いま、職場に求められるハラスメント対策
職場のパワハラ問題 相談窓口に必要なのは「匿名性」と「第三者性」
従来の「相談窓口」が機能していない
セクハラ、パワハラの問題が連日メディアで取り上げられています。
今般、パワーハラスメントを防止するための報告書が、厚生労働省の有識者検討会でまとめられました。パワハラは労働者の生産性や意欲の低下を招き、個人にとっても会社側にも「大きな損失」となります。都道府県の労働局に寄せられたパワハラ相談は平成28年度に7万917件で、14年度の6627件から10倍以上の伸びを示しています。
報告書では想定される具体策として、防止の周知・啓発や就業規則での規定、「相談窓口」の設置を挙げています。今後は、防止策を義務化するなど、厚労相の諮問機関の労働政策審議会で、引き続き検討されるとみられます。
大手企業では社内、社外に「相談窓口」を設置するケースも増えていますが、うまく従業員の声を拾えている企業は意外と少ないのが現状です。そのひとつの原因としては、顧問弁護士等を「相談窓口」にしていることが挙げられます。従業員からすると、やはり会社サイドの窓口として捉え、自分の立場への影響を警戒する心理が働くものと考えられます。形だけの防止策では実際の問題解決にはなりません。
第三者による「相談窓口」で発言しやすい環境づくりを
それを補完するひとつの手法として、第三者機関が運営する「相談窓口」、特に匿名性の高いWEBサイトによる「相談窓口」が注目されています。これは、従業員の発言しやすい環境作りに有効な手段となりそうです。
ここで、ひとつ代表的な事例を挙げます。従業員数約150名、情報サービス系のITベンチャーで、将来的に上場を目指している勢いのある会社の事例です。
匿名性を確保することで、社内の実態が明らかに
比較的年齢層の若い会社で自由な社風なのですが、30代前半の社員が半年で立て続けに9名退職しました。退職理由は様々でしたが、社長は何か手を打たなければと、部署ごとの上長に部下の面談を実施させました。
ところが、皆当たり障りのない回答ばかりで、結局これといった不満や問題点は見つからず、逆にいまの若い世代が何を考えているのか、仕事や会社に対する想いについて、その本音の部分がよく分からなくなりました。
そこで、社長は友人の勧めで、友人の経営する会社で実施したES(社員意識)調査を専門業者を使って実施してみることにしました。
そして、1ヵ月後、ES(社員意識)調査の分析結果を見て、社長は驚きを隠せませんでした。これまで、フラットで自由な社風と思われていたのですが、実は全く逆の結果が出たのです。
多くの設問項目で管理職、非管理職との意識のギャップが露見し、対外統計データとの偏差値比較も基準値を下回る項目が多数ありました。一見、自由で働きやすい社風に見えますが、自由がゆえに会社への帰属意識や愛着心、内部統制力が弱くなり、特にマネジメントや教育面での若手社員のフラストレーションが相当溜まっていたようです。
現状を正しく把握することが、社内問題解決の第一歩
社長はES(社員意識)調査の分析結果を真摯に受け止め、まず、管理職に対しES向上を目的とした研修を行い、同時に社員に対して自社のブランディングを行うようにしました。自社のブランディングというと大げさに聞こえますが、要は社員にもっと会社のことを知ってもらい、その価値と誇りを改めて感じてもらうというものです。
この会社ではこれまで、営業部内で成績優秀者に対して表彰を行ってきましたが、これを全社的な表彰イベントにし、対象者も営業だけでなく、それを支えたバックヤードのメンバーに対しても広げました。
また、記念イベント等、社内行事を作り、それを通して帰属意識や部署を越えたコミュニケーションの場を増やすように努め、合わせて社員の声を拾いやすい環境づくりのために「社外相談窓口」を設置しました。翌年実施されたES(社員意識)調査の結果は、その取り組みの効果がしっかり反映されたものとなりました。
大切なのは、セクハラ・パワハラを他人事と思わないこと
セクハラ・パワハラ問題については、他人事だと思わず、「自社にも不満のある社員がいるのではないか」と考えていくことが大切です。相談窓口を設ける際には、「企業側」と思われない、公平性を担保した相談窓口の設置を検討するのが良いでしょう。
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