エンジニアの採用最前線

【第2回】IT人材の必要性と効果的な採用方法

企業のIT投資は「業務の効率化(コスト削減)」や「ITガバナンス(情報セキュリティの強化)」などへの守りの投資に加え、「事業創造」や「経営企画・改革」という自社の事業領域を広げる攻めの投資も加速しています。特に攻めのIT投資を成功させるには、企画力のあるIT企業との共業、そして戦略立案できるIT人材の採用および育成が重要です。
皆さんはIT人材の採用および育成を経営層から指示されていませんでしょうか? または計画しているがうまく採用・育成ができていないといった状況にないでしょうか。そこで着目していただきたいのがインターンシップです。実際、どのように効果的なのか、弊社の事例を交えてご紹介します。

短期インターンシップの導入に至った背景

前回のコラムでは、短期インターンシップの効果についてお話ししました。今回はその実施内容と効果について掘り下げていきます。

そもそも弊社が短期インターンシップ(実は「短期インターンシップ」とは呼ばす、「選考研修」と呼んでいます)を実施するに至ったのは、面接だけではITエンジニアとしての素養が見抜けず、「人柄の良さ」と「どれだけ本人(求職者)が努力できるか」だけで採否を判断していたためでした。
採用した方には、入社後に研修を実施しますが、結果的には本人(採用した方)による努力に期待をし、委ねてしまっていて、結果(成長)が伴わない場合は、そのことを採用した方のセンスのせいにしていました。しかし、これでは企業側も採用される側もお互いにとって不幸でしかありません。そのため、採否の段階でできるだけミスマッチを減らす工夫が求められたのです。

面接以外で、スキルやセンスを把握するには?

面接以外でスキルを把握する方法として、まず検討したのはSPIなどの適性試験の導入でした。ITエンジニアにとって特に重要なスキルが論理的思考です。

論理的な思考がないと、順序立てて物事を整理して考えることができず、特に一字一句間違えるだけでプログラムが誤作動するITの世界では、致命的になりかねません。そのため、SPIで特に論理的思考についてチェックできればと思ったのですが、SPIは今や一般的で求職者側は準備していることが当たり前で、効果がある程度しか期待できないということで、現在では参考程度にしています。【写真:選考研修でのプログラミングの様子】

次に、ITの基本的な用語(知識)を問う試験の導入を考えました。
研修では主にプログラムについて学習するのですが、例えばファイルやフォルダなどの基本的な用語をそもそも知らないと、研修修了時のゴールとのギャップが大きく、またプログラムを作るまでの道のりも長くなるため、ITエンジニアになる者にとっては前途多難であることは間違いありません。
そのため、ITの基本的な用語(知識)を問うようなことができればと思いましたが、知っているか/知らないかだけになってしまい、たまたま知っているだけであっても意味がなく、知らなかったとしても「成長する人は成長する」ということで、知識の有無のチェックについては見送りました。

研修を選考中に実施する!

そもそも試験という方法ばかりにとらわれているように感じた私たちは、「弊社に入社した方がどの段階で成長しているのか?」に着目しました。弊社では入社後、新入社員研修を3か月間実施していますが、新入社員研修を開始して間もなく、ITエンジニアとしての素養(スキルやセンス)について、ある程度把握できることがわかりました。具体的には「テクノロジーの理解力」や「質問・発言などの積極さ」などを把握できることがわかったのです。

であれば、選考で研修をしてみたらどうか? ということになったのです。カリキュラムはどうするのか? 研修時間(求職者の方の拘束時間)はどうするのか? 合否判定基準はどうするのか? といった様々な課題もありましたが、勇気をもって実施してみました。

<選考研修のカリキュラム>
 対象 学生(未経験者も可)
担当 社員(エンジニア)
内容 プログラミング言語(Java)
場所 執務室内
時間 3日間(10・00~18:00 ※お昼休憩1時間)

先ほど、選考研修は3日間と書きましたが、当初3日間でスタートした選考研修も今では1日間でできるようになりました。就職活動で忙しい学生さんを3日間も拘束することが難しいということもありますが、できるだけ学生さんの負担を減らす努力をしてきました。

ただし、単純に短くすれば良いということでもなく、アンケート結果からわかった「社内の雰囲気」を十分に味わっていただけるように試行錯誤してきました。面接では緊張していた求職者の方々も、選考研修では学生の本来のスタイルと似ているからか、普段に近い様子を見ることができます。

また、会議室ではなく執務室内で研修を実施したため、普段の社内の雰囲気を見ていただけるなど学生の方々にとっても効果があることがわかりました。実は、入社後に新卒社員にアンケートをとったところ、弊社を選んだ理由のほとんどが選考研修に結びついていたのです。 これには正直驚きました。

<弊社に入社を決めた主な理由>

・選考研修で丁寧にしっかりと教えてもらえると思ったから
・会社で働いている方の雰囲気が明るく、楽しそうだったから
・初めてプログラムを作ったけど、楽しかったから
・実際の仕事に近い感覚がわかったから
  【2013~2015年度入社社員 アンケートより(株式会社クロノス)】

まとめ

弊社では選考研修という方法を採用していますが、求職者の方にできるだけ“実務に近い場”を経験していただくことが重要だと思っています。求職者の方に入社後の就業イメージをもってもらうことが志望度を高める秘訣だと思います。

次回は選考研修で見ているポイントを少しだけご紹介したいと思います。

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