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グーグル、多様性否定のSEを解雇 ダイバーシティ担当幹部の回答全文

2017.08.10

  • ダイバーシティ
  • 経営・人事戦略
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Google/Carlos Luna

米グーグルの匿名男性社員が作成した「男女の能力の違いは生物学的な差異に起因するため、必ずしも男女平等を実現する必要はない」との内容の社内文書が明るみに出て、大きく波紋を呼んでいる。多様性の拡大を掲げる同社のポリシーを大きく否定するこの文書に対して、同社のダイバーシティ担当副社長に新たに就任したダニエル・ブラウンが返答し、「グーグルは多様性と男女平等を支持する」との見解を示している。

男女不平等を肯定する社内文書が流出し、大きく波紋を呼ぶ

事の発端は、8月初頭にグーグル社内のメーリング・リストで公開された「Google’s Ideological Echo Chamber(グーグルのイデオロギー的エコー・チェンバー現象)」と題した匿名文書。

10ページに及ぶこの文書の中で、著者の男性社員エンジニアは、男女平等を目指すグーグルの文化について「左派的」と批判し、「男女の能力の違いには生物学的要因があるため、IT産業やリーダーシップにおいては、必ずしも男女平等を実現する必要はない」という趣旨を述べた。

この文書が社外に流出すると、複数のメディアが一斉に報じた。

ダイバーシティ担当副社長による返答文書の全文

これに対して、グーグルのダイバーシティ担当副社長に新たに就任したダニエル・ブラウンは社内文書で返答。男性エンジニアの見解を支持しない旨を述べ、グーグルは今後も多様性や男女平等を推進していくと宣言した。

フォーチュン誌が報じた全文は、以下のとおり。

社員各位

グーグルのダイバーシティ担当副社長に先ごろ就任したダニエルと申します。この役職に就いたのはつい二週間前のことで、本来であればもう少々時間をいただいて社内の状況をよく把握してから、皆さんに自己紹介するつもりでした。しかし、ここ数日間の激しい議論を受けて、少し意見を述べる必要があると感じました。

皆さんの多くは、当社のエンジニア部門の匿名社員が共有した社内文書を読んだことと思います。この文書は、ジェンダー(性別)に基づく能力や特徴の差異に関する意見を述べるとともに、こうした物事についてグーグルで自由に話し合うことができるか否かについて言及しています。そして皆さんの多くと同じように、私はこの文書はジェンダーに関する誤った仮定を喧伝するものと感じました。ここではその文書の全容は述べません。私個人を含めて、グーグルは、この文書で述べられた見解を支持も承認もしないためです。

ダイバーシティとインクルージョンは、当社の価値観の根幹を成すものであり、我々が文化として培っていくべきものです。当社は企業として成功するためにダイバーシティとインクルージョンの実践が欠かせないという揺るぎない信念を抱いています。今後もこの精神を体現すると共に、長期的にその促進に取り組んでいきます。技術担当副社長のアリ・バロウが社内文書で述べたとおり、『オープンでインクルーシヴな職場づくりは、当社の個性のコアであり、正しい行為なのです』。

グーグルはこれまでもこの問題について強い姿勢を明確にしており、社員の人口統計データを公表し、ダイバーシティとインクルージョンに関する社全体のOKR(目標・成果)を作成してきました。強い姿勢は往々にして、強い反応を引き起こします。既成の文化を改革することは、一筋縄ではいかない取り組みです。しかし私はグーグルの取り組みは正しいと固く信じており、だからこそこの仕事を引き受けたのです。

たしかにオープンでインクルーシヴな環境づくりには、政治観を含めて、異なる見解を持つ個人が、安心して意見を述べ合うことができる文化を育むことも含まれます。しかしながら、その対話は、当社の社則やポリシー、さらには反差別法に明記されている雇用機会平等の原則の文脈において行われる必要があります。

私はもう長いあいだこの業界で勤めていますが、社員が意見を述べ合うプラットフォームを、グーグルほど多彩に有する企業は他に知りません。今回の議論は、今日の私のEメールだけでは終わらないでしょう。今後も私が職場に慣れていくにつれて、皆さんの考えをぜひ聞かせてください。多くの社員の方々と出会えるのを心待ちにしています。

ダニエル

フォーチュン誌によれば、グーグルの広報担当者はダニエル・ブラウンとアリ・バロウの両副社長による社内文書が、グーグルの公式見解だとしている。

Googleは文書を作成した男性を特定し解雇 男性は訴訟を起こす構え

フォーチュンの報道によると、件の社内文書を書いたのはジェームズ・デイモアという男性エンジニアであると特定され、グーグルはこの男性を先日解雇した。男性はこの処分を不服として、グーグルを相手に訴訟を起こす構えだという。

【参考】
Read Google’s Response to An Employee’s Controversial Diversity Memo (August 7 2017)|Fortune
グーグル、「男女の不平等は生物学的な差異」との社内文書に反論 (August 7 2017)|Fortune
グーグル社内で多様性否定の文書 IT業界で女性が少ないのは生来の違い (August 8 2017)|BBC

翻訳編集=櫻谷知央

【編集部より】グーグルの人材戦略について、この他の記事はこちら。

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