接遇コンサルタントが教える「スタッフとお客様から選ばれる会社作り」

接遇力の向上が採用教育費の削減につながる

サービス業界に関わらず、接遇教育の必要性が注目されている

昨今、サービス業界を中心に、医療業界や介護施設、公的機関など幅広い業界で接遇教育の必要性が取りざたされています。
理由として「競合他社の数が増えたことで商品力のみで他社との差別化をすることが難しくなってきたこと」や「顧客の接遇サービスへの期待値(当たり前の基準)が格段に上がったこと」が挙げられます。実際に弊社にご相談をくださる業界も多岐にわたっています。

私は接遇コンサルタントとしてご相談の段階から代表者や幹部の方とお話をさせていただく機会が多いのですが、「お客さまの満足度を高めるための接遇教育」という一方向の視点で考えていらっしゃるケースが少なくないと感じています。もちろん、接遇力が向上すればお客さまの満足度が高まり、リピートや紹介が増えることで売上の向上につながります。ただ、接遇教育を行うときに「お客さまの満足度」だけを追い求めていると現場のスタッフたちの心がついてこないので離職率が下がらず、接遇教育を受けたスタッフが長く勤めてくれないことでいつまでも接遇力の底上げが実現しないのです。

私が接遇教育の導入前に「接遇教育の最初のゴールはスタッフのやりがいを作ることであり、お客さまの満足はその後についてきます」と伝えています。スタッフがやりがいを感じることができれば、離職率が下がり、採用教育費の削減につながります。接遇教育にコストをかけた先には大きな収穫が待っているのです。

ここからは接遇力の向上と採用教育費の削減の関係性についてお話をしていきたいと思います。

文中ではサービス業界を表す文言を中心に使用しておりますが、どの業界でも商品サービスの先にはお客さまが存在しており、社員の皆さまは直接的かつ間接的にお客さまに接しているはずです。また、社員間のチームワークが離職率の低下や業績向上につながるという点も共通しています。本記事をお読みになっている皆さまの現場に合わせて、文言を変換しながら読み進めていただければ幸いです。【執筆:コンフォルト・磯貝和美】

接遇力とは

本題に入る前に、接遇力の定義について整理をしておきましょう。

接遇力とは「お客さまにとって快適な空間を提供し続ける力」のことです。どの時間帯でも、どのスタッフが応対したとしても同じ質の接遇を提供できる力が「接遇力」です。

では、お客さまが快適に感じるのはどのような空間でしょうか。
それは、お客さまが「自分のことを大切にされている」と感じられるようなサービス、品質、清潔さを提供している空間です。

つまり、接遇力が高いお店とは、一人ひとりのスタッフがお客さまのことを大切に想う心を持ってサービスを行っていて、お客さまが気持ちよく過ごせる良質かつ清潔感のある空間を提供し続けているお店のことを表します。

接遇力が向上するとスタッフのやりがいが生まれる

まずは、接遇力の向上が一人ひとりのスタッフにもたらす変化についてお話をしていきます。

お客さまと一番近くで接するのはスタッフです。そのスタッフ自身の接遇力が高くなることによってどのような変化が起こるのでしょうか。

一番大きな変化は、お客さまからの「ありがとう」が増えることです。サービススタッフにとって、この言葉ほどモチベーションを高めてくれるものはありません。

お客さまからの感謝の言葉やお褒めの言葉は一番の心の栄養だと思います。私が接遇教育を担当したスタッフはこのような声を聴かせてくれました。

『サービス中やお会計のときに、お客さまからありがとうと言っていただける機会が増えました!』

『お越しになったときは笑顔がなく目も合わせてくださらなかったお客さまに対して、他のお客さまと同じように一生懸命に接客をしているとだんだんと笑顔になってこられて、お帰りになるときに“あなたに接客してもらえてよかった”という言葉をいただきました!』

このように、自分のサービスに対して良い反応が返ってくれば嬉しいものです。お客さまにもっと喜んでもらいたい、どうすればもっと喜んでいただけるかな、とお客さまの目線に立ったサービスを提供するようになってくれるでしょう。

お客さまからいただく「感謝の言葉」という成功体験を積み重ねることで、自主的に学びを深めるスタッフや会社全体の接遇力向上へのアイデアを出してくれるスタッフが増えてきます。

接遇力が向上するとチームワークが強くなる

一人ひとりのスタッフが接遇力の向上とともにやりがいを感じだすと、他のスタッフとの関係性にも変化が生まれてきます。

まず、接遇力の向上という共通のゴールができることでチームとしての一体感が生まれます。

それまでは自分とお客さまの関係だけに目が向いていたのが、どのスタッフが応対してもお客さまに喜んでもらえるようにしたいという意識に変わります。そうすると、お互いの良いところは認め合い、改善点はきちんと伝えるといった、双方の成長につながるような関わり方ができるようになるのです。

私が接遇教育を担当した会社でも、「良いところを伝える機会がないし、わざわざ口に出すのは恥ずかしい」「改善した方が良いと思っても言いづらい」という関係性のところがほとんどでした。
ところが、上述のように共通のゴールができることにより、皆が発言しやすい環境に変化していくのです。

良いところだけでなく、改善点を伝えあえるようになるのは会社として大きな成長だと言えます。
何のために伝えるのかという目的が明確になることで、受け止める側の意識が変わります。
仲間からの指摘に対してありがたいという感覚で受け止めることができるようになることが強い結束力を生み出すのです。

スタッフが仕事を続ける大きな理由は「仕事が楽しい」ことと「仲間に恵まれていること」です。
接遇力が高くなることで、この2つを手に入れることができるのです。

接遇力の向上が採用教育費の削減につながる

昨今、求人募集を出しても応募が少なく採用に至らないという現状をよく耳にします。
さらに限られた応募者の中から採用せざるを得ない状況なので、会社の求めるニーズと応募者のニーズがマッチしないまま採用してしまい短期間で離職につながるという話も聞いています。

接遇教育を通じて「良い仲間」と「楽しく働ける」環境を整えることが離職率の低下につながります。

スタッフにとって「働きたい会社」を作り上げることができれば、既存のスタッフが友人を紹介してくれたり、お客さまが応募をしてくださることもあります。

ゼロから募集をしたときと比べて、お店の接遇に対する考え方に共感してくれたスタッフが集まってくれるので、教育にかける時間も少なくなり、何より求人募集にかける費用の大幅な削減にもつながるでしょう。

接遇教育で目指すべきは「スタッフのやりがいを高める仕組みづくり」です。
接遇力の向上で「スタッフから選ばれる会社=お客さまから選ばれる会社」を作り上げてくださいね。

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