育を進めるのが良いでしょう。
そのためには、まず先輩・上司に『バリュー(価値観・行動指針)』を再度浸透させることが必要なのです。
②『バリュー(価値観・行動指針)』をメインに教育する
前述した通り、まだ覚えることが多く成果も出づらいこの時期は、自分の能力や失敗することへの不安、知識が無くどうしたらよいかが分からないことに対する不安が大きいのです。今回のアンケート結果で頻出した「成長実感不足」という不安、不満には、ここから来ているものが多く見受けられました。
また、「どうしたらいいか分からない」という時間が多いほど業務時間は長くなりますので、「拘束時間が長い」「業務量が多い」という不満が出やすくなります。時間が解決してくれる問題とはいえ、モチベーションダウン、ひいては生産性や成長速度に支障をきたすため、早めに解消しておく必要があります。
それには、全社統一された明確な判断基準である価値観や行動指針といったバリューを提示することが有効です。
また、そもそもバリューに納得しておらず、浸透度合いが甘い状態だと、「会社と同じ方向を向かされる、やらされる」という状態になってしまい、不満が出やすくなります。
慣れない仕事への抵抗感や、上手くいかないことが多いこと、想定していた内容と異なったこと、会社の方向性に納得できていないことから来る不満(考えや体制が古い、理不尽)、ルールが明確でないことから来る不満等が積み重なる前に、まずは新入社員に対し、バリューの浸透を促す教育を行いましょう。
その後の業務や指導においても、バリューを軸としたアプローチをしていきます。
そして、出来たことは褒めるなどして、その基準が正しいということを伝えるとともに成功体験を積ませましょう。これは人間関係構築においてもプラスに働きますので、意識して行ってください。
以上の通り、新入社員の定着と、モチベーションやロイヤリティを向上するには、『バリュー(価値観・行動指針)』をメインとした教育、および、先輩・上司に『バリュー(価値観・行動指針)』を再度浸透させることが必要であると考えます。
全社員のバリュー浸透度を高めることが、新入社員の「早期離職防止」「モチベーション・ロイヤリティ向上」につながる
これらのポイントをふまえた施策を自社のみで行うには限界があります。この度の調査においても、第三者が実施しているアンケートの中でなければ言い出すことのできないような本音が多々見受けられました。
弊社は、こうした調査による新入社員様の声や、科学的根拠に基づくオリジナルメソッド(情熱マネジメント®)を用いて、バリューを社員一人ひとりに浸透させるための研修を個社毎に開発しております。
■情熱マネジメントとは:http://www.jyounetsu.co.jp/blog/post/4967
研修転移を見据えた設計や、ビフォーアフターをご報告することで費用対効果が目に見えるといった、他社にはない特徴もございます。社員の皆様に『自社の理念や行動指針を体現し、生産性高く働き、成長や幸せを感じてもらいたい』とお考えでしたら、ぜひ一度お話をお聞かせください。
年々、新卒の有効求人倍率が高まり、企業は空前の採用難となっています。にもかかわらず採用できた貴重な新入社員様の早期離職防止・生産性向上は、大きな経営課題と言えます。本調査が、その解決の一助を担えておりましたら幸いです。
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