「自己責任」の勘違いを正せ~キャリアアップする新入社員が共通で持つ自己責任思考~

年間50名以上の経営幹部、人事教育担当の方と新卒や幹部の研修の打ち合わせを10年以上行う中で、順調に経営幹部として成長し、キャリアアップする新入社員の方と、そうでない方の違いが見えてくるようになりました。

キャリアアップする社員とそうでない社員の別れ道となるものは何なのか?「将来幹部になる/なれない新入社員の6つの思考習慣の違い」のうち、今日は2つ目の違いをご紹介します。

(1つ目の違いは、以下のリンクからご覧いただけます)
過剰なwhy思考が新卒をつぶす~キャリアアップする新入社員が共通で持つhow can思考~

幹部になる新入社員の特徴「自己処罰思考<自己責任思考」

将来幹部になる社員が持っている思考の特徴の2つ目が、「自己処罰思考<自己責任思考」です。

自己処罰思考とは、問題や自分の思い通りにいかないことが起こった時に、「自分はダメ人間だ」「自分のせいだ」「自分のダメなところを探そう」という自分を攻撃する思考です。

自己責任思考とは、問題や自分の思い通りにいかないことが起こった時に、「解決するために、自分には何ができるのか?自分は何をするべきか?」と解決に向けて、自分のアクションを見出す思考のことを言います。

キャリアアップする新入社員は、「この課題が失敗したら自分のせいだ」ではなく「課題を解決するために、自分が何をするべきか」と考える傾向があるのです。

自己責任とは、「私のせいだ」と自分を責めることではない

実際には、上記の2つをしっかり分けて理解できていない方も多いと感じます。例えば、自己責任という言葉を聞いた時に、自己処罰と混じってしまい「理不尽だろうが何だろうが自分のせいだと考える」「どんな問題でも、自分を責める」と考え、「なんでも自己責任だなんて、ブラック企業だ!」といった批判をする方がよく見受けられます。

新卒社員が日々の業務で成長し、成果を出し、幹部へとキャリアアップしていくには、自己責任思考で、「自分には何ができるのか?」と解決に必要なアクションを見出し、行動することが必要です。しかし、多くの新卒社員の方は「これ、私のせいではありません」「先輩の指示が足りないから……」「クライアントが言わなかったから……」と、他人、環境のせいにし「自分には何ができるのか?」をなかなか見出せません。だからこそ、「自分には何ができるか」と「自己責任思考」を持つ少数の社員が、幹部へと成長していきます。

「防衛機制」という心理が、自分に不都合な事実をゆがめる

なぜ、自己責任思考を体現することが難しいのでしょうか? それは我々人間が持っている、防衛機制(defence mechanism)という心理的メカニズムが働くからです。

防衛機制とは、自分の思い通りにいかない現実や危険な状況に晒された時に、その不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムです。オーストリアの精神医学者であるジークムント・フロイト(Sigmund Freud)の研究が元になった概念で、このメカニズムが働くと、現実の否認や認知の歪み(事実、データを認めない、歪めてしまう)が起き、非論理的な思考になってしまいます。

今回は具体的に、新卒社員が頑張って提案書を書いたものの、上司に「これじゃあ0点だよ。とてもじゃないがクライアントに見せることはできない」と言われたケースを考えてみましょう。

自分の思い通りにいかない時、人は、論理的に「この問題を解決するために、自分には何かできるのか?」と考えず、「上司は自分の頑張った過程を無視したあげく、見る目が無いんだ」と他人、環境のせいにして、解決に向けてノーアクションになってしまうことがあります。

自己責任思考ができる場合は、「頑張ったが、自分よりも経験のある上司が、クライアントの役に立たない提案書だと言っているので、このままだとまずい」と問題をとらえ、「自分には何ができるのか?」を見出し、行動します。

「相手が悪い」と思える時こそ、自分にできることを考える

「自分には何ができるのか?」を考え、行動する時に、障害となる代表的なものが、「クライアントの伝達ミス」といった事実や「全て問題や自分の思い通りにいかないことに対して『自分には何ができるのか』を考えるのは、難しすぎるのではないですか?」「同期が遅刻を繰り返すのは、自分のせいですか?」といった疑問です。

こういった問題に、上司が論理的に「なぜ必要なのか?」を教えてあげることが重要です。ここからは、部下の疑問に対する回答例をご紹介します。

質問:「クライアントの伝達ミスは事実です。それでも『自分には何ができるのか』を考えるべきですか?」

回答例:
その通りです。事実は事実だから、それをクライアントのミスではなく、自分のミスだといったように事実を歪める必要は一切ありません。ただ、問題を解決したいなら、「自分には何ができるのか?」を見出すべきです。そうしないと「クライアントのミスだから私は何もしなくていい」という思考になってしまい、問題が解決しません。ノーアクションで、問題が解決することは絶対にありません。「自分には何ができるのか?」を考え、「依頼された時に足りない情報を自分から確認する」といった具体的なアクションを見出し、実行することで問題は解決していくのです。

ちなみに、これは対上司でも同じです。上司は新卒社員の何倍もの業務量と責任を負っていることがほとんどで、部下が足りない情報を確認していく、というのはどの会社でも必要になります。上司の伝達ミスのせいだからといって、アクションを起こさなくては問題は解決しません。

質問:「全て問題や自分の思い通りにいかないことに対して、『自分には何ができるのか』を考えるのは、難しすぎるのではないですか?」

回答例:
そうかもしれません。だからこそ、役割分担と優先順位は上司に相談すればいいのです。この問題は優先順位を下げる、この問題は「自分には何ができるのか?」を見出す、といったことです。

また、人間は完璧ではないので、時には「○○のせいだろー!(笑)」と同期に話を聞いてもらって、エネルギーを回復させる、といったことはもちろんOKです。ただ、「○○のせいだー!」と言うだけでは問題は解決しませんので、エネルギーが復活したら、「自分には何ができるのか?」を見出すことが必要です。

質問:「同期が遅刻を繰り返すのは、自分のせいですか?」

回答例:
いいえ、あなたのせいではありません。ただ、この問題を解決したい場合、「自分には何ができるのか?」を考え、解決に向けたアクションを生み出す必要があります。「どうすれば、同期は時間を守れるのか?」を考え、行動に移すということです。とにかく「ノーアクション、ノー問題解決」という原理原則は変わらないからです。

他人の遅刻のために自分が何かをするのはおかしい、という方がいらっしゃいますが、それは組織論的には間違っています。他人が起こす問題であっても、全員で解決し、全体でハイパフォーマンスを出していくのが組織です。自分が起こす問題は他人である上司にフォローしてもらい、他人の問題は関係ない、というのはただのわがままです。組織で成果を出して、それを分配するからこそ、入社したばかりの新卒社員でも給与がもらえるのですから。どうしても、他人が起こす問題に「自分には何ができるのか?」を考えるのがおかしいと思う人は、組織を辞め、個人事業主になって仕事をするべきでしょう。

自己処罰ではない「自己責任思考」が、組織を強くする

今回は「将来幹部になる/なれない新入社員の6つの思考習慣の違い」の2つ目、「自己処罰思考<自己責任思考」を紹介しました。次回の連載では3つ目の「違い」についてご紹介します。

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