「評価面談=ストレス」という状態からの脱却
従業員のパフォーマンスが上がる「フィードバック」の実践法
マネジャーが従業員の行動や姿勢に対して評価・アドバイスをする「フィードバック(評価)面談」。取り組み方が企業によって大きな差があることを知っていますか?
何年も仕組みをアップデートしていない企業では、「フィードバック=苦痛やストレスに満ちたもの」と捉えられがち。従業員のパフォーマンスを上げるフィードバック面談の実践法について解説します。
【編集部より】執筆者の加留部氏が基調講演で登壇。人事の学び舎vol.18:「現状への対処」からの脱却。マネージャー・人事に求められる人事評価のアップデートが2021年3月4日開催
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なぜ今、「フィードバック」が注目を集めているのか
近年、日本における「マネジメント」は過渡期を迎えています。終身雇用・年功序列の崩壊、働き方改革に端を発する長時間労働の是正や、ハラスメント問題の顕在化といった社会の変化によって、これまでの上意下達のマネジメントは限界に近づいてきています。
代わりに求められているのが、従業員一人ひとりのキャリアと向き合い、寄り添ってサポートすることでパフォーマンスを上げていく「ピープルマネジメント」です。最近、改めて「1on1※」が脚光を浴びているのも、このような時代背景もあってのことでしょう。
※1on1ミーティング:メンター(多くの場合マネジャー)とメンバーが、1対1で対話をする場のこと。
この大きな波の中で、「フィードバック」のあり方も見直す必要が出てきています。
ビジネスシーンにおける「フィードバック」とは、相手の成長を目的として、具体的な行動や姿勢に対して対面やテキストで評価・アドバイスをするもの。それを一方的に伝えるだけでは、「評価に納得がいかない」「自分を見てくれていない」「成長するために、何をしたらいいのかわからない」といった不満を生むことになります。面談で評価を伝えるだけのフィードバックではなく、従業員の更なる成長・成功を促すことが求められています。
従業員が自分の現在地を正しく理解し、次の成長へ向けて課題を前向きに改善していく意欲を持つためには、フィードバック面談をどのように行えばいいのでしょうか。重要なのは、フィードバックを受ける従業員、フィードバックをするマネジャー、そして人事の三方が行う「準備」です。
従業員は、「成果の確認」「セルフレビュー」を実施せよ
①自分自身の成果の確認
②セルフレビュー(自己評価)
多くの企業は3カ月、6カ月、もしくは1年おきにフィードバック面談を実施していると思いますが、自分の頭の中にしっかりと残っているのは、直近の1〜2カ月の出来事が関の山です。そのため、該当期間における自分の目標達成度やそのために行った活動を、事実として確認しておくことが必要です。
また、フィードバックを伝えられる前にセルフレビューを提出することで、「自分がどう思っているか」を示し、認識にズレがないかが確認することができます。
自身の活動の振り返りができるという利点もあります。以下の観点からセルフレビューを行うと、振り返りのレベルが高まり、自己成長へとつながります。
・自己評価
・自己評価の根拠となった事実
・チームや組織に与えた影響
・改善点
マネジャーは、自社の制度やフィードバックの目的を「正しく理解」せよ
①自社の評価制度の正しい理解
②自社のフィードバック面談の目的の理解
③フィードバック対象者の事実情報の収集
④フィードバックの作成
まずは大前提として、評価制度を正しく理解し、対象者に説明できるようにしておくこと。「評価ってどういう基準なんですか?」といった質問に回答できない、といった話を聞くことがありますが、それでは従業員が評価に不信感を持つのも無理はありません。
フィードバック面談の目的も理解しておく必要があります。ただ評価を伝えるだけでなく、「現在地の共通認識を持ち、成長に繋がるフィードバック」を心がけましょう。
最も大切なのが、「フィードバック対象者の事実情報の収集」です。マネジャーであっても、普段から全員の仕事を全て把握しているわけではないですよね。そこで、フィードバック対象者が該当期間において「どんな仕事をして、どんな成果を上げたのか」を正しく把握しておく必要があります。
事実情報は、「目標達成度」や「セルフレビュー」「業務記録や日報」「360度フィードバック」「他者の声」などの材料から集めることができます。
事実情報が多ければ多いほど、対象者は「このマネジャーは自分のことを見てくれている」と感じるため、フィードバックに対する納得度が上がります。
そして事実情報を元に、フィードバックを作成します。その際は、事実と解釈をしっかり分けるように気をつけましょう。「◯◯◯という事実がありましたが、×××だと感じており、これは△△△の影響があったと思います」のように書くことで、フィードバックのコミュニケーションは円滑に進みます。「君は×××だと思う」だけでは不明瞭で伝わりませんし、反発を招くでしょう。
人事の準備不足は、マネジメントの機能不全を引き起こす
①フィードバックの目的の確認
②評価制度の社内への周知
③事実情報を収集できる仕組みづくり
④フィードバックのガイドラインやフォーマットの作成
最後に、人事です。人事の準備不足は、フィードバック面談の失敗につながります。マネジャーによって異なるフィードバックやコミュニケーションが起こることで、会社のマネジメントが機能不全に陥ってしまうのです。
まずは、フィードバックの目的や評価制度を社内に周知しましょう。正しく理解している従業員は少ないと考え、しつこく説明するくらいがちょうど良いです。
また、フィードバックは、単独で成り立つものではありません。他の人事制度と、接続して考える必要があります。フィードバックにおいて重要な「事実情報の収集」ができるかどうかは、人事が制度をいかに構築できるかにかかっています。例えば目標進捗を管理する仕組みづくりや、1on1の運用などを行うことで、フィードバックのレベルは飛躍的に上がります。
ガイドラインやフォーマット作成も大切です。「①どんな事実があったのか、②その事実をどう解釈しているか、③その事実による影響範囲、④改善するためにどうするべきか」といったフォーマットを用意するだけでも、フィードバックの質は安定します。
より良い組織を作っていくために、一人ひとりの成長をサポートするフィードバックの仕組みを社内に根付かせていきましょう。
※フィードバックの実践例(クリックすると表示されます)
1on1は「全体最適」で考えることが重要
1on1は、「従業員体験の優れた会社」への第一歩として、最適な施策だと言えるでしょう。しかし、人事制度は従業員が会社でパフォーマンスを上げるための機能の集合体であり、1on1はそのひとつにすぎません。
組織がどのような状態を目指し、従業員にはどうなってほしいのか。それを常に考え、全体設計をしていくことが求められます。
1on1を始めたら、特に目標設定とフィードバック、そして評価制度に目を向けると良いでしょう。納得感の高い目標設定のプロセスや評価基準が作られているか――。改善を繰り返すことで、会社としてのパフォーマンスをさらに高めていくことができます。【おわり】
【編集部より】執筆者の加留部氏が基調講演で登壇。@人事主催セミナー人事の学び舎vol.18
「現状への対処」からの脱却。マネージャー・人事に求められる人事評価のアップデート
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ピープルマネジメントに変革を。組織のパフォーマンスを高めるマネジメントツール
1on1や目標管理、フィードバックなど、これまで属人的だったマネジメントを仕組み化し、組織全体のパフォーマンスを高めるマネジメンツール。従業員のエンゲージメントが向上し、パフォーマンスが改善する、という良いサイクルを回すことが可能になり、より強い組織をつくることができる。
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