【第16回】研修マスターの6つ星“指南術”

ハラスメントを引き起こしやすい管理職の特徴とその対策

さまざまな業界でパワーハラスメントの問題が顕在化し、メディアでも頻繁に取り上げられた平成30年。研修で伺った企業の教育担当者から「ハラスメントの自覚がない管理職に困っている」や、逆に管理職からは「ハラスメントが気になり、部下に言いたいことが言いにくくなった」と相談を受けることが増えました。

厚生労働省の企業のパワーハラスメント対策を支援する情報サイト「あかるい職場応援団」のデータでは、都道府県に設置されている総合労働相談コーナーに寄せられるものは、「いじめ・嫌がらせ」といったパワーハラスメントに関する相談が最も多いです。平成28年度時点で7万件超にのぼり、相談に至らない軽度なものを含めると、潜在的な数はもっと多いと推測します。

そこで今回は、ハラスメントを未然に防ぐための対策について考えてみます。

※参考記事:「パワハラ、セクハラ…日本社会でハラスメントが絶え間なく起きる理由」

パワーハラスメントが発生している職場の特徴

まずは、「あかるい職場応援団」に掲載された「パワーハラスメントが発生している職場の特徴」を紹介します。

パワーハラスメントが発生している職場の特徴

出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」職場のパワーハラスメントに関する実態調査

ダントツで1位は「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」です。また、1位以外の項目も背景にはコミュニケーションの問題が含まれていそうなものが並んでいます。

では、対策を進める企業側では、どのような取り組みをしているのでしょうか。取られている対策を多い順に5つピックアップしました。

パワハラ対策へ企業の取組内容

  • 相談窓口の設置
  • 管理職を対象に研修の実施
  • 就業規則など社内規定の見直し
  • 一般社員を対象に研修の実施
  • ポスター・リーフレットなど啓発資料の配布や掲示

特に管理職、一般社員への研修の実施は約7割の企業が「有効である」と回答しています。

ハラスメントに有効な対策とは

実は筆者自身も今年、ハラスメント研修に参加しました。その時に、何がハラスメントにあたるのか、法的な知識を含めて心得ておくことは非常に大事であると実感しました。一方で、知識だけでは解決しないのがハラスメントの難しさであるとも感じました。というのは、ハラスメントは、自分が話していることや取っている態度について、相手がどのように受け取るかが重視されるからです。

さらに、その話し方や態度というのは、自身が受けてきた指導の中で、成果を上げた経験に起因しています。つまり、問題となるケースは「それが悪いことだと思っていない」ことが多いのです。また、相手との関係によっては、同じ行為がハラスメントにはならないこともありえます。

では、問題を起こしている人に気付かせたり、ハラスメントを未然に防ぐためには、どのようなアプローチを取ればよいのでしょうか。

ハラスメントになりやすい管理職のコミュニケーションパターン

筆者が知る組織で起こったケースを振り返ってみると、ハラスメントの問題が起きた職場では、管理職のコミュニケーションの取り方に2つの共通点がありました。それは、管理職の成果に対する考え方です。1つは、管理職側にプロセスを含めて「こうあるべき」「こうすべき」というイメージが明確にある場合、もう1つは、管理職の指示が曖昧な場合です。

「こうあるべき」「こうすべき」という考えが強い管理職の場合は、プロセスを含めて具体的に指示を出す傾向があります。すると指示を受ける側は、一挙手一頭足をチェックされている印象を受け、「管理職の指示に全て従わなければならない」という圧力を感じます。その結果、自分の言いたいことが言えなくなる、あるいは言わなくなります。

指示が曖昧な管理職は、指示者のイメージに合った成果が出ている場合は問題にはなりません。しかし、成果のイメージや期限などの数値目標がズレると、指示を受ける側の能力に問題があると決めつけ、言葉や態度に表してしまいがちです。

いずれも、指示を受ける側に精神的負担が生じることになります。

コミュニケーションの見直しポイント

では、ハラスメントはどのような対策を取ったらよいでしょうか。ハラスメントの問題は、少なからず相性も関係するので、相談窓口を設置して、できるだけ初期の段階で対策できるしくみ作りが有効です。その上で、自己のコミュニケーションスタイルを客観的に理解できるような研修や、業務上のコミュニケーションの見直しを図る研修は、実施する価値があるでしょう。

特に、業務上のコミュニケーションの見直しを図る研修は、業務の背景や目的、目標(いつまでに、何を、どのぐらい)、期待水準(質・量のレベル)、業務を通じ得られるものを、指示する側・受ける側がどのように理解しているかを確認する内容となるため、業務の生産性向上も期待できます。

こうした対策が有効な理由は、実際にハラスメントの問題が起きている職場では、指示する側と受ける側の認識がズレている場合がよく見られるからです。「分かっているつもり」「できているつもり」になっていることが、ズレを生む原因となり、ハラスメントにつながっていきます。

定期的に業務の目的やお互いの理解、状況の確認をしておくといった基本的なコミュニケーションを取ることが、結果的にはハラスメントを未然に防ぎ、職場の生産性向上にもつながるのです。

【編集部より】
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