企画

人事のキャリア【第9回】


成長フェーズに入ったベンチャー企業を支えるため、人事部を立ち上げ、採用・制度設計に奔走する(フィードフォース・渡邉康晴さん)

2017.07.06

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さまざまな業種の人事担当者に、仕事のやりがいやキャリアについてインタビューする「人事のキャリア」。第9回は、株式会社フィードフォースの人事部マネージャー・渡邉康晴さんに話を伺った。「より早く、多くの経験を積みたい」と、大企業の採用担当からベンチャー企業に入社し、人事部を立ち上げた渡邉さん。キャリアを生かした採用活動で実績を上げつつ、全社員を巻き込んだバリュー作りを仕掛け、会社の成長を支える土台作りに尽力する。社会的に人事の価値を向上させることを目標に掲げ、日々挑戦を続ける渡邉さんのキャリアをたどった(聞き手・撮影編集部)。

渡邉康晴(わたなべ・やすはる)

株式会社フィードフォース 人事部 マネージャー
2006年に大学卒業後、新卒でスカウト・ヘッドハンティング企業に就職。約3年間スカウトエージェントとして活動。人事にキャリアチェンジするため、2009年富士通ビー・エス・シーに入社。新卒・中途採用・賃金改定業務等に携わる。2014年フィードフォースに入社し人事部を立ち上げ、新卒・中途採用や研修、評価制度の設立などに取り組む。

目次
  1. 全社員を巻き込み「バリュー」を作成
  2. 学生と接する時は「子ども」扱いしない
  3. 人事の価値をあげていく
  4. 渡邉さんのキャリアアップのポイント
  5. 渡邉さんの「ある日のスケジュール」
  6. 渡邉さんの年間スケジュール

全社員を巻き込み「バリュー」を作成

―ベンチャーで働きたいと考え、フィードフォースを選んだ理由を教えてください。
渡邉 代表の塚田(耕司)と面接した際に、お互いにGEのジャック・ウェルチが好きだという話になりました。当時、元GEの八木洋介さん(元LIXILグループ執行役副社長)の本を読んでいて考えにすごく共感していました。八木さんは「人事がもっと経営に口を出さないとだめだ」とか、「経営者はもっと人事の仕事をやらなきゃだめだ」といったことを書いていて、大枠の人事の方向性が合うトップと人事部を立ち上げられるのは相当やりやすそうだなと感じたんです。

―人事部を立ち上げる際の会社の 状況はいかがでしたか
渡邉 当時は社員数が30人ほどでした。部署、部門間のコミュニケーションが活発で、代表の塚田と社員の距離も近いため、みんなが何となくビジョンもわかってる。利害関係が変にバッティングしないで、「いいもの作ろう」とか「いい会社にしよう」みたいな方向性でみんなが進んでいたんです。でもそれは、人数が少ないスタートアップの時期だからこその良さとも言えます。だから、会社が成長フェーズに入ろうとした時、この「いい感じ」を維持したまま、いかに人を増やせるかがカギになるなと思いました。

―具体的にどのような取り組みをしましたか
渡邉 フィードフォースとして大事にする価値観を全社員で話し合って、言語化する取り組みを始めました。後に社員の協力で「FFバリュー」と名が付き、日々の業務や意思決定に生かしています。
取り組みを通じて、フィードフォースの「いい感じ」というものは、具体的に言葉にするとこういうものだから、みんな意識しようねと働きかけることができたと思っています。

―社員の方をどのように巻き込んで作ったのですか。
渡邉 まず、全社員に2時間くらい時間をもらってディスカッションをしました。「こういうことが共通していいよね。大事だよね」と挙げてもらって、それをまとめたものを役員会に提出し、役員で項目を絞って決めていきました。全社員を巻き込んだことはすごく良かったです。「フィードフォースらしさって何だろう」ということを全員が考えるきっかけになりましたし、実際に全社員が真剣に考えてくれました。

―社員にうまく「バリュー」を浸透させていくためにはどのような取り組みをしましたか。
渡邉 大きく2つの取り組みがあり、1つは日常的にバリューを気にする機会を作れるよう、社内のチャットツールを活用しました。機能として「バ」ボタンというのものがあって、社員の発言に対して「ナイスバリュー」「バリューを発揮している」と思ったら「バ」ボタンを押せるようにしています。日常的にバリューを気にしたり、バリューを大切にしている人に感謝を伝えられたりする機会があるというのがポイントです。
2つ目はトップダウンのメッセージですね。代表から今後の会社のビジョンとそのために発揮するべき社員のバリューについて発信をしてもらっています。新入社員研修の中に組み込む理念研修や、3カ月に一回あるキックオフMtgなど大きいイベントで実施してきました。
現在は、バリュー策定から時間も経ち社員も増えてきたので、改めてバリューを浸透させるためのプロジェクトチームを作ろうとしているところです。

