コラム

働く方のためのメンタルヘルスLab


「こころの病気かな?」と思ったらすぐ行動を! 産業医に相談、または精神科へ。

2017.08.22

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平成26年に実施された調査によると、日本人の4人に1人が過去3年間でメンタルヘルスの不調を感じた経験があるとのこと。(労働政策研究・研修機構「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」)。特に働く人にとって、メンタルヘルスの不調は他人事とは言えない問題ではないでしょうか。

今回は、オンラインカウンセリングや、認知行動療法を学ぶことのできるゲームアプリケーションSPARXを提供する「HIKARI Lab」代表の清水あやこ氏から、働く中でメンタルヘルスに不調を感じた際の対処法をご紹介いただきます。

目次
  1. こころの病気かもしれない、と思ったときは、迅速な行動を。
  2. こころの病気を患っているのかどうかを教えて欲しい時は?
  3. 通院歴が会社に知られることはない
  4. 誰かに話して気分をコントロールしたい時
  5. 休職までの流れ
  6. こころの不調を感じたら、気軽に、迅速な行動を。

こころの病気かもしれない、と思ったときは、迅速な行動を。

何をしていてもやる気がでない、辛い、いつも眠い、楽しいと思えることがない、憂うつな気分が続いている…これってもしかして、うつ病?

そんなふうに気になりだすと、心配が雪だるま式に膨れ上がっていきます。

でも、いったい誰に、何を相談したらいいのだろう?
病院に行ったら、会社にバレてしまうのでは?
これからのキャリアに、支障がでるのでは?

もし「うつっぽいかもしれない…」と感じても、どのような流れで治療が進み、どのように会社で手続きが行われるのかが理解できていないと、なかなか行動を起こすことができません。

しかし、うつ病は、最初の対処がとても大切な病気です。放っておくと、急に動けなくなったり、日常生活に支障をきたしたり、治療が長期化してしまったりすることがあります。

今回は、うつの悪化を防ぎ、より早期に行動を起こすために、こころの不調を感じた時に、まず誰に相談するべきか、仮に休職する場合はどのような流れで手続きが進んでいくのかを紹介します。

これを読んで、少なくとも「自分は、いつでも相談できる場所がある」ということを知ってください。きっとそれだけでも気持ちが軽やかになる方もいらっしゃるでしょう。

こころの病気を患っているのかどうかを教えて欲しい時は?

「こころの病気を患っているのかを教えて欲しい」

そのような時は、まず、会社の産業医に相談するか、精神科のある病院に行きましょう。こころの病気の診断は、医師のみが行うことができます。

産業医は会社に常駐している医師のことです。産業医に相談するのが憚られるときは、精神科の受診をおすすめします 。

こころの病気の場合、診断は問診や心理検査によって行われます。例えばうつ病の場合、

  •  どれくらいの期間、気分の落ち込みが続いているか
  •  何時間くらい眠ているか
  •  どの程度の食欲があるか

など、診断を下すために確認すべき項目がいくつかあります。病院ではまずお医者さんから、これらの項目について質問されます。質問には、最近の状況を思い出しながら、正直に答えていきましょう。特に難しい質問などはないので、身構える必要はありません。

全て質問が終わると、うつ病かどうかの診断が下されます。

また、病院では薬を処方してもらうことができます。例えば、憂うつな気分を軽減させるための抗うつ薬や不安を和らげる抗不安薬が処方される場合があります。患者さんの希望に応じて、漢方薬を処方してくれるところもあります。他にも眠れない、お腹が痛い、頭が痛い、といった身体症状がある場合は、それらの症状に対して薬が処方されることもあります。

通院歴が会社に知られることはない

通院していることを会社に知られたくない、という方も大勢いらっしゃるかと思います。クリニックや病院の場合は、自分や他人を傷つけてしまうなど、よほどの事情がない限り、他に情報がいくことはありません。もちろん、自主的に報告しなければ、転職先にその事実が伝わることもありません。

