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早期離職はコミュニケーションで防げます! 新入社員の本音から導く4つの対処法

新入社員の方々が入社してから、約2ヶ月が経ちました。研修、仮配属、本配属等を通してさまざまな経験をしている頃でしょう。

この時期は、そのさまざまな経験の中で、「えっ、そうなのか?」「こんなはずでは……」といった多くのGAPを感じ、仕事や会社、先輩社員に対して、ネガティブな感情を持ってしまう方は少なくないと感じます。

そして、10年以上新入社員の研修や育成に携わってきた身としては、遅かれ早かれこのGAPを感じない方は1人もいないのではないか? と思っています。

自分が新卒だった頃や周りの同期を思い出しても、自社やクライアントの新卒社員を見ていてもそう思うのですが、皆さんにも覚えがあるのではないでしょうか。人材開発や組織開発に関する研究を行っている立教大学の中原教授のブログにも、このような記事がありました。

新入社員に「こんなハズじゃなかったのに病」が蔓延しています!離職スイッチを押す前に「冷静」に考えてみたい「3つのポイント」!? 

それだけ毎年、多くの新入社員が感じるGAPだということです。単にネガティブな感情を持たれることが問題なのではありません。望ましくないのは、これが原因でモチベーションダウンや早期離職が起こりかねないということです。

そこで本コラムでは、なぜ新入社員は入社後にネガティブなGAPを感じるのか? について、4パターンに分けて解説していきたいと思います。

入社後に感じる「こんなはずでは……」の原因4パターン

私の会社では、10年以上にわたり毎年多くの新卒研修を担当させていただいております。民間企業から官公庁、医療法人等を合わせると、のべ500社以上もの支援をしてまいりました。

2019年は50社以上、人数にして1,000名以上の新卒の方々へ成長のお手伝いをさせていただきました。その際、4月後半以降の研修に参加された方々を対象に調査を実施。「入社してから『こんなはずでは……』と思った場面」について、社名も氏名も一切未記入という条件の下、本音で回答してもらいました。

その本音をまとめたところ、大きく以下のような4パターンに分類できました。

・情報不足系
・学生時代との生活変化系
・ゲスト思考系
・能力不足系

1.情報不足系

1つ目は、

「4月にもらえると思った初任給がない……or少ない……」
「夏のボーナスがない……or少ない……」
「もっと自由な服装でOKだと思っていた……」
「有給休暇がすぐに取れない……」

といった、情報不足によって「こんなはずでは……」となるパターンです。

新入社員は、「当然、4月の給料日に初任給が満額でもらえるもの」と認識していることが多いと思います。しかし、4月1日~4月末の分を翌月の5月25日に支払う企業であれば、初任給は5月25日に支払われることになりますし、3月16日~4月15日の分を4月25日に支払う企業であれば、4月25日に支払われる初任給は満額ではありません。

また、ボーナスも上記と同じで、1月1日~6月末までの期間のボーナスを8月25日に支払う企業であれば、新入社員は4月1日~6月末までの期間に相当した金額しかもらえません。もしくは、夏のボーナスはもらえず、冬のボーナスから支給という企業も少なくありません。

会社のお金の流れをよく理解している状態であればこのことに気付けるかもしれませんが、入社時点で理解できている方はあまり多くありません。事前にこの仕組を説明しておかないと、入社後に「こんなはずでは……」とGAPを感じてしまうのです。

お金以外においても、

・ビジネスカジュアルや私服がOKとされている企業で、自分達もすぐにスーツとおさらばできると思っていた新入社員が、「配属まではスーツを着用するように」と指導を受けた……
・6月に、有給を土日にくっつけて3連休を作り旅行へ行こうと思っていたが、6月時点ではまだ有給が発生しないということが判明した……

ということが起こりがちです。

この情報不足系の「こんなはずでは……」を解消するのは簡単です。情報が足りないことで起こるのですから、事前に情報を提供すればいいのです。

いつからいつまでの期間のお給料やボーナスが、どのタイミングで支払われるのかや、スーツで勤務する期間、有給は入社半年後に付与されるものであることなどを事前にしっかりと教えておけば、そもそもこのGAPは起こりません。

中には、服装について入社後のオリエンテーションで伝えたときに、「えー、すぐにスーツから開放されると思っていた」というGAPが出る可能性もあります。しかしこれを解決するには、採用活動時のナビに記載しておくとか、会社説明会でそれを話しておく、というあまり現実的ではない(笑)対応になるので、そこまでは不要だと個人的には思います。

