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仕事世界の「Google maps」になる? チャットツール「Slack」が目指すもの

2017.07.12

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米経済誌フォーチュンは先ごろ、ビジネス向けチャットツールを提供する「Slack」のスチュワート・バターフィールドCEOへのインタビュー記事を掲載した。Slack創立の経緯や、同社が現在開発中のAI技術を利用した最新機能などについて論じられている。(以下、抄訳)

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サービス開始から3年で、利用者は500万人、評価額は40億ドル

記事はSlackのサービスについて、「3年前にサービス開始して以来、Eメールに代わるコミュニケーション・ツールとして職場に定着してきた」と述べ、創立者兼CEOのスチュワート・バターフィールドについては「仕事の進化の分野における指導者的存在になった」と紹介。

さらに現在500万人の社員が業務連絡や文書共有にSlackのアプリを利用中であり、顧客にはIBMやキャピタル・ワン銀行、eBayなどの大手企業や、数千の新興企業が含まれること、同社の従業員数は現在約800人を数え、評価額は40億ドル近いこと、さらにアマゾンなどの大手IT企業がSlackの買収を検討中であることを紹介。

インタビューでは、Slack創立の経緯や、同社の今後の取り組みについての質問がなされた。主なやりとりは以下のとおり。

―Slackは元々、あなたが以前経営していたビデオゲーム企業「Glitch」で開発・利用していた製品です。現在のSlackは当時の構想と合致していますか?

はい、Glitchは「何かとても革新的なことをやりたい」という理念から創立した会社で、その過程においてSlackのいわば「試作品」が生まれました。当時はまだ名前はありませんでした。そしてGlitchを閉鎖した際に、これはすでに自分たちにとって必要不可欠であり、ほかの人々にとっても便利なツールとなりうることに気がつきました。そこで私たちは投資家向けにプレゼンを行いました。その時の企業使命は、現在の我々の事業内容と完全に一致しています。それは「人々の仕事人生を、よりシンプルで愉しく生産的なものにする」という使命です。

Google Mapsが現実世界に起こした変化を、仕事の場で実現する

―最近では、AI機能を追加する開発を行っているそうですが、この狙いは何ですか?

これはやや不思議な喩えに思えるかもしれませんが、私たちは「Google Maps」が現実世界に対してなしたことと似たようなことに挑戦しています。ある程度の規模の組織ならば、コンピュータの内部にあらゆる意思決定に関する情報が詰まっています。しかし社員らはその中から正しい情報を探すのに多大な時間を費やします。

―たとえばどんな情報ですか?

シンプルな事実に関する情報のケースが多いです。「この企画の責任者は誰だったか?」、「この社員のマネージャーは誰か?」、「今日のミーティングの関連資料はどこか?」。こうした情報を自分で探し当てることは、誰にとっても当たり前のことになっています。しかしそこに大きな労力が費やされるさまは、Google Mapsが登場する以前に人々が地理情報を探すために四苦八苦していたことに似ています。ガソリンスタンドに立ち寄って店員に行き先を訊ねたり、地図を畳んではまた開いたりという具合です。今は指先でつまむだけで、世界をズームすることができます。人々の職場体験についても、徐々に同じことが起こっていくでしょう。人々ができるだけ手早く情報を見つけられるようにすること、これが私たちの目標です。

Slackの仕事は、人々にバーチャルの「参謀」を与えること

―仕事の世界は今後5~10年でどう変化するでしょう? またSlackは未来にはどんな役割を担うのでしょうか?

喩えを用いて表現すれば、私たちの事業は、人々にバーチャルの「参謀(chief of staff)」を与えることです。この人物は無限の忍耐強さと記憶能力を有し、あなたがどんな物事に注意を払うべきかを積極的に進言します。たとえば、私たちの取り組みの1つが「ハイライト」と呼ばれる機能です。未読のメッセージの山の中から、その人にとって最も重要な情報を選び出す機能です。また別の例を挙げれば、パフォーマンス・レビュー(人事評価)は、自動化することができます。

―詳しく説明してください。

多くの企業では、1年に1回、数週間の時間をかけて人事評価を実施します。しかしリアルタイムでフィードバック(意見交換)を収集するSlackの機能を使えば、年度末には必要な情報がすべて自動的に蓄積されているわけです。

Slack(ゆとり)が、仕事に創造性と開拓精神を生む

―Slackという社名は何を意味しているのですか?

以前は社員向けに「searchable log of all communications and knowledge(あらゆる通信と知識に関する検索可能な記録)」の略だと言っていましたが、皆はもう忘れてしまいました。しかしこのほかにも2つの意味があります。まず最初に思いつくのは、「slacking off(仕事を怠ける)」、「slacker(怠け者)」という単語ですね。それから2つめは――こちらの方が私たちにはより重要だと思いますが――「picking up the slack(たるみを取る、不足を補う)」、「cutting me some slack(ゆとりを与える、大目に見る)」という表現です。世間の組織は作業の効率化を目指すあまり、システム内に創造性と開拓精神が存在する余地をなくしてしまいました。「Slack(ゆとり)」とは実のところ、プロジェクト管理における専門用語であり、失敗の緩衝剤となったり、予定外のタスクに対応したりするためにシステムが持つ余剰能力を指すのです。社名を思いついたときに最も意識したのは、この考え方です。

参考:Slack’s Quest to Make Work Easier (June 26 2017)|Fortune

翻訳編集=櫻谷知央

【編集部より】仕事に役立つ新しいテクノロジーについて、この他の記事はこちら。

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