アンケートから見るリモートワーク
未経験の人は肯定的? リモートワーク導入前に企業が知っておくべきポイント解説
前回の記事では、10人未満の企業では作成義務がないのに、みんなが就業規則を作るのはなぜかを、5つの理由から紐解いてみました。
※参考:10人未満の企業では作成義務がないのに、みんなが就業規則を作る5つの理由
今回のコラムでは、その理由のひとつでもある「多様な働き方の導入」という観点から、リモートワークに的を絞り、導入前に知っておきたいポイントを解説してみます。
「自分・知人・家族がリモートワークをしている」人は62.5%
株式会社Flucleでは、リモートワークについてアンケートを実施したことがあります。これは、会社員・フリーランスなどの雇用形態を問わず、リモートワークというワードに興味を持ってくれた方にお願いしたもので、69名の方から回答をいただくことができました。
問:あなたはリモートワークをしていますか、また身近にしている人はいますか
※株式会社Flucle 2019年「リモートワークに関するアンケート」より
約6割もの人が、自分もしくは身近な人が実際にリモートワークをしていると回答しました。多いと感じられましたか? それとも「もっといるはず」と感じられたでしょうか。
リモートワークという言葉はようやく広まってきましたが、それがどのような働き方なのかをハッキリ説明できない人も多いでしょう。
リモートワークとは、「会社以外の場所で仕事をすること」を指します。在宅勤務と混同されがちですが、厳密には違います。
リモートワークは単純に「オフィス以外で仕事をすること」。そして在宅勤務は「自宅で仕事をすること」です。たとえばカフェや図書館で仕事をするのは、リモートワークではありますが、在宅勤務ではありません。つまりリモートワークは総称で、その中に在宅勤務があるのです。
もしかしたら、「していない」と回答した方の中には、「そうなんだ! 在宅勤務ならしている」という方も含まれているかも知れませんね。
このふたつの違いを、就業規則で明確にする必要は特にありません。しかし「雇用計画書」や「在宅勤務規程」などでハッキリと定めてある場合は、そのルールに従う必要があります。
リモートワーク・在宅勤務でネックとなるのは「セキュリティ」
リモートワークで注意が必要なのは、セキュリティの問題です。たとえば在宅勤務のルールは、以下のようなケースに対応したものでなくてはいけません。
・PCや会社のデータ、書類を持ち帰っていいのか ・自宅のPCを業務に使っていいのか ・自宅のネットワークは安全か、PCのセキュリティソフトはどうなっているか ・外部施設のWi-FiにPCをつなげていいのか |
では、上記のルールが明確で、自宅での仕事に問題がない場合。その社員がたまたま外のカフェで仕事をしたくなったらどうなるでしょうか。
その行為が違反かどうかは、会社のルール次第。もし在宅勤務規程に「外に持ち出しNG」と書いてあったらNGですし、記載がなければ、明確に禁止していないので、厳密には違反とはなりません。
また、日頃から外出先でPCを使っている営業担当者が自宅で仕事をしていいか、外出先で公共のWi-Fiにつなげていいかなどは、服務規程で定めるケースが多いですね。
ルールのない状態で事件やトラブルが起きたらどうなる?
リスクを考えないリモートワークの導入はとても危険です。野放しにした状態で事件やトラブルが起きると、会社の責任となるからです。
もちろん、新幹線に書類を置き忘れる、極秘情報を家族に漏らすなど、重大な過失や故意が原因の場合は別。それは社員の責任となり、過失を問われる可能性があります。
リモートワークを導入する必要性が出てきたら、まずはリスクを知り、ルールを明確にしましょう。
何から始めていいか分からない方には、厚生労働省のガイドブックがおすすめです。導入後の運用で困ったことがあれば、専門家にも相談してみましょう。
※参考:「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」(厚生労働省 )
自由な働き方はモチベーションアップにつながるが、結果測定は難しい
次はリモートワークが社員にもたらす影響を考えてみましょう。
問:自分で働く場所を選べることは、あなたのモチベーションを上げると思いますか?
※株式会社Flucle 2019年「リモートワークに関するアンケート」より
9割もの人が、リモートワークに肯定的です。推測ですが、リモートワークをやったことがない人ほど、モチベーションアップにつながるというイメージを持っているのではないでしょうか。たしかに、満員電車に乗らずに済み、上司の顔も見なくていいなら、いいことづくめに思えますよね。
しかし、実際にリモートワークを導入している会社の全員のモチベーションが上がっているかは謎。数値では測れませんし、逆に、残業時間が延びるというデータがあるくらいです。
会社側の不安は、ツールを活用した「業務確認フロー」で埋める
社員がリモートワークを肯定的に考えている反面、会社は「サボるのではないか」と、目の届かないことへのマイナスイメージを持っています。
このギャップを埋めるには、業務進捗を確認するフローをつくるしかありません。
たとえば株式会社Flucleでは、社員全員がフルリモートワークで働いていますが、スムーズに業務を進めるため、週1回の定期ミーティングでの進捗報告と、仕事状況をデータで可視化することが求められます。
コミュニケーションツールはチャットワークを使用、またタイムクラウドという時間管理アプリで、月間のタスクとかかった時間を定量的に測定しています。
リモートワークを「やめるとき」のルールを決めておく
ツールの導入とともに、導入後のルールの明確化も大切です。
はじめてリモートワークを導入する会社におすすめなのは、「業績が落ちたらやめる」「長時間労働になったらやめる」などのルールを定めておくこと。
会社全体でも、個人単位でもかまいません。あらかじめラインを引いておけば会社も安心できますし、リモートワークを中止したときの社員側の反発も回避できます。
中には、「入社〇年以内の社員はリモートワークを導入できない」などと就業規則で定めている会社もあります。自分の仕事をコントロールできないうちに、会社の外で働かせるにはリスクが大きいからです。
ルール作成が会社の自由度を上げる
リモートワークを一律に導入することには危険が伴います。一斉に「明日からリモートワークだよ」と会社主導で進めることは、「毎日必ず会社に出社してね」と決めることと同じ、乱暴なやり方だからです。
机上の空論で「みんな喜ぶだろう」とコトを進めても、実際にモチベーションが上がり、業務がうまく回るかは別問題。
せっかく多様な働き方を導入するのですから、会社にとっても、社員にとっても「働きやすくなった・成果が出やすくなった」という結果につなげるため、まずはルールの明確化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
※株式会社Flucle 2019年「リモートワークに関するアンケート」の、すべての回答に対する記事をお読みになりたい方はこちらから。
→「リモートワークってどう?69人に聞いたアンケートから見る働き方のリアル」(株式会社Flucle 公式サイトブログ)
※リモートワークをはじめとした多様な働き方に対応可能、「クラウドに入力15分 カンタン作成」のHRbase就業規則ついて知りたい方はこちらから。
→https://syugyokisoku.hrbase.jp/
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