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年々複雑化する「年末調整」。業務の簡略化に必要な2つの視点とは?

「もう年末調整の話!?」と思われる方も多いと思いますが、実は年末調整の時期を上手に乗り切るには、夏の準備が肝心です。

制度が複雑化し、年々給与担当者の負担が重くなるこの業務。御社は今年も、昨年と変わらぬ体制・方法で対応する予定でしょうか? 工夫次第では、対応の手間をぐんと減らすことができるかもしれません。

目次
  1. そもそも「年末調整」とは?
  2. 年々複雑化する年末調整業務
  3. 「年末調整業務のデジタル化」に潜む、1つの注意点
  4. 正確な年末調整業務のために必要な2つの視点
  5. 7月には申込みを締め切るベンダーも。年末調整業務は夏の準備が肝心

そもそも「年末調整」とは?

ご承知の通り年末調整は、従業員の1年間の所得と所得税を決定する手続きです。もちろん、従業員本人が確定申告を行い、所得税を確定することも可能です。

しかし日本では、企業をはじめとする給与支払者が、所得者本人に代わって所得額と所得税額を計算し(※)、税務署への納付を行わなければならないことになっています。
※医療費控除などの一部範囲を除く

年々複雑化する年末調整業務

賞与計算や人事評価の対応で忙しい10月末~12月に、必要な申告書を従業員に配付し、必要な添付書類と共に回収する。申告書の記入内容を確認して不備や不明点をクリアにし、12月または1月の給与計算に反映させる。これだけでも十分な負荷ですが、ここ数年で制度はますます複雑化しています。

昨年末国税庁にて、確定申告における「住宅借入金等特別控除申告書(いわゆる住宅ローン控除申告書)」の約14,500件もの審査誤りが発表されました。税務署ですら間違えるこの申告内容の確認を、企業の給与担当者は正確に行わなくてはなりません。

加えて、昨年の配偶者控除制度の大改正(※)では、

・配偶者控除制度の変更が大々的に報道されたことが従業員の不安をあおった
・新設された制度がとても複雑
・配付・回収すべき申告書が増えた
・申告書の内容に従業員本人の所得見積額記入欄がある

など、要因は多数ありますが、年末調整業務の処理量・難易度ともに大幅アップしたのは記憶に新しいかと思います。
※参考:「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」(国税庁)

令和2年度から、大幅に申請様式が変更する

さらに。令和2年分の所得税からは、給与所得者の基礎控除の計算方法が変わるため、またもや申告様式が大幅に変更されます。令和元年6月に国税庁が発表した変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)の事前発表」で、様式変更となる年末調整用の申告書が発表されました。

・令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・令和2年分  給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

申告書の様式は、その種類ごとによって、2019年9月末または2019年12月末頃に確定するとのことです。平成31年に追加されたばかりの「給与所得者の配偶者控除申告書」は平成31年と令和元年限定の申告書となり、それ以降は廃止されます。

また、令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、原則として令和2年1月の給与支給日までに回収しなければならないので、さらに忙しい年末になりそうです。制度そのものが分かりにくい上に、確認すべき申告書類は増える……これは間違えるなという方が無理でしょう……。

「年末調整業務のデジタル化」に潜む、1つの注意点

これまでも、会社の業務負担が重いことから、経済団体等から年末調整の廃止を求める声はあがっています。2018年7月3日付の日本経済新聞でも「政府が企業による税・社会保険料関連の手続きを負担軽減する検討に着手した」と報道されたものの、今のところ会社の義務は免除されない見込みです。

これだけ複雑化してしまった制度に正しく対応するには、もう人手による手計算では限界で、デジタル化の方向に向かうことは間違いありません。が、これには大きな課題があります。

現在の政府の構想前提には、

①保険会社が控除証明書に必要なデータを、書類ではなく電子データで従業員に送る
②従業員が電子データで作成した保険料控除申告書を会社に送る
③会社が②を受け取る

という流れがあります。つまり、

・全従業員が、保険会社からのデータを受け取ることができ、会社にそれを送付できる環境と手段を持っている 
・会社が全従業員からその電子データを受け取れる環境と手段を持っている 

という2つの条件が成り立つことが、前提として必要なのです。年に一度の手続きのために、従業員全員にデータ授受できるよう求める……これを「現実的ではない」と判断する会社は少なくないはずです。

 正確な年末調整業務のために必要な2つの視点

当面、年末調整業務は避けられないと諦めて、まずは正確な年末調整ができる具体的な対策を考えましょう。解決すべき大きな課題は以下の2つです。

1.扱う書類の枚数を最小限にする。
2.従業員からの質問・従業員への確認を最小限にする。

1.扱う書類の枚数を最小限にする

年末調整業務をペーパレス化しようと、10数年前から多くのシステム・サービスがリリースされてきました。ですが証明書等の原本の確認が必要であることから、なかなか普及が進みませんでした。

しかし、昨年の配偶者控除申告書様式の追加と、スマートフォンやクラウドシステムの普及を背景に、この2年間で続々と使えるサービスがリリースされています。

扱う書類の枚数を最小限にするポイントは、何といっても、申告書用紙の回収を止めることです。「申告書を紙で保管しなければ、税務調査の対応に困るのでは?」とのご心配があるかもしれませんが、そこは安心してください。

税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を届出するだけで、年末調整に関する申告書を電子データで保管することができます(ただし、ここで言う電子データには、従業員自身が紙で提出した申告書をPDF化したデータは認められていませんので、ご留意ください)。

申告書用紙の回収を止めれば、企業が回収する書類は

・住宅ローン控除申告書とその添付書類
・保険料控除証明書と勤労学生の証明書等の原本

だけになり、取り扱う書類を大幅に減らすことができます。

2.従業員からの質問、従業員への確認を最小限にする

集める書類を最小限にしても、この複雑な所得税計算や難解な用語を、すべての従業員が正しく理解した上で申告していただくのは、相当難しいことです。

所得と収入の違いはもちろん、本人の所得見積額や扶養親族の所得見積額の記載欄を把握する必要があります。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違い、「源泉控除対象配偶者」と「扶養親族」の違い……説明する方も頭が混乱してきますね。

ずばり、従業員からの質問・確認を最小限にする方法は、一つしかありません。それは、国税庁の書式や用語に捉われず、従業員が理解しやすい形で、所得税計算に必要な情報を収集することです。正しい情報さえ集まれば、あとは人事総務担当者が、その情報を元に保管用のPDFを作成すればいいのです。申告書は、給与システムを通して簡単に作成できます。

この方法であれば、従業員からの質問、そして人事総務から従業員への確認作業を大幅に削減することができます。

まずは、現在利用中の給与計算や給与明細配信システム、社内ワークフローやグループウェアに、従業員から年末調整情報を集める機能があるかをご確認ください。システムによっては、従業員本人が作成した申告書を紙で回収するプロセスがあります。効果が限定的とはいえ、すべてを紙で実施するよりは効率が良いでしょう。

7月に申し込みを締め切るベンダー多数!年末調整業務は夏の準備が肝心

「新しいシステム機能を選定・習得する余裕なんてないよ!」という場合は、外部委託する手段もあります。税務調査での計算誤りの指摘を避けるという意味でも、プロへの委託は有効です。

当社を含め、年末調整業務の受託ベンダーは増えています。ただ、業務の複雑化を受けて、7月半ばに申し込みを締め切るベンダーが増えていますので、ご留意ください。
今年の年末調整時期をスムーズに乗り切るために、まずは資料請求をおススメします。

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