IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経産省)
日本のIT産業の給与は「能力・成果重視型」企業でも「年功」的な傾向
2017.08.28
日本のIT産業では「能力・成果重視型」の企業でも給与は年功的な特徴を持っている──経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、今後日本の産業の成長にとって重要な役割を担うことが期待されるIT人材の給与等の実態についてアンケートを調査実施し、その内容について分析を行った。詳細は以下の通り。
技術革新による需要増と人口減少で、IT人材は今後ますます不足
経産省は「第四次産業革命と呼ばれる技術革新の進展で、IT人材は、IT関連業界のみならずあらゆる産業において必要とされてきている」と調査の背景を紹介。
今後、日本社会では、人口減少とあいまってIT人材はますます不足することが見込まれることを指摘した上で「優秀なIT人材の獲得競争は業界・国境の垣根を越えて激化しつつあるが、こうした競争を制するためには、IT人材をどう評価し、処遇するかが重要な要素となる」という問題意識から、本調査を実施した。
能力・成果重視の企業でも給与には年功的な特徴が見られる
企業に対する「年功の影響度」についての質問回答結果から、IT 関連企業の給与制度を「年功型」「能力・成果重視型」「中間型」の三種類に分類し、それぞれの企業群における年齢別の給与水準を比較した。
その結果、日本においては、いずれの企業群でも米国のような 30 代の年収水準がピークとなる成果主義的な給与カーブにはなっておらず、年功的な右肩上がりの給与カーブになることが分かった。
また、「能力・成果重視」型企業群において最高水準を達成している人材では、30 代までの早い時期から年収水準が高くなるが、年収の絶対額・年功型企業群との比較の双方の観点から見て、突出した給与水準が設定されているわけではないことなどが判明した。
給与決定で特に重視される項目は「成果」と「ITスキル」
IT 人材の給与決定にあたっての企業側の重視事項について、7つの項目を設定し、各項目の優先順位を明らかにした。最も多くの企業側が「優先順位1位」として挙げたのは「成果(32.8%)」で、次点に「ITスキルのレベル(30.2%)」、「コミュニケーション能力(19.0%)」が続いた。
若手は「技術力」、45歳以上は「マネジメント能力」が評価要因
社内で最高水準の年収を実現している人材について、年齢別に最高年収の水準を達成している要因を明らかにした。調査結果からは、キャリア前半の 25 ~ 35 歳時は「実務的技術」が最も重視され、キャリア後半の 45 歳 ~55歳時になると重視される要素が「マネジメント能力」へと切り替わっていることなどが判明した。
スキルが高い人材ほど、残業時間が長い傾向にある
IT 人材の残業時間と勉強時間 ・IT 人材の残業時間と勉強時間の関係について、属性別の分析を実施したところ、スキルが高いほど、残業時間・勉強時間ともに長い傾向にあることなどが判明した。
また、年収別にIT人材の残業時間と勉強時間を調査したところ、年収の高い人材ほど、残業時間・勉強時間ともに長い傾向にあることも判明した。
さらに詳しい内容は、経済産業省WEBサイトに掲載されているPDFファイル「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から確認することができる。
参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省プレスリリース、2017年8月21日)
【編集部より】日本のIT企業に関する、この他の記事はこちら。
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