ただ、障害者手帳を取得すると、様々な控除や措置を受けることができますが、そのために必要な事務手続きの中で、会社側が知る・気づくこともあります。とはいえ障害者手帳は自分で申請するものですので、発行するかどうかは自分で決めることができます。

誰かに話して気分をコントロールしたい時

うつ病とは診断されなかったものの、気分の落ち込みや不安がある。薬も飲んでいるが、対処療法ではなくて、もっと積極的に「悩みそのもの」にアプローチして解決していきたい。そんな時は、心理療法を受けてみるのもいいかもしれません。

現在日本でよく見かける心理療法は、認知行動療法や来談者中心療法、家族療法、精神分析といった手法が用いられています。最近ですと、外資系大企業が取り入れたことでマインドフルネスが話題になっていますが、これも心理療法として用いられる手法のひとつです。

各理論、特徴があるのですが、共通しているのは、セラピストは問題解決のための専門知識を持っているプロフェッショナルであり、第三者なので、これまで誰にも話せなかったような内容でも、安心してなんでも話しやすいという点です。

心理療法は、医師や臨床心理士が行うことが多く、病院や民間のカウンセリングルームなどで受けることができます。認知行動療法の場合、保険を適用することができる病院もあります。しかし、投薬のみしか行っていない病院や、心理療法を行っていても保険を利用できない病院もあるので、事前に電話やwebサイトなどで確認しておくとよいでしょう。

休職までの流れ

出社するのがあまりにも辛い場合は、「休職する」というのも1つの選択肢です。

まずは会社の規定について調べ始めてみましょう。休職中は傷病手当金をもらえることも多いので、条件を確認しておきましょう。

自分で規定を調べたり、判断をしたりするのが難しい場合は、社内規定の資料を集め、信頼できる友人や、社会保険労務士、担当医に相談することをおすすめします。

会社によって多少の差はあるかもしれませんが、休職から復職までの大まかな流れは下記となります。

  1. 産業医を受診後、精神科を受診。もしくは直接精神科を受診
  2. 主治医の休職診断書を人事部および上司に提出
  3. 人事部による休職の規則に則って休職
  4. 決められた期間休職
  5. 人事部および上司への主治医の復職診断書の提出
  6. 産業医面談
  7. 人事部の規定に則って復職

こころの不調を感じたら、気軽に、迅速な行動を。

既によく知られていることですが、うつ病はその時の環境や体調次第で誰でもかかり得る病気です。「あれ?」と思った時は、気軽に行動を起こしてみてください。もし本当にうつ病であれば早期に治療を開始できますし、うつ病でなければ、安心してしっかり休むことで気分が改善していくでしょう。

もし、「休日に病院に足を運ぶことすら億劫だ」「疲れ過ぎていて、何から手をつけたらいいか考えられない」という方は、オンラインカウンセリングを活用してみてはいかがでしょうか。家にいながら、専門性の高いカウンセリングが受けられます。必要であれば通院や休職など、あなたが取るべき次の行動をカウンセラーが判断し、教えてくれるはずです。

身体だけでなく心も、早期発見と治療がとても重要です。なにかあってからでは、失うものがとても大きいからです。最近では通いやすい雰囲気の精神科も多くあります。咳が出る時に病院に行くような心持ちで、気負わず、まずは訪れてみましょう。

【編集部より】
働く人向けの「メンタルヘルス」に関する記事はこちら。


人事担当者が読んでおきたい「メンタルヘルス」に関する記事はこちら。

執筆者紹介

清水 あやこ(株式会社HIKARI Lab代表) 新卒で数年間外資系証券会社で勤めた後、退職し東京大学大学院臨床心理学コースにて臨床心理学を学ぶ。在学中に株式会社HIKARILabを設立。会社のモットーは「今までにない心理ケアを提供し、簡単に心理ケアを受けられる社会を実現する」。現在は、オンラインカウンセリング「ココロワークス」と心理ケアゲーム「SPARX日本語版」などの開発に携わる。著書に「ちょこっとポジティブ。」(大和出版)、「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)がある。

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