人事に薦める一冊

『水滸伝』が教えてくれる「採用」の在り方～NPO法人ドットジェイピー・佐藤大吾氏～

2015.09.09

NPO法人ドットジェイピーの理事長を務める佐藤大吾氏が薦めるのは、中国の歴史小説の大作で「四大奇書」の１つ『水滸伝』だ。腐敗した国政を救うため、108人の英雄が梁山泊に集結するこの物語に、佐藤氏は採用活動の在るべき姿を見出し、警鐘をならす。

一人ひとりの人生に向き合うことが真の採用

物語の中で、梁山泊には様々な人物が集う。登場人物には、それぞれの歩んだ人生がある。大将たちは、仲間に加わってもらうために一人ひとりの人生に全力で向き合い、口説いていく。

「水滸伝」（北方謙三）: 文庫本
2006/10/18発売（シリーズ1作目）
本体600円＋税

近年、ネットによる採用活動が目立つ。その効率性を活用することは問題ないが、採用とは根本的に、大量の人材をふるいにかけて残った人を採用するような作業的なものではない。
水滸伝の物語のように、一人ひとりの人生に向き合うことが真の採用である。

起業における最重要課題は採用だ。人事担当者は自らが起業したわけではないと思うかもしれないが、原点は同じこと。採れれば戦いはラクになり、採れなければ敵に遅れをとることになる。
人を採用することは、作業ではなく一人ひとりの人生と向き合う全身全霊をかけた大勝負。

人事担当者は、社長なり事業部長なりの「採用への想い」をしっかりと引き取って活動すべきである。

執筆者紹介

佐藤大吾（さとう・だいご）一般財団法人ジャパンギビング代表理事、NPO法人ドットジェイピー理事長。73年大阪生まれ。大阪大学法学部在学中に起業、その後中退。98年、若年投票率の向上を目的にNPO法人ドットジェイピーを設立。10年には、英国発世界最大の寄付サイト「JustGiving」の日本版を立ち上げ（15年、ジャパンギビング　http://japangiving.jp/へ改称）、13年には資金調達サイト「シューティングスター（http://shootingstar.jp/）」をオープン。