第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

働き方を選べる社会に

終身雇用が崩壊した後の安定は 「全員有期雇用」で実現するのではないか

2019年は平成から令和へと年号が変わり、今後の世の中がどう変化していくかに注目が集まっています。その中で経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長から「終身雇用はもう続かない」「終身雇用は企業にとってインセンティブが薄い」といった発言が相次ぎました。
社会的に非常に関心が集まっている話題ですが、今回は「終身雇用が崩壊」した後、働き方や社会はどうなっていくのかを予測していきたいと思います。

労働人口減少で「終身雇用」は不可能になってきている

まず終身雇用の制度について簡単に整理していきます。
終身雇用は入社したら定年退職までずっと雇い続ける前提の雇用の仕組みです。それに加えて年功序列かつ継続的に賃金が上がり続ける仕組み(定期昇給)とセットで運用されています。つまり、企業からすると雇い続ければ続けるほど高い賃金を払い続けていくことになる制度ですね。

また、政府によって、定年を70歳まで引き上げようとする動きも出てきています。
現時点で65歳まで雇い続けないといけないにもかかわらず、さらに5年くらい雇い続けてください、ということです。人口減少で内需が減り続けていく中で企業も業績拡大が難しくなってくる中で、さらにコストが増えてしまうのは厳しいという背景があり、今回のような発言が立て続けに起きていると考えられます。

終身雇用の崩壊=正社員の「安定」が揺らぐこと

不安定なイメージ

終身雇用でなくなる、ということは次の2つのことを意味します。
(1)解雇規制の緩和が行われる
2)年功序列的に給与が上がり続けなくなる

日本の法律では、労働者は非常に強く守られていて企業はほとんどのケースで「解雇」できません。終身雇用が終わるということは、企業は一度入社した人を雇わなくてよくする権利を得るということなので、おそらくこの(1)も話が進んでくる可能性は高いです。

また、日本では一度上げた給与の大幅な減額もかなり実施しにくい構造です。労働者の同意なしに、会社の勝手な制度変更で不利益な給与にできないようになっています。おそらく解雇規制が緩和されても一気に大量解雇というわけにはいかないでしょう。であれば「雇用は維持するけど給与は下げさせてね」といった流れが出てくることは予想されます。

つまり、一度雇われたら(よほどのことがない限り)ずっと働けて給与も上がり続けるという「安定」は少なからず崩壊に向かっています。

次に起こるのは解雇の規制緩和ではなく、「全員の有期雇用化」?

ただし、解雇規制の緩和だけだと「正社員で賃金は高いが成果が低い人」が真っ先に解雇の対象になりますが、その人たちはおそらく非正規雇用として低い賃金で働くことになる可能性が高いです。そうなると、高い賃金をもらっている正社員少数と、安い賃金の非正規雇用が増える流れになり、格差はより大きくなっていきます。これは社会の安定どころか、非常に不安定な状態を生み出してしまいます。

この不安定な状態を作り出している要因は、正社員が「既得権益化」し、流動化しないことです。少なくなる正社員の椅子を勝ち取ったらそこから誰も動きたくなくなる。結果として、一度正社員という道から外れた人はなかなか抜け出せない、といった状況に陥ってしまいます。

たくさんの労働者が集うイメージ

そうならないよう、社会全体で雇用を安定させる方法の1つが「雇用形態の撤廃による全員有期雇用化」です。全員が労働の流動性がある状態であれば、常に社会の中で仕事や役割が見つかりやすくなっていくので、それにより結果的に社会全体として安定していくのではないかと考えています。

もし解雇規制が緩和され賃金が上がりにくくなると、もはや「正社員とは何か?」となります。正社員でいる意味やメリットが薄らいでくることからも「全員有期雇用化」に近い状態に進んでいくのではないかとも考えています。
もし正社員が残ったとしても、「あまりたくさん働きたくない」「そんなに給与は上がらなくていい」という今より短い時間でかつ安めの給与で働く人が、「正社員」という働き方をいわばセーフティネットのような存在として選び、そうではない人は1年ごとの有期雇用で働くといった社会になることも考えられます。

有期雇用化が進めば平均賃金が上がっていく

全員が有期雇用化すると、契約満了のタイミングで従業員からも契約終了を突きつけられる可能性があるので、企業は優秀な人への賃金は上げていくことになります。転職が一般的になってくる(=雇用の流動性が上がる)と平均の賃金は上がりやすくなるわけですね。

ずっと雇い続け、かつ賃金を上げ続けなければならない仕組みだと、いつか業績が悪くなった時に立ちいかなくなってしまいます。そこで、経営者には全体的に給与を低く抑えつつ、あまり大幅に上げないような力学が働きます。

ただ、いざとなったら契約終了できるとか、1年契約のような有期雇用が中心になれば、経営側のリスクは減りますから賃金を高めに設定しやすくなります。また高くしていかないと他社に転職されてしまうので、必然的に平均賃金は上がっていきます。

生産性の高い会社・産業に人が集まり、社会構造が「安定」する

一方、賃金が上がり続けると利益が確保できない、経営が成り立たないような会社や産業が出てきます。こういった産業は衰退し小さいまま残る、市場から撤退する、いち早くテクノロジーの導入が進んで少ない人数で運営するやり方に変わり始める、のどれかの方向に進むと思います。

逆に、平均賃金が上がっても存続できる力を持った会社や産業、簡単にいうと成長していて生産性が高いところに人が集まるようになります。そういった会社や産業に優秀な人が集まり続けることで社会全体の生産性が上がっていく。それにより産業構造が変化し、社会全体にとって「安定」した状態を作りやすくなるのではないか、と思っています。

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