遠隔地教育でもモチベーションを下げずに学習を完了させる

グローバル展開を支える社内英語教育の取り組み

グローバルな市場を目指す日本企業にとって、従業員の英語力の向上は避けて通れない課題です。それぞれの従業員に必要なスキルを把握し、ニーズに合ったプログラムを用意することは簡単ではありません。そこで今回は、日本を代表する電子部品メーカーである村田製作所の奥田美佐氏に、同社の英語教育の取り組みを紹介していただきました。売上高の93%が海外向けである同社では、どのように従業員の語学力を磨いているのでしょうか。

村田製作所のグローバル人材育成プログラムと英語教育施策について 

株式会社 村田製作所
人事部 グローバル人事課 奥田美佐氏 

村田製作所では、2011年に「10年後にありたいムラタの姿」を描いたコーポレートグランドデザインが提示され、その中で行動指針の1つとして「真のグローバル化」を推進することが掲げられました。これを契機に、人事部としても「真のグローバル化」に向けて、グローバル人材育成をどのように進めるかが問われ、大きく舵を切るきっかけともなりました。

現在、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアに存在する全拠点数は100を越えています。地域別の売上高で見ますと、2015年の段階で日本は7%、海外売上高は93%となっています。

海外の駐在員と従業員の移り変わりを2000年と2017年で比較すると、以下のようになっています。

・日本人海外駐在員
 2000年:200人 → 2017年:600人

・海外拠点従業員数
 2000年:9,000人 → 2017年:42,000人

このように、海外での急速な事業拡大という背景があり、海外駐在要員はもちろん、工場勤務者などでも急速に外国語の対応が必要になる人員が増加していきました。そのため人事として、こうした層に教育研修の機会を提供していきました。

英語については、ETI(English Training Intensive)というプログラムを2011年下期からスタートしています。「語学学習は自己啓発」というスタンスのもと、弊社全体の英語力底上げのための研修という位置づけでスタートしました。国内グループの中で語学強化が必要なTOEICスコアのレンジにいる対象者の数や、職掌などで対象者数を算出し、3年半で1,700名が受講しました。このときは、前半で英語講師を招いての対面レッスンを行い、後半を自己学習期間としていました。

一定の成果を上げたETIですが、現状で良いのかを客観的に把握するため、3年半が経過したタイミングで海外関係会社の社員にアンケートを実施しました。

その結果、英語力の底上げができたことは成果としてありつつ、さらにビジネスレベルの英語力への積み上げを求める声が多く、既存の研修体系ではカバーできないニーズが明らかになりました。また、底上げがまだまだできておらず、英語に対して意識変革が必要な部分も残っており、依然として現状の研修の対象層がいることも分かりました。

そこで、その両方をカバーすべく、2015年に大きく体系をリニューアルしました。

4段階のレベルに応じたプログラム提供へ

TOEICスコアのレベルによりプログラムを4つの層に分割。ETI第1ステージ~第4ステージという名称で、それぞれのレベルに適したプログラムを提供するようにしました。

ETI第1ステージは、旧来の英語力強化研修の初級クラスを、規模を縮小して残し、英語学習のきっかけ・習慣作りを目的としました。

ETI第2、第3ステージの階層が大きなリニューアルとなりました。第2ステージではTOEIC500点台を対象とし、発信型スキル強化を目的として、ライティングを通した文章表現力・構成力を磨く講座を実施。また第3ステージではTOEIC600点台を対象とし、コミュニケーション力強化に焦点を絞って、情報発信と簡単な質疑応答ができるレベルを目指す講座を実施しました。

TOEIC700点以上を対象とする第4ステージでは、学習方法などはすでに身についているレベルとして、研修は提供せずに、自己啓発支援を積極的に行うこととしました。また第4ステージだけでなく、あらゆるレベルに対して、自己学習の補助となるよう会社指定講座の受講料補助や、単発セミナーの開催などで支援の拡充を行いました。

大きなリニューアルポイントとなった第2、第3ステージは、今まで研修の提供が難しかった、工場などの社員も受講できるようなプログラムとしました。TOEIC500点台の第2ステージにはeラーニングによるライティング講座、また600点台の第3ステージにはWEBベースのオンライン英会話を実施しています。

【写真】TOEICのスコアレベルに応じた講座を開始し、成果を上げている(提供:村田製作所)

事務局の働きかけが肝であり、課題に

以前実施していた対面レッスン型の研修は、担当講師が地域によって異なり、拠点ごとに教え方や品質にばらつきがありました。また、受講者のモチベーション維持にも課題があり、しっかり受講を完了するように、研修事務局である人事から頻繁に進捗確認やフォローアップを行うことで研修成果を上げるように動いていました。

事務局から受講生への関わりがモチベーションを維持し、成果につながることは明らかでしたが、かなり人的工数がかかることもあり、受講者が自律的に高いモチベーションを維持する良い仕掛けはないかと模索していました。

そんな中、遠隔地教育でも受講者が最後までモチベーションが維持できる、WEIC社提供のサービスを見つけ、第2ステージと第3ステージで新たな取り組みとしてスタートしました。

その結果、両方のステージで、学習完了率は100%に近くなっています。研修終了後も自発的に学習を続ける社員が多く、受講者の学習モチベーションはかなり高く維持できていると言えます。

経費削減の面では、運用工数を削減し、かつ全国展開しながら、対面式で実施していた研修と比較しても、TOEICのスコアで十分な成果が上がっています。1名あたり5万円程という予算の中で、遠隔地拠点の社員へ、十分なプログラムが提供できていると言えます。アンケートの結果を見ても、受講者のプログラムへの満足度は高いものでした。工場などの遠隔地でも、やり方を工夫すれば、eラーニングやオンライン英会話で良い成が得られることが分かりました。

なお、「話す」という観点にフォーカスすると、ETI第3ステージの実績として、費用は4~5分の1で、別途実施している「フィリピンに2カ月、1日5時間×60日の語学合宿」の50%程度(=フィリピン留学約1カ月分と同等)の成果が出ています。

グローバル化推進体制の再構築へ

今後の課題としては、これまで英語に関わったことのない社員が、生産移管などで突然、海外駐在となるケースが挙げられます。
今までであれば、海外駐在がそもそも想定されていなかった製造現場に近い社員が、駐在するケースも出てきております。駐在開始までの短期間で望める語学レベルの向上は限られるため、出向後に不具合が生じることが予想されます。

事業の観点から、出向が予想される対象層の早期見極めと、英語研修制度の活用方法の認知と意識の向上を図って行く必要があると考えております。

同時に、日本と海外の従業員割合において、海外が既に過半数を超えている状況から、改めて弊社グループ全体のグローバル化を推進する体制づくりが急務と考えております。

<会社概要> 

株式会社 村田製作所

設立 1950年(創業1944年)
​本社所在地 〒617-8555 京都府長岡京市東神足1丁目10番1号

セラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行う世界的な総合電子部品メーカー。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウエアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献している。

関連サービス

ITと対人レッスンを融合した語学及びグローバル研修の提供

厳選された「学習教材」、受講者のやる気を上げる「チーム学習」、最適化された「サポート」を組み合わせ、無理なく、楽しく「最後までやり抜くメカニズム」を応用し、学習量を飛躍的に上げることに成功した学習プログラムです。

サービス詳細 https://at-jinji.jp/service/450/556

【企画・制作:@人事編集部広告制作部】

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