「ネガティブ社員には、会社を辞めていただいても良い」説
「常に不平不満を漏らしている」「他人の意見を否定してばかり」「仕事のやる気がない」……どの会社にもこのような言動を取る「ネガティブ社員」はいるものです。経営者が誰よりもネガティブという場合もありますが、今回はそのような場合を論外として、ネガティブ社員の弊害と対策を考えていきます。
ネガティブ社員は一日でも早く対処したほうが良い? いっそ会社を辞めていただく方が良いのか、果たして辞めていただくことはできるのか? その疑問を解消します。
もともと「幸福」な社員だけでいい
「ネガティブ社員」の弊害は、社内外を問わず他者へ悪影響を与えてしまうことにあります。ネガティブ社員は、他者への批判や非難が多く、言動のすべてが周囲の人間の士気を下げます。時には攻撃性や被害者意識がエスカレートすることもあり、ハラスメントの加害者にも被害者にもなりやすい存在なのです。
では、会社としては何をすればいいのか。その答えは、「もともと幸福な人を多く雇用する」ことに尽きます。これは非現実的な極論に聞こえるかもしれませんが、近年海外では、採用候補者に対して「幸福度調査」を実施する企業が増えています。
参考:人事部長はシアワセですか? 「従業員幸福度」が会社の未来を変える
組織に入る前の人間関係や幸福度を測定し、その結果と企業の特性を照らし合わせ、マッチングを図る採用が一般化してきているのです。
「学歴が高く、スキルがあったとしても、『幸福でない人』には組織に入ってもらわなくていい」。一見リスクの高い考え方のように聞こえますが、これは真の健康経営を実現するための取り組みだといえます。
なぜなら、採用前に候補者のネガティブ性や幸福度、人生観を知っておくことで、ネガティブ社員が引き起こす「ハラスメント問題」やその他の心身の疾病といった問題を未然に防ぐことができるからです。
ネガティブ社員は健康経営が苦手
もともと幸福度が高い人を会社に多く入れれば、組織の雰囲気自体が良い方へシフトし、業績にも好ましい変化が出る……という状態を想像するのは簡単です。
その一方で、幸福度の高い社員が多い職場は、ネガティブ社員にとっては極めて居心地が悪い環境となります。その結果、ネガティブ社員は会社を辞めてしまうことになるかもしれません。しかし組織としては、それでいいのです。残酷な言い方になりますが、「幸福でない人」は会社にいてもらわなくていいのです。
実際に、社内の環境改善や幸福度向上のプロジェクトを遂行する中で、いわゆる問題社員やネガティブ社員が辞めるケースを多く見てきました。それらはもちろん、本人たちの意思による円満退社です。ブラック企業がやってしまいがちな、故意に居心地を悪くして社員の退職を促す、人として決して許されない「ハラスメントの王道」とはまったく違うものです。
職場の幸福度は早急に把握すべし
「幸福度調査」を実施する日本企業は徐々に増えていますが、採用時にその調査結果が活用されることはほとんどありません。また、この調査結果は社内人事の配置やハラスメント防止に生かせるはずであるのに、活用されるケースはまだ少なく、非常にもったいない状態です。
この「幸福度調査」は、既存社員に対しても定期的に実施されるべきであり、調査結果に応じて会社が素早く改善策を取ることが重要です。せっかく幸福度の高い人材を採用しても、幸福度の低いネガティブな既存社員が悪影響を与えてしまっては意味がありません。そのため、採用候補者と既存社員の双方に「幸福度調査」を実施し、有効活用すべきです。
「会社の業績が上がれば給料も上がるから、それで社員は幸せになるのでは? 社員幸福度は最終的な結果だ」「会社業績が先で、社員幸福度は後からついてくる」そう思われていたのはもう昔の話です。ハーバード大学の調査(https://lrandcom.com/job_is_everything/)では、「年収が100万円増えてもその人の幸福度はほとんど変わらない」という結果が出ています。社員幸福度が先にあれば、後から会社業績がついてくるのです。
「社員幸福度」を恐れていませんか?
ようやく日本でも、「社員幸福度の高さが株価や企業価値に比例する」という世界の調査事例が紹介されたり、幸福学と経営学の関連性にメディアや経済界が着目するようになってきました。
しかし現場では、「個人の幸福度と会社を、あまり関連付けないで欲しい」、「自分の幸せばかりを考えるようになると、仕事を辞めたくなるのではないか?」という懸念が起こることもあります。「個人の幸せや人生の夢の話は、『会社を辞めたくならない程度』にお願いします」とは、弊社が行った社員研修先で実際に言われた言葉です。
社員が自分自身の幸せや人生の夢を再認識することで、「『自分はこの会社にいるべきではない』と考えて辞めてしまうのではないか」とおっしゃるのです。危機感を感じるポイント自体がずれています。
個人としての幸せや夢を真剣に考える社員が、会社にとって「有害」なのか「有益」なのか。この答えがどう出るのかは、企業によって異なります。これは社員個人の問題というより、会社目標の共有、企業理念の浸透、職場環境の状態、さらには上司や経営者の「生き方・働き方」が社員にどう見えているのかの影響が大きいのです。社員の離職が止まらない会社の原因はそこにもあるのです。
「ネガティブ」は学習によって身に付く
「学習性無力感」という言葉をご存知でしょうか? 心理学で「人間の無力感は学習によって身に着く」とされているもので、職場でも人生でも「どうせ自分が何をやっても無駄。何も変わらない」というネガティブな環境が長く続くと、自分の置かれた状況に対して、積極的・自発的に対応しようという思考がなくなってしまうというものです。
「やらなくなる」ではなく「できなくなる」
学習性無力感は、回避不能の状況下で、心身へのストレスが継続することが原因となって起こります。
ある企業では、女性社員が「女性活用を積極的に推進していくと会社が発表したけれど、実際は何も変わらない。期待を持てば自分たちが傷付くだけなので、期待を捨てることはもちろん、職場では感情そのものを麻痺させておいた方が楽」と話していました。また、「自分では幸福度を高く持ちたいと思っても、職場のネガティブな雰囲気につぶされて終わってしまう」という声も実に多く聞きます。
幸福度の低さやネガティブなマインドは、高い伝染力で感染し、やがて職場全体の習慣・風習となります。無感力とは、分かりやすく言えば「やる気の無さ」。「やる気 社員」でネット検索をすると、数千万件以上がヒットし、「社員にやる気を出させるには」というテーマの記事やリサーチ、HOW TOが膨大な数で上がってくるほどです。
やる気の無さやネガティブが学習性無力感に起因するものであることが分かったからこそ、その突破口として、人間なら誰でも兼ね備えている「幸福感」が有効なのです。
年の初め、幸福度と経営の関連性を疑っている暇も、ネガティブ社員に振り回されいる暇もない、と覚悟を決めませんか。
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