2.学生時代との生活変化系

2つ目は、

「毎日の満員電車通勤が体力的にきつい……」
「残業が思ったより多い……」「思ったより残業できない……定時で帰れといわれる」
「休みが思ったより少ない……」
「自分の体力、ストレス耐性のなさを痛感している……」

といった、生活の変化によって「こんなはずでは……」となるパターンです。

こちらに関しては、どの会社に入ろうとも乗り越えていく必要があることが大半ですし、その内時間が経過すれば慣れて解決するものが多いです。

もちろん、「入社前に聞いていた完全週休2日制ではなく、週1日しか休みがなかった」というのは論外であることを前提にしたお話です。振休や代休といったものがしっかりあれば、土日出勤もさほど問題にはならないはずです。

3.ゲスト思考系

3つ目は、

「もっとウェルカムな状態で配属先にも迎えてもらえると思っていた……」
「もっと丁寧に教育してもらえると思っていた……」

といった、内定者時代に受けた「ゲスト扱い」を入社後にも期待することで「こんなはずでは……」となるパターンです。

多くの企業において、「内定者」はまだ自社の社員ではないという認識でゲスト扱いをすることが珍しくありません。

しかし、ゲスト扱いしか経験していない新入社員にはそれが当たり前となるため、「入社後もそういう対応をしてもらえるだろう」という間違った期待、勘違いを持たれることとなります。

当然、「会社側での備品の準備や歓迎会といった受入体制が全くない」というのは論外であることを前提にしたお話です。

このようなゲスト思考系の「こんなはずでは……」を解消するのは、シンプルに「あなた達は既にゲストではなく、一緒に働く仲間です」ということをしっかり伝えることが有効です。

4.能力不足系

4つ目は、

「もっとすぐに活躍できると思っていたが、全然できない……」
「自身の甘えや未熟さを頭では理解できるが、でも……という気持ちが出てしまう……」

といった、能力が足りないことによって「こんなはずでは……」となるパターンです。

これは成長に必要なGAPであり、乗り越えていくことができれば、成長、やりがい、達成感を得ることができます。

このような能力不足系の「こんなはずでは……」を解消するのは、多くの会社が新卒社員に求めるであろう「人のせいにせず、主体的にどうすればできるのかを考え……」といったスタンス教育です。

社会人の世界は、学生の世界よりもはるかに自分の思い通りにいかないことが増えるものです。評価も、自分のアイデアが採用されるかどうかも、契約してもらえるかどうかも、ほぼ全て相手が決める世界だからです。

その『自分の思い通りにいかない世界』で思考や行動の量を落とさずに仕事ができると、その後順調にキャリアアップしていく可能性が高まります。

ネガティブなGAPは放置すると早期離職やモチベーションダウンに繋がる

このように、入社してから感じたGAPによって「こんなはずでは……」と悩むことを『リアリティ・ショック』と言います。いわゆる五月病のことで、近年は少なくとも6割以上の新入社員が感じていると言われています。

甲南大学の尾形真実哉准教授によると、上記の他にも「上司や同僚との人間関係が予想より上手くいっていない」「尊敬できる先輩がいない」という人に関するGAPや、「昇給昇格のスピードが思っていたより遅い」といった待遇に関するGAPなども原因になるとのことです。

※参照:リアリティ・ショックが若年就業者の組織適応に与える影響の実証研究
http://www.aaos.or.jp/contents/committee/file/045-3-4.pdf

これらを放置していると、いずれその不満や不安は増大し、不信感からモチベーションが下がっていきます。当然その状態で成果など出せるはずがなく、態度や業績に関する上司からの注意が増え、またそれが不満となり離職へ……といったように、負のスパイラルに陥ることとなります。

せっかく多大なる費用や工数を割き、知恵を絞ることで出会えた仲間を、このようなことで失うことは避けたいですね。

前述した通り、リアリティ・ショックの大半は、コミュニケーションによって解決することができます。

事前の働きかけで減らせる「こんなはずでは……」をできるだけ減らしておくことと、乗り越えていくべき「こんなはずでは……」を成長の糧にできるように教育体制を整えておくことが、会社全体の成果を上げる重要なポイントとなるのではないでしょうか。

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