生き延びる会社、その違いは「環境」にある 「割れ窓理論」で職場環境を成功環境に変える
職場環境とは、環境の中でも特殊なジャンルに値します。会社という組織に、個性も感情も異なる「人」という生き物が集まっているのですから、複雑な構図が出来上がっていても不思議ではありません。
職場環境という極めて複雑かつ愛すべき構図を理解し、職場環境を「成功環境」として再構築することに、社員幸福度や業績を向上させる鍵があります。
職場環境は複雑かつ愛すべき生き物
環境とは「人間の周りにあるもの全て」のことを言います。環境が人をつくり、同時に人が環境をつくります。職場に当てはめるなら、社内の環境が社員の能力や業績をつくり、同時に社員の働き方や業績の状況が職場環境をつくる、といった相互関係で成り立っているのです。
今あなたの周りに何があるか、見渡してみてください。それらは全て、あなたの「環境」を構築している「要素」です。
このコラムをPCやスマホでお読みなら、PCやスマホも環境の構成要素の一部として存在しています。例えば、PCのシステムが古くなり思うように機能しない、スマホの調子が悪いとしたら、それらがあなたの生産性を邪魔する環境をつくり出しているのです。机の上に書類が溢れている、近くに常に不機嫌な人がいる、といったことも全てあなたの環境を見事にぶち壊す要素となるのです。
職場環境を構築する要素は、社内にある全てのモノ……つまり、家具、道具、文具、備品、壁、床、照明、窓から見える風景、と文字通りあらゆるものです。
さらには社内の雰囲気そのものも、環境を構築する重要な要素となります。社内でのコミュニケーションの在り方、人間関係の善し悪し、社員の「今日の気分」、それまでもが環境を構築する要素に含まれます。それらは常に変動し、まさに生き物のようなものであると言えるでしょう。
極端に言えば、朝自宅を出てから、会社に着くまでに、あったこと、見たもの、聞いたもの、感じたもの、これらも社員全員がそれぞれ出社とともに持ってきてしまう。それがその日1日の職場環境の一部になります。
社員1人ひとりが「機嫌良く」出社してくれないことには、職場環境は向上しません。社内の設備を整えるだけでは、不十分に終わってしまいます。
割れ窓理論でV字回復
割れ窓理論(ブロークンウインドーセオリー)とは、アメリカの犯罪学者によって理論付けされた、環境と犯罪の関係性を表したものです。例えば、「建物の窓の1つが割れたままで放置されていると、人々はその状態に慣れ、誰も注意を払わなくなり、やがて他の窓も次々と割られていく」という現象を象徴しています。これは、環境の善し悪しが、人の感情や行動に影響を与え、犯罪率にも関係してくるという考え方です。
有名な例を挙げると、1994年にニューヨーク市長に就任したルドルフ・ジュリアーノ氏が行った、地下鉄や街中の落書きの清掃、タクシーの美化作戦です。その結果、当時蔓延していた地下鉄でのすりや無賃乗車などの犯罪が激減、さらにはニューヨーク市全体の犯罪率が低下したのです。
街を清潔でキレイにする=ニューヨークの犯罪が減る
あまりにも簡単すぎる構図にも見えますが、街の美化によって犯罪率が低下したのは事実です。
割れ窓理論は、職場環境においても同様に働くとされています。整理整頓のできていない職場の状態、片付かないデスクや書類、不良在庫や汚れたままの室内などが習慣化(放置)され、いつしか社員の誰1人として気にも掛けない毎日の当たり前の風景・状態となる。そうした環境に身を置くことが慣習化されていくと、幸福度やモチベーションが低下し、社内のミスコミュニケーションや不満感情が増加。結果として、業績低下への連鎖を起こしてしまうのです。
成功環境をつくるのは誰なのか
かのスティーブ・ジョブス氏も、1996年に業績不振に陥ったアップル社を改革するために復帰した際には、割れ窓理論を掲げて会社改革を行いました。
ジョブス氏は当時の職場を、「まるで学級崩壊のような状態だった」と形容し、社風と化していた社員の仕事に対する怠惰な習慣を一掃するために「職場の環境を徹底的に変える」と決めたのです。業績改善の第一歩として行ったのは、汚いオフィスの改善。汚い職場、乱雑な環境下では、業績低下はもちろん、「不正の温床」になりうる可能性があるとも言われています。
割れ窓状態の職場こそ、成功環境の真逆です。社員の士気や業績までも崩壊させてしまう「割れ窓状態」が社内に起きていないか、そのままに見過ごされ放置されていないかを早急に把握することは重要です。
社内に「割れた窓」があったとしても、経営者も社員がその状態が放置されていることに違和感がない。直接自分には関係ないことだから何も感じない。もともとそうだったからしょうがない。結局は自分が責任を持たされることになるのは迷惑……。
もし、こういった「無感覚」「無関心」の状態になっているのなら、現在の職場環境を構築する悪しき習慣の改善が早急に求められます。
成功環境をつくるのは「社員の気分」であり、「社員の気分は会社の資産」なのです。
習慣を変えるには、環境を変えることが最短であり最強
職場に「成功環境」を構築することは、これからの企業の生き残り戦略であると同時に、企業としての責任でもあります。年末に向けた大掃除の時期でもある今だからこそ、会社にとって、社員にとっての成功環境の在り方を見直してみませんか?
想像してみてください。会社のドアを開けたときに飛び込んでくる雰囲気、整理整頓された空間、そして何よりも社員の表情や気分が健康である状態を。
また、環境は連鎖し、伝染します。1つの会社が成功環境を構築することで、成功環境に身を置く社員たちが、社会に連鎖を起こします。
割れたまま放置された窓は、早めに直してしまいましょう。
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