「最優秀エージェント」受賞企業が伝える採用の秘策【第2回】

リクルーティング近未来予測 & 若手採用を成功に導くポイント

前回は採用トレンドの移り変わりに応じて人事に求められる役割も変化していることや、採用担当者にはマーケティング視点が必要であることなどをお話ししました。

【第1回】「デキる人事」はマーケ視点を備えている

今回はリクルーティングの近未来予測と、若手人材確保に有効なポテンシャル採用について。「集客」という観点で採用活動を捉え、入社後の活躍が見込める若手人材を必要数確保するために押さえておくべきポイントをお伝えします。【執筆:MAP・飯田健太郎】

人材不足をカバーするには採用条件緩和が急務

総務省統計局の「労働力調査」によると、2018年の就業者数は6,664万人。前年比134万人増と過去6年連続で増加していますが、就業者数の増加を支えているのは65歳以上の高齢層です。15~24歳はここ10年間500万人前後でほぼ横ばい、25~34歳は10年で約200万人減少しています。このような状況下で若手人員を早急に確保するためには、採用基準を見直し、条件緩和を検討する必要があります。

採用目標を達成できない企業は、四大卒以上、社会人経験3年、営業経験ありなど従来の採用基準を頑なに守り続けているケースが多々見受けられます。好条件の人材を望む意図は理解できますが、間口を狭めた結果、必要人員が確保できないのでは本末転倒。弊社へご依頼いただく企業様にも、状況によっては採用条件から学歴や経験を排除、もしくは緩和することをおすすめしています。思い切った条件緩和を機に採用活動がスムーズに回り始めた企業は少なくありません。

もちろん、戦力となりうる人材を確保できなければ意味がないので、未経験でも活躍が見込めるポテンシャルがあるかを見極めて採用すべきです。

未経験から活躍する「ポテンシャル採用」の可能性

私は転職支援アドバイザーとしてだけでなく、経営者の立場で自社採用面談も多数行ってきました。弊社の中途採用では、学歴やこれまでのキャリアはほとんど考慮していません。選考時に特に注目しているのは、

  • 人柄、キャラクター
  • 思考の柔軟性
  • 環境への適応力
  • 素直さ、吸収力
  • コミュニケーションの心地よさ

など、主にその人が持っている「資質」です。

比較的若い社員が多い弊社では、ロジカル過ぎず、かといってパッションも強すぎない人材がマッチすると考えており、社風への適応が期待できる人材であれば積極的に採用します。営業経験や人材業界の知識などはあれば歓迎ですが、必須条件ではありません。また、転職回数の多さや過去に就業していた会社での在籍期間の長短も合否に影響しません。

キャリアより資質を優先する理由は、入社後の教育体制を常にブラッシュアップできているだけでなく、仕事を楽しめる環境と能力を発揮できるステージがあれば、人は大きく変化するとわかっているから。特に20代はその傾向が顕著で、スイッチが入ると、突然何かから解き放たれたようにイキイキと輝き始める若手を多く見てきたからこそ、ポテンシャル採用の可能性を確信しているのです。

弊社クライアント企業の採用実績では、営業職、接客・販売職、オペレーター職などは特にポテンシャル採用での成功例が多く、また、近年急速に需要が高まっているエンジニア職を未経験採用で賄う企業も増加しています。

未経験者採用には研修や教育制度を整える必要があり、準備に多くのリソースを要します。時間もマンパワーも使えない、手間が掛かりすぎる、社内にノウハウが蓄積されていない、何から手をつけるべきかの判断ができないなどを理由に、新人育成業務の見直しを先延ばしにしている企業もあるのではないでしょうか。従業員数の少ない中小企業では特に、教育体制の確立なくして円滑な採用活動は実現しません。重要度・緊急度共に高い経営課題であるという認識を社内で共有しましょう。

採用後は「定着率」にも注力すべし

今年5月、日本自動車工業会会長が会見の場で終身雇用を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と発言したことが大きな話題となりました。

もはや終身雇用制度には期待できないと理解している若い世代にとって、転職は当たり前。人材の流動は今後さらに激しくなることは確実です。企業は採用や社内教育の改善と同時に、必要な人材を必要な時期に流出させない施策も同時に進める必要があるでしょう。

弊社が20~35歳の転職希望者を対象に実施したアンケートでは、80%近くがジョブローテーション(社内異動)に対して好意的な回答をしています。入社から2~3年後は仕事にも慣れ、業務に対するモチベーションが下がりがちなタイミング。飽きさせない、辞めさせない施策としてのジョブローテーション制度や、試験的に他部署業務を経験する社内インターンシップ制度の導入は、早期離職防止策として有効であると考えられます。

また、一度退職した社員の再入社、いわゆる「出戻り入社」を歓迎する企業も増加傾向にあり、2018年にエン・ジャパンが発表した「企業の出戻り(再雇用)実態調査2018」によると、実に72%の企業が「一度退職した社員を再雇用したことがある」と答えています。

退職に至った背景や在籍時のポジションによって対応を考慮する必要はありますが、既に社風を理解している出戻り人材は大きな戦力。人手不足解消のひとつの選択肢として今後より定着していくでしょう。

女性社員の働きやすさが、定着率向上につながる

離職率を下げるには、女性社員の働きやすさにフォーカスすることも重要です。

女性が働きやすい企業であるとアピールするために、育休・産休以外にも女性特化の制度を策定する企業は多いのですが、最も重要なのは「正社員や管理職の女性比率」です。これは弊社に転職相談に来られる求職者から非常に多く質問される項目でもあります。

安心して長く働ける環境か、性別関係なく能力が正当に評価される社風なのか、ブラックな働き方を推奨していないか。企業体質を測るひとつの目安となるため、正社員及び管理職の女性比率の高さは、女性だけでなく、男性求職者も大いに注目している数値なのです。

これからキャリアを構築していく段階にある若手の視点は実にシビアです。求職者はユニークな制度の有無よりも、実際に活躍している女性社員が存在するか否かを冷静に見極めていることを踏まえ、女性が活躍できる環境を整えましょう。

自社の「採用つまずきポイント」を見極める

このように、採用にあたって取り組むべき課題は多くありますが、厳しい状況下で若手採用に苦戦している企業の人事・採用担当者がすぐに着手すべきは、現状の洗い出しです。

採用がうまくいかないといっても、そもそも応募数が少ないのか、応募はあるがミスマッチが起きているのか、内定を辞退されているのか、採用はできても定着しないのか。どの段階に問題があるのかで対策は変わります。

ただ求人広告を出して応募を待っているような企業は当然淘汰され、欲しい人材を能動的に獲得する「デキる採用担当」を有する企業だけが生き残ることは確実です。まずは自社の「採用つまずきポイント」を探り出し、課題を見極めるところから始めましょう。

次回は「デキる採用担当」と「ダメな採用担当」の傾向について、実例を交えながらお話しします。

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