第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

目標によるマネジメントはオワコン! 企業が今、バリュー経営にシフトすべき理由

以前のコラムで、ビジョンよりバリューを重視する企業が増えているというお話をしました。

“ビジョン(いつまでに、どこに行きたいか?)は、時代の変化に合わせて変更していく可能性が高く、数年後のビジョンに沿って採用や育成を行うと、進めている最中に突然方針が変わってしまうことがあるため、混乱を招くことになる。
そこで、朝礼暮改にならないミッション(企業の存在意義)とバリュー(価値観、行動指針)を全面に打ち出して、そこに共感する人材を採用し、体現できる人材を育成することが、最重要になっている。”

というのがその理由でした。

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なぜ今、ビジョンよりもバリューが注目されるのか?
https://at-jinji.jp/expertcolumn/155
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上記は、日本の一部上場企業やベンチャー企業の経営者、人事責任者の方々(約40社55名)に質問した結果得られた回答を基にお話ししたのですが、どうやら世界的に見ても同じことが言えるようです。

今回は、前回のコラムを踏まえつつ、世界的に見てもバリューで企業経営や人材育成を行なう企業が増えているということの解説と、なぜビジョン重視からバリュー重視に変化したのかについて考察していきたいと思います。

バリューを重視する風潮は、日本だけのものではない

近年、バリューへの注目が高まったことで、世界を牽引する大企業においてもバリュー浸透・教育が行われるようになりました。皆さんも該当する企業をいくつか思い浮かべることが出来るのではないでしょうか。

例えば、トヨタ自動車やソフトバンク、IBM、資生堂、グーグル、メルカリ、LINE、スターバックス等。あげればキリがありません。国内の企業がよく挙げられることが多いため勘違いされがちなのですが、バリューを重視しているのは何も日本だけではないのです。

まず、有名なコンサルタントであるマイケル・ヘンダーソンの論理をご紹介します。

イングランド生まれの企業人類学者であり、組織開発コンサルタントとして活動するマイケル・ヘンダーソンは、『Leading through Values』という書籍の中で、企業経営の管理方法は以下のように移り変わっているという論理を展開しました。

20世紀前半:MBI(Management by Instructions)=命令による管理が有効な時代

20世紀後半:MBO(Management by Objectives)=目標による管理が有効な時代

21世紀:LTV(Leading through Values)=バリュー(価値観)によってリードすることが有効な時代

2019年現在、21世紀になってから約20年が経ちますが、皆さんの会社、組織では、バリュー(価値感)による企業経営、人材育成を行えていますでしょうか?

また、人文科学研究所として設立し国際的に高い評価を得ているアスペン研究所と、戦略系コンサルティング会社であるブーズ・アレン・ハミルトン社が2005年に発表した研究結果によると、企業の経済的価値(ある経済活動を行った結果から経費等を差し引いた、実質的な利益)の創造は、

・バリュー(価値感)への、社員の姿勢
・バリュー(価値感)の、意思決定への反映度合
・バリュー(価値感)の、組織への浸透度

といった、バリューに関わる要素と極めて強い相関の関係にあることが明らかにされています。

このように、バリューは、世界中の企業経営を始めとする話題に欠かせないキーワードとなっています。

「時代に左右されないものを礎に置く」方が大きな成果を得られる

冒頭に書いた通り、日本の一部上場企業やベンチャー企業の経営者、人事責任者の方々(約40社55名)にビジョンよりバリューを重視する理由を質問したところ、「時代に左右されないものを全面に打ち出し、そこに共感する人材を採用し、体現できる人材を育成することが重要であるため、ビジョンよりバリューを重視する企業が増えた」というのが主な回答でした。

この「時代に左右されないものを礎に置く」ということが、具体的にどういった結果をもたらすのかについて見ていきます。

これについては、先ほど挙げた『Leading Through Values』に興味深い研究結果が載っていました。業績変動に影響を与えた要因について調べたところ、「バリュー(価値感)の延長にある文化」による影響が17%だったのに対し、「戦略」が与えた影響は2%だったそうです。

また、あの有名な経営学者であるピーター・ドラッカーも、「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という論理を展開しています。

この2つに共通するのは、「『戦略』よりも、会社が大切にする『バリュー(価値感)』や、そのバリューが浸透して出来上がる『企業文化』を醸成する方が、企業の発展、継続に大きな影響を与える」ということです。

やはり、変わることの無いバリュー(価値感)によるリードを行なうことは、時代に左右されやすい戦略によるリードよりも、大きな成果を得られると考えて良いと言えるのではないでしょうか。

「豊かな時代」に突入したことで、企業経営における優先度が変わった

このような理由で「目標によるマネジメント」から「バリュー(価値感)によるリード」が有効という考え方に変わったわけですが、なぜこの20世紀後半から21世紀にかけてというタイミングだったのでしょうか。

この疑問に対する答えは、以下のピーター・ドラッカーの言葉に隠されていると考えております。

“知識労働者たる者は、自らの組織よりも長く生きる。したがって、自らをマネジメントすることができなければならない。(中略)つまるところ、これまで存在しなかった問題を考えなければならない”
(ピーター・ドラッカー著『プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか』)

これはどういうことかというと、「なぜ、働くのか?」という問いに対する答えが、「生きるため」(狩猟・農耕時代)と、「より豊かに生きるため」(産業工業・知識情報時代)のように自然に用意されていた時代から、用意されない時代になった、ということです。

必死に働かなくても豊かに生きることが可能な部分が増えたため、「なぜ、働くのか?」に対する答えが見えなくなってしまったのです。豊かになったこと自体は喜ばしいことですが、仕事が“必死にならなくてもいいこと”になったことで、それをすることに対する精神的な負荷の感じ方も合わせて増幅してしまいました。

それに対応するために、「なぜ、働くのか?」の答えを自分で描き、決定し、頑張る理由・成長する理由・情熱を燃やす理由をセルフマネジメントしなければいけない時代になっているのですが、ドラッカーが言うように、我々はまだ、それに対応しきれていません。

この目標が用意されなくなった20世紀後半から21世紀というタイミングに合わせて「別に一生懸命仕事しなくても、目標達成(豊かに幸せに生きること)はできますけど……」と考える人が生まれ、年々増え続けています。

そこで、目標でマネジメントするのではなく、「どんな考えを大切にして働くのか?」というバリュー(価値観)によって人をリードすることが有効な時代になったのです。

前回のコラムでご紹介した通り、バリューを中心とした『バリュー経営』には、様々なメリットがあります。

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就職活動をしている学生が企業選びで最も大切にしてほしいこと
https://at-jinji.jp/expertcolumn/201
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時代に合わせ、必要に迫られて考える必要が出てきた部分ももちろんありますが、ぜひこれを機に、バリュー浸透の仕組みづくりやバリューの教育、バリューによる採用活動、バリューに基づく評価制度、といった『バリュー経営』に本腰を入れてみてはいかがでしょうか。

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