仕事がデキる人事・総務のビジネスメール術(Web版)

【第12回】自分の意図を正しく伝えるための簡潔で分かりやすいメール文章術

一般社団法人日本ビジネスメール協会が2018年6月5日に発表した「ビジネスメール実態調査 2018」によると、自分のメールに対して何らかの不安を抱いている人は7割を超え、不安に感じる内容の第1位が「正しく伝わるか」であるということが分かりました。また、相手のビジネスメールに対し、上手いと感じた内容の第1位は「文章が簡潔で分かりやすい」ことであるという結果も出ています。

そこで今回は、「簡潔で分かりやすい」メール文章術を解説します。

曖昧で分かりにくいのは書き手の問題

メールは、相手の顔が見えない、声が聞こえない、直接反応が分からないツールです。文字で伝えるため、意図しない解釈をされたり、誤解を招いたり、ときに不快感を生んでしまうことがあります。電話や対面であれば、こちらが伝えたことを相手が理解しているか、納得しているか、表情や声から読み取ることができます。しかし、メールはそれができません。

メールの内容をどう受け取るかは読み手次第。そのため、「これで大丈夫か」「正しく伝わるか」と不安を覚えるのは、メールを使う全ての人に共通する悩みといえます。

仕事で使う以上、誤解を招かないよう、伝えたいことを分かりやすく伝えることに心を砕きますが、意図しない解釈をされてしまうこともあるでしょう。そこに文字で伝えるコミュニケーションの難しさがあります。

しかし、誤解をした相手が悪い、相手の理解力がないと責めることはできません。常に問うべきなのは、書き方に問題がなかったかという自分の文章力。問題のあるメールは、読み手の立場に立っていないことが大半です。伝えたつもりで、伝わっていない。そのようなメールはとても多いのです。

分かりにくい、伝わらないメールの特徴

例えば、次のメールは、何を伝えたいか分かりますか。

株式会社○○
山田一郎様

お世話になっております。
△△商事株式会社の鈴木です。 

お忙しいところ恐縮ですが至急再度ご確認いただきご連絡いただけますようお願いいたします。

先日ご連絡いただいたA商品は見送られるということで承知しましたが、B商品はまだ受け付けていますので再度ご確認いただきたいと存じます。期限が迫っておりますので、ご確認の連絡をいただき次第対応させていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、メールでも結構ですので、ご連絡いただければ幸いです。なお、申込書を添付いたしましたのでお手数ですが内容確認の上、捺印していただきメールでお送りください。

何かご不明点がありましたらご連絡ください。
どうぞよろしくお願いいたします。

△△商事株式会社
鈴木太郎

まず、一目見て「読みにくい」と感じる方は多いのではないでしょうか。

一文が長い、読点がない、改行がない、行間がない。そのため、とても読みづらい印象を受けます。読みにくいと、読みたくなくなります。読みたくない、面倒だ、そう思われたら後回しにされる可能性が高まります。また、読みにくさは、分かりにくさにもつながり、誤解を招く温床です。

これは、社外の顧客へ送っているメールです。今週の金曜日までに申し込めば割引が適用されるキャンペーンを実施中で、申し込みの意向を確かめたい。それがこのメールの主旨です。しかし、本文を読んでも、それが読み取れません。何が問題か。上から順に整理しましょう。

このメールの問題点

まず、宛名と挨拶、名乗りは問題ありません。しかし、本文冒頭からが問題です。

お忙しいところ恐縮ですが至急再度ご確認いただきご連絡いただけますようお願いいたします。」とありますが、これでは何の件で連絡をしてきたのか分かりません。「至急」と急かしていますが、その理由が分からないので一方的で強引な印象を受けます。

