国内・海外ヘッドライン

海外人事ニュース


元グーグル人事トップが語る、職場改善の6つのヒント

2017.07.03

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Google london office/Marcin Wichary

全米人材マネジメント協会(SHRM)は先ごろ、同協会が主催する年次会議「SHRM 2017 Annual Conference & Exposition」で、グーグルの元人事部門トップのラズロ・ボックが行った講演内容を報じた。仕事や職場環境をいかに改善するかというテーマに対して、最新の研究例や体験談を交えて6つのヒントを与えている。(以下、抄訳)

***

「ワーク・ルールズ!」著者、ラズロ・ボックが職場改善を語る

ボックはグーグルに在籍していた2005~16年の期間に、人事責任者として組織の従業員数を6000人から7万6000人へと10倍以上に拡大した実績を持ち、著書「ワーク・ルールズ!」ではその手法やヒントを公開した。今回の講演では、「仕事の世界を改善するというミッションに人事が果たす役割は大きい」と述べ、いかに仕事と職場環境をより良いものとするかというテーマについて以下の6つのヒントを挙げた。

1. 仕事に意義を与えること

ボックは仕事の意義が働き手にもたらす影響について、ペンシルバニア大学のアダム・グラント教授の研究に言及。この調査では、被験者である大学への寄付金集めを行うコールセンター職員のもとに、卒業生が定期的に訪れて「奨学金を受け取ったことで、自分の人生が変わった」と説明したところ、生産性が4割増加したという。

ボックによれば、産業や職種を問わず、おおまかに言って従業員の約3分の1は、教えられずとも自然に仕事の意義を見出すことができる。したがって、残りの3分の2の従業員にも、同じような前向きな気持ちを持たせることがカギとなる、と彼は述べた。

2. 社員と信頼を築くこと

「人間は本質的に善であると信じていれば、おのずと相手にそのように接するようになる」とボックは述べ、社員の善性に信頼に置く組織は、そうでない企業よりも業績が優れているという研究例を挙げた。

「社員に自由を与えれば、彼らはその分より熱心に働いて結果を出すことで報いてくれる」と彼は述べた。しかしながら、大半の組織はそのように構造化されておらず、多くの組織リーダーらは社員と自由に情報をシェアしたり、仕事のやり方をすっかり任せることに及び腰だという。「すこしやり過ぎかなと思えるくらい、社員には自由を与えたほうが良い」と彼は述べた。

3. 自分より優れた人物を雇うこと

「最もシンプルなルールは、何かしら有意義なかたちで、自分より人として優れた人物だけを雇うことだ」とボックは述べた。しかし従来の面接手法でこれを行うことは難しいと指摘。

一般的な組織では、面接官や採用担当者らが候補者を選択する主な理由は「親近感」であり、その人物の実際の仕事能力は二の次になりがちという。「これは確証バイアス(自分の仮説や信念を支持する情報ばかりを無意識に選択的に集めてしまう傾向)と呼ばれるもので、誰もが有している」とボックは述べた。

このバイアスを最小化する方法は、採用ポジションの仕事特性に基づいて候補者を評価することとボックは言い、採用マネージャー(一般的に、採用ポジションの直属の上司が務める)を審査プロセスから省くという型破りな方法を勧めた。

採用委員会を別個に設置するのが最も優れた手段だ。この委員会は、採用ポジションとは仕事上の利害がまったくない社員で構成すべき」と彼は述べた。

4. 報酬を「不公平」にすること

真に優れた社員は、普通の社員と比べて、際立って高い利益を組織にもたらす、とボックは指摘。またビル・ゲイツの言葉を引用して「優れたソフトウェア・エンジニアは、普通のエンジニアと比べて、1000倍の価値がある」と述べた。しかしながら、大抵の組織では、最高の社員と平均的社員との報酬水準にわずか2割程度しか差がないという。

「仕事ができる人でも、2、3回昇給があった後は頭打ちというケースが多く、これは問題だ」とボックは指摘。彼の考えでは、従業員間では少なくとも5割程度の報酬差を設けるべきという。「これは感覚的に間違っている気がするかもしれないが、こうでもしなければ、ライバル企業に最良の社員を引き抜かれるだけだ」

この一方で、報酬はパフォーマンスの多寡のみに応じて決定すべきであり、その決定プロセスを明確に説明できるようにすることも大切だ、と彼は念を押した。

5. ちょっとした刺激を与えること

グーグル時代にボックのチームが実施した社内調査では、新しく組織に入った社員がそのポテンシャルを完全に発揮できるまでに平均9か月の期間を要していた。さらに研究を進めたところ、平均より適応が早い社員には、いくつかの共通点があることがわかった。彼らの共通点とは、(1)より多くの社員と触れ合い、(2)より多くの質問を投げかけ、(3)最初から仕事をこなすのに十分なスペックのパソコンを持っていることだった。

そこでボックのチームは、新入社員とそのマネージャーら対して、これらの点(多くの社員と積極的に関わることや、適切な仕事デバイスを確保すること)の重要性をEメールで強調するという取り組みを始めた。

その結果、「社員の順応期間は、9か月から6ヶ月まで短縮した」とボックは述べた。「こちらにかかったコストは、わずか数通のEメールだ。こんな風にちょっとしたインタベンション(介入措置)を与えることで、大きな違いが出ることがある

6. 繰り返すこと

人事の仕事に終わりはない。我々は何度も何度も、同じプロセスを反復的に繰り返していく必要がある」とボックは指摘。こうしたたゆまぬ努力は価値あるものであり、人事プロフェッショナルには2つの選択肢があると述べた。

「1つめは、日々言われるがままに嫌々と仕事をこなして生き延びること。つまりたいていの社員と同じ生き方だ。2つ目は、なにかしら行動を起こすことだ。仕事をより良くする、とまでは言わなくとも、せめてその不快感を減じるためになにかできるはずだ」

参考:Laszlo Bock’s 6 Tips for Building a Better Workplace (June 19 2017)|SOCIETY FOR HUMAN RESOURCE MANAGEMENT

翻訳編集=櫻谷知央

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

あわせて読みたい

あわせて読みたい