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特集

働きやすい職場づくり~ラクスル編


人事負担ゼロでも利用率100%。社員に愛される福利厚生を導入するには?

2017.08.10

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生産性向上が叫ばれる昨今。社員が安定的に高いパフォーマンスを発揮するためには、安心して働ける職場づくりが欠かせない。その根幹となるのは、人事制度・福利厚生制度だ。ライフスタイルが多様化し、働き方改革も進む中で、従来の制度や施策が見直しを迫られている。今、人事・総務担当者は何を改善し、どんな制度を作り上げれば良いのか。前回に引き続き、生産性向上や社員満足度を高めることに成功した制度を導入している企業を紹介していく。

「健康」と「コミュニケーション」の両面で支える~ラクスルの事例

創業した企業において、従業員数が増えていく過程で考えなければならないのが福利厚生の整備だ。最近は健康管理や費用面でのメリットが注目され、首都圏の企業を中心に「食事」に関する福利厚生の充実を図る企業が増えている。高品質な印刷物を、手ごろな値段で届けるネット印刷サービスを展開するラクスル(東京・品川区)は、事業拡大を目指すタイミングでデリバリー型の社食サービスを福利厚生制度して導入。「健康」と「コミュニケーション」の両面で会社の成長を支えた。【ラクスルのオフィスにて】

忽那幸希(くつな・ゆき)

経営管理部人事・広報担当マネージャー。2015年入社。担当業務は総務・労務・広報・秘書と多岐にわたるほか、 リーダーとしてダイバーシティの推進と働き方改革の重責も担う。

トップダウンで福利厚生を導入する

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「印刷に市場価格を作る」を打ち出し、ITによる効率化で誰でも簡単に低価格で印刷発注ができる仕組みを作り上げたラクスル。2009年の創業からわずか数年で印刷業界に新たな潮流を生み出した同社が、社食サービスの導入を決めたのは評価制度がまだ完全に整備されるよりも前の2013年のことだ。当時の状況を経営管理部人事・広報担当マネージャーの忽那幸希さんはこう語る。

「実は人事が主導して決めたわけではありません。会社が事業拡大のステージに入ったばかりだったというのもありますが、当時は会社として福利厚生制度の必要性についてそれほど強く意識していないころでした。従業員から食事に関する要望が上がっていた中で、トップが将来を見据えて導入を決めたんです。それは、『従業員の満足度が大事である』という明確な意思表示だったと思います」

ラクスルの従業員は大きく分けて2つのグループで構成される。サービスをつくるWebエンジニアやデザイナーなどのクリエイターと、顧客対応をするカスタマーサポートだ。従業員の男女比は5対5だが、9時から22時までのシフト勤務をしているカスタマーサポートには女性が多い。食事の時間もシフトによって異なるため、オフィスでいつでも食べられる「食事補助」を望む声が多かった。また、当時は独身の男性クリエイターが多く、健康管理の面から同じく食事のサポートが必要であるとトップや人事が判断した。

「福利厚生といってもいろいろな制度が考えられるとは思いますが、『食べる』ことはどの従業員にとっても平等に当てはまります。その補助をすることで平等に従業員満足度につなげたいという考えです」(忽那さん)

また、食事補助を皮切りにその後、同社は従業員の健康管理を支える制度を整えていった。

会社が負担する人間ドックの受診を30歳以上に設定にしているのが代表的な例だ。2017年時点で約130名いる従業員の平均年齢は30代前半と若いが、会社として健康経営への意識は高い。食事補助の導入は、会社としてのその方針を最初に目に見えるものとして示したものだと言える。

利用率が100%でも、人事の負担はほぼなし

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メニューが豊富で、「今日は何を食べようか」と会話が広がることも

導入にあたって、複数の食事補助サービスを試した。デリバリーの弁当に人気が集まり、最終的に社員のアンケート結果から選ばれたのが、株式会社おかんが提供する「ぷち社食サービス『オフィスおかん』」だった。手の込んだ肉・魚料理や、健康に気遣った副菜が一品100円、200円で購入できるため、導入当時オフィスがあった虎ノ門周辺のワンコイン(500円)ランチと比較してもお得感があり、コストと味の双方で評価が高い点が決め手になった。

導入後はトライアルの段階から利用していたカスタマーサポートの女性従業員を中心に、ほぼ全社員が利用するまでに広まった。持参した弁当に「オフィスおかん」のおかずを追加したり、その逆でおかずを持ってきて玄米ご飯を購入したりと使い方はさまざまだ。

また、ラクスルは昼食時間が決まっていないため、食事のタイミングも人それぞれ。「男性社員の中には、夜にお腹が空いたときにちょっとつまんで食べるという人も少なくありません。外出して買いに行くのが面倒という人にとっても便利なようです」(忽那さん)

同社は、2017年5月時点で、月間に100個と150個のメニューが提供される2つのプランを利用しているが、利用率はほぼ100%に近い。

これだけ高い数字を維持するには、運営する人事側に負担があることが推察されるが、実際にやることは社員が購入する際の料金集計と、新たに社員が入社した際に使い方をレクチャするぐらいだ。