先日ご連絡いただいたA商品は見送られるということで承知しましたが、B商品はまだ受け付けていますので再度ご確認いただきたいと存じます。」この一文では、B商品は見送りの連絡をもらっていないので、申し込みの意向を確認したいことを伝えたい。でも、「B商品はまだ受け付けています」では、何を受け付けているのか分かりません。ここでは、割引キャンペーン期間中につき、B商品の申し込みの検討を促すフレーズにしなければ伝わりません。

期限が迫っておりますので、ご確認の連絡をいただき次第対応させていただきます。」これでは、何の期限を指しているのか分からず、期限も書かれていないので、動きようがありません。

お忙しいところ恐縮ですが、メールでも結構ですので、ご連絡いただければ幸いです。」この一文では、クッション言葉で相手に配慮しているように見えて「メールでも結構ですので」という表現が読み手に違和感を与える可能性があります。求める連絡手段があるならその旨を、手段を指定するならその理由が明記されないと、納得してもらえません。

なお、申込書を添付いたしましたのでお手数ですが内容確認の上、捺印していただきメールでお送りください。」この一文を読み「なぜ申込書?」と、その唐突さに、ストレスを覚える方もいるでしょう。

無駄なく手続きを進めようと思って申込書を添付したとしても、申し込みの意思表示をしていないのに申込書が添付されると、有無を言わせず押し付けられているようで反発を覚える方は多いはず。段取りがよい、丁寧、相手のことを考えている、といった思いとは裏腹に、段取りが悪い、失礼、相手のことを考えていない、という自分勝手な印象を与え、マイナス評価を下されます。

メールを改善してみよう

これらの問題点を踏まえ、改善例を見てみましょう。

株式会社○○
山田一郎様

お世話になっております。
△△商事株式会社の鈴木です。

全商品10%割引キャンペーンについてご連絡いたします。

先日、ご案内した本キャンペーンの申し込み締め切りが
今週金曜日と迫っております。

A商品の購入は見送られるとご連絡をいただきましたが、
B商品は今週いっぱい検討されると伺いましたので、
状況をおたずねしたくご連絡しました。

■「10%割引キャンペーン」の詳細はこちら
http://business-mail.jp/●●
申込受付:10月26日(金)18時まで
申込方法:メールまたはファクスでご連絡ください

本キャンペーンへのお申し込み方法は2パターンあります。

申込書に必要事項をご記入いただき、捺印をお願いします。
(1)申込書をスキャンしたPDFを鈴木宛にメール添付で送信
(2)申込書をファクス(FAX番号:03-#$%&-*`*>&)で送信

通常、お申し込みのご連絡をいただいてから申込書をお送 りしておりますが、
期限が今週金曜日のため、手続きでお待たせすることのないよう、
本メールに申込書を添付いたしました。

内容をご確認いただき、ご不明な点などございましたら
お気軽にお問い合わせください。

B商品の購入を見送られる場合も、お手数ですがご連絡をお願いします。

よろしくお願いいたします。

△△商事株式会社
鈴木太郎

冒頭で結論を提示し、詳細に入る。メールの主な構成は二段です。そして、フレームワークで情報を整理し、要点を絞る。

要点はメールの結論、目的です。読み手に求めることは「返事」です。キャンペーン期間中にB商品を購入するか、見送るか。期間内の購入は見送るが検討は続く、などの結論を引き出すためのメールです。そこに向かって書けているかが論点になります。

指標となるのは、読みやすさと分かりやすさ

「簡潔で分かりやすい」というと、文章が短い、全体的にもメールが短い。それが理想とされます。

しかし、実際は、伝えるべきことは書かなければ伝わらず、ともするとメールは長くなります。短くすることにこだわると、簡潔とはいえ配慮の欠けたメールになり、コミュニケーションを円滑にして確かな人間関係を築くことから離れてしまうこともあります。

伝えるべき情報量が多いとき、いかに簡潔で分かりやすく伝えるか。指標となるのは「読みやすさ=見やすさ」そして「分かりやすさ=具体的で論理的であること」。この2点を意識するだけでメールは飛躍的に改善されます。

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