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専門家に聞くJアラート配信時の人事・総務向け対処法


ミサイルが発射されたら会社は休み? 緊急時に企業が取るべき対応

2017.08.29

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2017年8月29日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受け、政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)の配信を行いました。「社員の出社・待機命令はどうすれば良いのか」と、人事・総務担当者の中には、Jアラートへの対応に迷った方もいるのではないでしょうか。

危機管理においてもっとも大切なことは、事前に適切な対応を理解しておくことです。@人事編集部では、「Jアラートが配信されたときに会社が取るべき対応」について、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏と、特定社会保険労務士の藤原伸吾氏に話を聞きました。

目次
  1. ミサイルが発射された場合の対応ルールをあらかじめ用意
  2. 遅刻や欠勤としては扱わないことが一般的

ミサイルが発射された場合の対応ルールをあらかじめ用意

防災・危機管理アドバイザー 山村武彦氏

防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏

世界中約250カ所の災害調査を実施し、現地調査写真レポートをホームページに公開。近年も東日本大震災、ネパール地震、熊本地震等の調査を行う。その教訓を活かすべく、企業や自治体などの防災・危機管理アドバイザーとして防災計画、BCP(事業継続計画)策定、監修に参画。国立大学法人京都大学、伊藤忠商事株式会社、住友重機械工業株式会社など、多数の企業・団体に防災・危機管理のアドバイスを行っている。

 

――今回(2017年8月29日)のように、社員がまだ会社にいない時間帯にミサイルが発射されたら、企業はどんな対応を取るべきでしょうか?

ミサイルが発射されたときは、公共交通機関が全てストップする可能性があります。当日は午前休にする、または全休にするなど、「ミサイルが発射された場合の対応に関するルール」をあらかじめ作っておく必要があります。そのルールを社内に徹底して周知しておくとよいでしょう。当日はそのルールに従うのがベストです。

――では、社員が勤務している時間帯にミサイルが発射されたときは、どんな対応を取るべきでしょうか?

雨戸やカーテン、ブラインドがある場合は、ガラスの飛散を防ぐために閉めてください。ただし、Jアラートの警報が鳴ってからミサイルが着弾するまでには3~5分程度しかないことを念頭に置き、無理な行動は取らないことも大切です。

社員には窓ガラスから離れるように指示し、窓のない部屋がある場合はそこへ移動してください。窓から離れたあとは、しゃがむなど低い姿勢を取って、着弾に備えます。地下に部屋がある場合は、地下へと移動してください。できれば、平時にオフィス内のどこが「安全ゾーン」であるかを確認しておき、ミサイル発射時には「安全ゾーン」へと移動するとよいでしょう。

鉄筋の建物はもちろん、そうでない建物でも、ミサイルが発射されたときは、着弾するまで屋内に留まってください。停電でエレベーターが停止する可能性が高いため、高い階にオフィスがあるときは、階段で「安全ゾーン」に向かうまでにかかる時間を把握しておきましょう。

また、ミサイルには化学物質が搭載されている可能性があります。化学物質の吸入をしてしまわないよう、エアコンや換気扇は停止してください。もしも近くにミサイルが着弾したときは、化学物質を避けるため、風上の方へと避難しましょう。

――このほかに、事前に準備しておくべき対策はありますか?

BCP (事業継続計画)を準備しておきましょう。有事におけるマニュアルも事前に作成しておく必要があります。すでに制作している場合は、リスク項目に「ミサイル発射」があるかどうかを確認してください。

また、社員研修会を開き、ミサイルが発射された際の対応を事前にレクチャーしておくことも大切です。レクチャーの内容は、社員の家族にも共有しておくことがベストです。

遅刻や欠勤としては扱わないことが一般的

特定社会保険労務士 藤原伸吾氏

社会保険労務士法人ヒューマンテック経営研究所代表社員特定社会保険労務士の藤原伸吾氏

社会保険労務士法人ヒューマンテック経営研究所代表社員。東京都社会保険労務士会理事。労働関係諸法令をめぐる企業の労務相談、就業規則等の制改定、M&Aにかかる人事労務面からの総合支援やグループ経営強化支援、IPO支援等のほか、トータル人事制度の企画・導入指導など、人事労務全般にわたるコンサルテーションを手がけている。

 

――Jアラートが配信されたとき、会社はどんなことに注意するべきでしょうか。

企業が留意すべき点として、まずは非常事態が発生することを想定して、下記のような事前の対策をとっておくことが大切です。

  • 外出時の安否確認のための連絡先、連絡手段、避難場所等をあらかじめ確認・周知しておく
  • 帰宅困難になった場合に、従業員が施設内に留まれるよう、最低3日分の水、食料その他の必要物資を備蓄しておく

東日本大震災が発生したときには、従業員が帰宅することができずに会社に留まるといった事態が多く発生しました。会社としては、「ミサイル発射」や「大震災」などの非常事態に備え、日頃からの対策が重要となります。

――今回のように、通勤前の時間にJアラートが発令され、自らの判断で出社を遅らせたり、避難して出社が遅れたりしたときは、どのように対応するべきでしょうか?

賃金は、ノーワークノーペイの原則に基づいて、働いた時間に応じて支払う(欠務した時間があればその分を控除する)のが基本ですが、このような非常事態が発生した場合には、遅刻として取り扱わず、通常どおり出社したものとして扱うなど、特別な対応を行うことも考えられます。

また、昇給や昇格、賞与の際の勤怠評価においても、どのような取り扱いをするかについて検討しておくことが必要です。これは法律上の義務ではなく、会社としての対応方針の問題と言えます。

弊社では、東日本大震災が発生した際に、電車の大幅遅延や交通遮断などにより、遅刻や欠勤を余儀なくされ、会社としてどのように対応すべきかについて多数の相談を受けましたが、多くの会社では、前述のように特別な対応を行うこととしていました。


Jアラートとは?

弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を国(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステム(総務省消防庁)

参考:全国瞬時警報システム(Jアラート)とは(総務省消防庁)

BCP(事業継続計画)とは?

災害や事故などの予期せぬ出来事が発生した際に、事業活動を継続させる、または一定期間内に事業を再開できるようにするため、あらかじめ策定した行動計画のこと。

参考:BCP(事業継続計画)とは(中小企業庁)


【参考情報】弾道ミサイル落下時の行動について

http://www.kokuminhogo.go.jp/(内閣官房国民保護ポータルサイト)

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