食材の補充はもちろん、季節が変わった際のメニューのアナウンスなどはおかんが担当する。

貼り紙の他に、専用のアプリもあり、毎月変わるメニューが自動的に確認できる仕組みだ。こういった負担の少なさも継続してサービスを利用している理由になっている。

福利厚生制度は求職者へのメッセージになる

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冷蔵・常温保存されたメニューは温めずにそのまま食べられるものもある

当初は、社員の健康管理を目的に導入した制度だったが、社内コミュニケーションを活発にするという相乗効果も生み出している。

社内で食事をする従業員が増えたことで、食事の時間がコミュニケーションの場となり、組織の活性化に役立っている。社内には50人ほどが座れるフリースペースもあり、立場や部門間を超えて食事を一緒に楽しむシーンが、日常の光景としてあるのだ。こうした状況について、導入を決めたトップや役員も手ごたえを掴んでいると忽那さんは語る。

「社員が喜んで食べている姿が見え、この制度があることでみんなの会話が弾んでいたり、人が集まっていたりするのが分かるので会社としても導入してとても良かったと思っています。オフィスの在り方も含めて、弊社はコミュニケーションを非常に大事にしていることもあり、食事補助という目的で始めた制度であっても、それがひとつのコミュニケーションツールとして成立しているので、すごく良いことですし、このサービスをうまく活用できていると感じています」

一方で、制度ができたことが、採用の面でも役立っている。「制度導入当初から居るカスタマーサポートのメンバーから特に好評だったこともあり、会社の福利厚生として打ち出して募集をしていますが、そこに魅力を感じて新たに人が集まってきています。今はいろいろな福利厚生の制度がありますが、やはり食事は人間の基本になるので、そういったところに対し会社として意識を向けていますよというメッセージにも受け取ってもらえる、とても相性のいい制度だなって思っています。新しく作った福利厚生の制度の中にはどうしても対象が全員ではないものもあります。そういう意味では、雇用形態や男女 とか関係なく等しく受けられるマルチな制度になっていますね」

福利厚生は「必要として使われる制度」であるべき

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福利厚生が部門間を超えたコミュニケーションを生みだしている(写真提供:おかん)

ラクスルは会社が急成長する前の段階において、アウトソーシングのサービスを利用して福利厚生制度のひとつを充実させた。その後は人事手動で多くの制度を整備してきている。自社で福利厚生制度をつくる上でのポイントはどこにあるのだろうか。

「福利厚生の場合は導入するよりも、導入したあとの運用が大変だと思っています。そのため、まずやるべきことは、『その制度を使いたいと思っている人がどれくらいいるのか』の見極めです。制度を使いたいことと、必要としていることは意味が違います。必要として、かつ使われる制度をつくらなければいけないと思っているので、事前の従業員アンケートも含めて対話を重ねながら、導入後も定期的なヒアリングも実施して制度の見直しをしていきます。つくったから安心ではなく、それが機能するものとしてあることがおそらくみんなが喜ぶ制度の在り方だと思います」(忽那さん)

【構成:編集部、撮影:D.C.カンパニー】

ぷち社食サービス「オフィスおかん」

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貼りだされる「ぷち社食」のメニュー。4~5月は「鶏と卵のすっぱ煮」「豚の角煮(中華風)」が人気に

株式会社おかんが提供する、食事提供型の福利厚生サービス。オフィスに冷蔵庫・専用ボックスを設置し、いつでも手軽に惣菜やご飯が食べられる。電子レンジと冷蔵庫の電気料金以外は設備投資や管理コストが不要で、食材の他、容器・箸類を定期的に供給。在庫管理や賞味期限の管理、現金の管理もおかんが行う。

メニューは100円、200円のものが中心に数十種類あり、約1カ月ごとに変わる。1カ月ごとに提供されるメニューの数はプランによって変わる(100個~)。2017年5月時点で700社以上が導入している。

企業プロフィール

会社名:ラクスル株式会社
利用者の「商売をラクにスル」という思想のもと、全国の印刷会社、デザイナー、チラシ配布会社と提携してデザイン・印刷・新聞折込やポスティングなど幅広いサービスを行っている。
所在地:東京都品川区上大崎2-24-9 アイケイビル1F
事業内容:印刷ECサイト「raksul」ならびに「集客支援サービス」の企画・開発・運営、物流サービス事業「ハコベル」の企画・開発・運営、海外投資事業
設立:2009年9月1日
社員数:120人(2017年6月現在)
URL:https://raksul.com/

執筆者紹介

土井ゆう子(どい・ゆうこ)(ジャーナリスト) インテリア雑誌の編集者を経てフリーに。インテリア、料理、旅など日々の暮らしの楽しみをテーマにしたものから、ビジネス関連まで幅広いジャンルで取材・ライティングを行う。「英国カントリーサイド 庭の美しいB&Bに泊まる旅」(NHK出版刊)、「大学生まれの食品 美味しいお取り寄せ」(双葉社刊)、「日経住宅サーチ 快適リノベLIFE」など多数手がける。

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