健康管理のプロが教える最新ノウハウ
“手持ちのデータ”でハラスメント対策を打つ秘密の方法
企業はハラスメント対策として何から手をつければいいか悩んでいるかもしれませんが、実は手持ちのデータを有効活用してハラスメント対策をすることができます。
全国に産業医のネットワークを持ち、企業の健康管理のアウトソースを手掛ける弊社のノウハウと経験から、その秘策を紹介します。
目次
ハラスメント対策は、事業主のリスクを減らすための総合対策の一環
ハラスメント対策はもちろん、労働者個人のためにも必要ですが、それ以上に事業主や管理職のリスクを減らす意味があり、会社の危機管理の一環として認識しなければなりません。
例えば今後、法律改正が行われた後もハラスメント対策を取らずにいたとして、事例が発生し裁判になった場合は、女性活躍推進法など一連のハラスメント防止関連の法律違反に問われるでしょう。
最近の裁判では会社だけではなく、ハラスメント当事者と代表取締役も連名で訴えられます。裁判で負ければ会社側も損害賠償をし、通常はハラスメント当事者と代表取締役が連帯で支払う義務も発生します。
加えて、会社法第429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)によって株主からの訴訟も予想されます。ハラスメント対策の担当者は、まずこれらのリスクを事業主にも理解してもらうべきです。
★会社法第429条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 |
事業主にハラスメント対策の重要性を実感させる
厚生労働省が発表した労災の申請状況の推移(※1)を見ると、「精神障害による労災申請」が「脳・心臓疾患による申請」の2倍となっています。
(厚生労働省のデータを基にメディカルトラストが作成)
「精神障害による労災申請」(※2)の内容は「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」「上司とのトラブルがあった」などが中心です。また、精神障害の労災と認定された人の労働時間(2018年度)(※3)は、80時間以上と80時間未満がほぼ半数ずつでした。必ずしも「自社は長時間労働者がいないから安心」とは言えません。
(厚生労働省のデータを基にメディカルトラストが作成)
また、「民事上の個別労働紛争の相談別件数推移」のデータ(※4)では2013年以降は「いじめ・嫌がらせ」の相談が最も多く、2019年6月に連合が行った「なんでも労働相談ダイヤル」(※5)のデータでも「セクハラ・パワハラ・嫌がらせ」が労働者からの相談のトップになっています。この5つの調査結果を事業主に伝えて、ハラスメントのリスクを理解してもらうべきです。
※1~3:厚生労働省「平成30年度 過労死等の労災補償状況」(2019年6月発表)より
※4:厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より
※5:連合「『なんでも労働相談ダイヤル』2017年6月 相談集計報告」より
ハラスメント対策に活用できる「手持ちのデータ」とは
では、実際に手持ちのデータを使ってどうハラスメント対策をするべきでしょうか。
手持ちのデータの代表例は
①健康診断の結果 ②労災・傷病手当・労務問題などの過去歴 ③ストレスチェックの結果 ④長時間労働の状況 ⑤(もしあれば)実際のハラスメント事例または個別労働紛争事例 |
などです。
ハラスメント問題は単独の原因で起きる場合もありますが、ほとんどは人間関係の他に会社側の人員配置や業績、管理職人材の不足、教育・研修の不足、労働者不足、長時間労働、本人の体調や家庭の状況など社内外の問題の全てが関連してきます。
だからこそ複数のデータを組み合わせて対策を考え、マネジメント層や産業医を巻き込んで対応する必要があるのです。具体的な対策は下記の図を参考に立ててみましょう。研修やハラスメント撲滅宣言の実施、相談窓口の設置など対策はいくつも考えられます。
(メディカルトラスト作成)
パワハラチェックシートで加害者になる危険性を可視化
一方、自分がパワハラの加害者になる危険性があるか気付ける人はなかなかいないでしょう。その危険性を可視化するのが「パワハラ振り返りシート」です。
筆者は昨年、グローイング(東京・港)が開発した管理職教育用のWeb適性検査「パワハラ振り返りシート」を受けてみました。ストレスチェックのような形で、パワハラを起こすリスクを数値化するツールです。
(個人結果シートはサンプルです)
この日はテレビ番組の取材も入り、とある男性キャスターも受検していました。キャスターはパワハラリスク値の結果がかなり高く、「対人共感力」が低いという結果が出て、驚いていました。番組内では「インタビュアーとして安易に妥協したり、納得したりしないためにはむしろ低い数値が必要なもの」との解説もあり、納得しました。
管理職にはポジティブ思考や自己肯定力などが必要とされますが、その本人の強みが裏目に出るとハラスメントにもなりえます。ポジティブ思考を例に取れば、自分ができることは部下もできるはずだと思い込んでしまう、というケースです。
実は、筆者はそのキャスターよりもパワハラリスク値が高く出て、自分ではパワハラなどしない人間だと思っていたのでショックを受けました。
しかし、グローイングの説明で「パワハラやセクハラをしている本人はそう思っていない」と聞き、「これではいけない」「自分のどんなところにハラスメントの芽があるのか事前に知っておけば注意できる」と感じました。そこで、メディカルトラスト社としても「パワハラ振り返りシート」=「マネジメント力向上のためのチェックシート」を使ったパワハラチェックを世に広める活動をしています。
受検はWeb上で10分ほど、36問の質問に答えるだけ。管理職研修に使う会社や、ストレスチェック後の対策として高ストレスの職場で実施する会社など使い方はさまざまですが、今まで当事者意識のなかったハラスメント行為者に直接アタックできるチャンスとして上手に利用すれば、効果があると感じています。
ハラスメントの問題は、パワハラ振り返りシートや健康診断の結果など「今あるもの」で見えてきます。そこから必要な対策を考え、実行していきましょう。
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