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仕事がデキる人事・総務のビジネスメール術(Web版)Vol.16

働き方改革で労働時間把握が必要な管理職。残業対策はメールの効率化から

働き方改革関連法の施行により「管理職の労働時間把握」が義務化し、いままでのように管理職が安易に残業することができなくなりました。

そこで今回は、一般社員に比べてメールでのコミュニケーションが多い管理職と義務化対応のための勤怠管理や指導を行う人事・総務担当者向けに、メールを効率化する方法について解説します。

管理職はメールの受信数が多い

仕事でのコミュニケーションとして圧倒的な量を占めるメールを減らすこと、時間を短縮することは残業時間削減の要ともいえるでしょう。まずは現状把握から。1日に費やしているメールの時間を考えてみましょう。

一般社団法人日本ビジネスメール協会が発表した『ビジネスメール実態調査2019』によると、仕事で1日に送受信しているメールの平均通数は、送信「11.59通」、受信「38.07通」で、部長クラスに限ると送信「16.56通」、受信「99.51通」という結果です。

残業が多いと感じることがあるか別では「よくある」人は、送信「14.09通」、受信「56.95通」で相関関係が見られます。部長クラスの1通あたりの平均時間は、読む「1分8秒」、書く「5分16秒」です。この数字をもとに計算すると、毎日メールに平均3時間20分を費やしていることになります。

一般社員と比べて管理職のメールのスキルがずば抜けて高いとは考えられないため、メールを読み飛ばしている(見ていない)可能性があります。部長クラスの1日の受信数は「99.51通」で全平均の2.6倍と、管理職ならではの特徴的で異常な数字です。まずは届くメールを減らことから始めるべきでしょう。

管理職のメール効率化ポイント「共有を減らすのが先決」

管理職の受け取るメールが増えるのは、CCやBCCでの共有が多いことも原因の一つです。会社の上層部から届く通知、部下からの共有などメールの種類もさまざま。こうしたメールを3~4割カットできると状況は劇的に変わります。

部下は「情報が共有できていない」と怒られたことが一度はあるので、困ったら何でもCCやBCCで共有したがります。共有することで「報告した」という既成事実を作り、自分の身を守ろうとするのです。

一方、そうした共有メールは上司からすると、たいしたことではないので細かく見ない可能性があります。部下から送られてくるこうしたメールの中に、ちょっとした事件を未然に防ぐ情報があるかもしれませんが、大量のゴミ(不要なメール)の中から見つけるのは至難の業です。

部下への根拠ある指示でメールに奪われる時間を減らす

何でも共有したがる部下の思考を理解して「このメールの共有は不要である」と伝え続けなければ変わりません。どのようなメールを共有してほしいか、その根拠を示すべきでしょう。

中間報告(途中経過)、結論だけが必要ならば、そのように伝え、過程の共有からは外れます。スケジュールを公開しているなら、日程調整メールのCCに入る必要はありません。

読み飛ばしても30秒はかかるメールが1日に4通あれば、1日で2分の節約。1日に2分の節約は、1年で1日分にあたります。毎日10分の節約ならば5日分に相当するのです。管理職の皆さんは、1通のメールに奪われる時間の重みを考えるべきです。

部下に徹底させたいメール作成の2つのポイント

部下からのメールに忙殺されているなら、分かりやすいメールを書くよう指導しましょう。件名でメールの全体像や意図を伝える。本文は一目見て分かるように結論から書く。この2点が徹底されているだけで、読む時間を削減できます。読解力の必要なメールは足を引っ張ります。

「~~について」「~~の件」という件名ほど負担になるものはありません。報告なのか、相談なのか、区別がつかず、開封して読んだら単なる連絡でいま読む必要はなかったり、後回しにしたら重要な報告ですぐ読むべきだったり。

件名が「イベントについて」だと、何のイベントの用件か分かりませんが「○○フェア(10/26)会場選定のご相談」であれば何を相談されるのか一目で分かります。開封前に概略が分かると読み方が変わります。判断(アドバイス)をしようと思って読むわけですから論点がずれることもないでしょう。

【参考】チャットツールでも応用が利く、短文で相手に意図を伝えるコツ

部下からのメールに情報の欠落があると、何度も質問をしなくてはいけません。6W3Hなどのフレームワークを使って書かれていると、情報の抜け漏れはなくなります。

本連載で何度も触れていますが、一般的なメールは冒頭から順に「宛名」「挨拶」「名乗り」「要旨」「詳細」「結びの挨拶」「署名」の順で構成されています。この形式に則って書くことで、読み飛ばしてもよい部分、しっかり読んでほしい部分を読み手に伝えることができ、正しく理解し、素早く行動に移してもらいやすくなります。

【参考】業務効率化の第一歩! メール作成時間を2割削減する5つのポイント

2時間かけての訪問か、6分で作成できるメールか。どちらが効率的かを判断

昔は営業というと、様子をうかがいに、顔を出しに、定期的に取引先へ挨拶に出向くことがよしとされていたように思います。しかし、効率が求められる今の時代、目的もないアポイントほど無駄なものはありません。出向かずメールに置き換えられないかを考えるべきです。

打ち合わせのために30分かけて移動、打ち合わせを1時間して、30分かけて戻ってくる。これだけで2時間も費やすことになります。1日の労働時間が8時間なら25%です。ここに貴重な時間を割り振ることが正しいといえるのでしょうか。

この2時間があれば、1通の作成に6分かかるとしても20通のメールを送ることができます。難易度の高い用件は電話で補足して説明するなどすれば、メールでも仕事を難なく前に進められます。慣習だからと安易に対面を選択するのではなく、メールに置き換えられないかを考えるべきです。

対面で一撃必殺を狙うよりも、メールでの定期的な接触でよい印象を与え、仕事を進めたほうがよいでしょう。先の例で、1回の訪問とメール20通が同等の時間と書きました。1社に対して1回訪問するよりも、20回のメールのやり取りのほうが効果は高いかもしれません。

年に1回しか来ない営業マンよりも、年に20回メールでフォローしてくれる営業マンのほうが印象はよいのは私だけではないはずです。

周囲が変われば管理職は楽になる。全社対象にメール指導を

管理職の効率化は自己のスキルアップだけではなかなか解決しない問題で、周囲のレベルアップや全体の底上げが必要です。

多くの社員が共通の知識を持つだけでも違ってくるはずです。教育を受けたのち、部下として配属された新入社員が、上司(管理職)が瞬時に理解できるメールを書けたり、不要なメールを送らなかったりするだけで、管理職の業務が効率化し、残業時間の削減を期待できます。

これまで執筆してきたコラムの中には、管理職の皆さんが指導にも使える、新入社員向けのビジネルメールのコツを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考】新入社員にこれだけは伝えたい「よくあるメールのトラブル防止法」

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