学生と接する時は「子ども」扱いしない

株式会社フィードフォース 人事部 マネージャーの渡邉康晴氏⓵

―これまでのキャリアで生きているところは
渡邉 中途採用では、スカウト・ヘッドハンティング会社時代の経験が生きていると思います。応募者と一対一で向き合った際に、いかに魅力付けができるかを実践してきました。「スカウトメール」が良い例です。スカウトメールでは、一人ひとりに違う文面を送っており、入社してくれる方の八割以上がスカウトからです。ベンチャー企業の採用活動は、営業活動に近いですよね。だからスカウトメールは気合いを入れて送っています笑。できるだけ定型文をなくすことを大事にしていて、その人の経験とか、プロフィールを文面に盛り込んで、「こういうところをちゃんと見てますよ」と伝わる文面にしています。

―新卒採用について、渡邉さんが加わったことで本格的に実施していくようになったと聞いていますが。
渡邉 2016年卒採用から担当しています。最初の1年で10人採用しましたが、大企業の新卒採用とベンチャー企業の新卒採用は戦い方がまったく違うので、新しく学ばなければいけないところがたくさんありましたね。先ほどの中途採用と同じで、やはり魅力付けが大事でした。

―初めてで10人採用できるのはそう簡単なことではありません。渡邉さんを迎え入れた代表の塚田さんも喜んだのではないですか。
渡邉 実は同じ年に中途採用でも10名採用しています。会社の成長の基盤となる人材の獲得を加速させたという点では、評価していただけました。自分が作った賞ではありますが、「社長賞」ももらいましたね(笑)。

―やはり10名採用できたことは渡邉さんの「魅力付け」に秘密があるのではと思います。新卒採用で心がけていることはありますか。
渡邉 学生と会う時に、大前提として「子ども扱いしない」ことはとても意識していますね。今の学生は私たちが学生だった時よりもいろいろな経験やチャンスがあるので、行動している人は本当にすごいことをやってきている。すでに私たちより能力が高い人がいるんですよね。 だから、敬語を使うとか、接していない時でも「あの子」とか子ども扱いするような言葉を使わないようにしています。ただし、最終的にうちに来てくれるかどうかはやっぱり「情熱」の部分だと思うので、子ども扱いしない上で、自社のことを情熱的に語るというバランスには気を付けています。

―具体的にどのような話し方をしていますか。
渡邉 いきなり情熱的に話しても押し売りみたいになってしまうので、まずは、その人のやりたいことをじっくりと聞くところからですね。「就活の軸」みたいな聞き方って私は嫌いで、常識の枠に当てはめてしまっていると思うんですよね。そもそも、その学生が就職しなくても生きていけるくらいのポテンシャルを持っているかもしれないから、「どういう就職がしたいんだ」という聞き方はしません。「どんな大人になりたいのか」「どんな仕事をしたいのか」というような聞き方をして、「うちであればこういう近道もあるよ」とか、「こういう仕事ができるよ」というふうに、答えの一つを示せる話ができるようにしています。

人事の価値をあげていく

株式会社フィードフォース 人事部 マネージャーの渡邉康晴氏②

―普段、キャリアアップのための勉強は どのようなことをしていますか。
渡邉 日常的なところでは、本を読むのが好きなので、組織論や経営戦略系の本を読みつつ、アウトプットが大事なのでブログを書いています。
また、他社の人事の方を4、5名お呼びして、悩みや解決策を無責任に発言し合う「無責任会議」を主催し、知見と交流を深めています。「無責任会議」の参加人数はあえて抑えていて、あまり人数が多いと本当に無責任になってしまいます。限られた人数でしっかりと解決策を出すところまでやることに意義があります。1個のテーマで4時間くらいかけて本当にへとへとになるまでやりますからね。

―「無責任」とは言え、解決策を出すところまでは責任を持ってやるという…
渡邉 人事で働いてると当然、利害関係者が社内にたくさんいますので、これを言うとあの人が反対しそうだなとか、あの人はこういうことは嫌いそうだなといったことを考えてしまい、どうしても勝手にブレーキをかけてしまうということはあります。そのブレーキを外すために、「無責任に言おうよ」という趣旨です。
やるのは土日か平日の夜で年に3~5回程度のペースで、悩むことがあれば招集します。前職時代の2011年からやっていますが、大手や ベンチャー企業の人事の方や人材業界に勤めている方など、幅広く参加していますね。

―今後の目標を教えてください。
社会的に人事の立場をもっと高くしていきたいなと思っています。私も含めて、採用や研修などの現場の業務だけで手いっぱいで、会社の戦略や組織の改善までできている人事がまだまだ少ないと感じているからです。特に日本では、人事出身の役員をおく会社がまだ少ないこともあり、戦略人事の領域では遅れているように思います。 私自身もまだまだなので、まずはフィードフォースで戦略人事の経験を積み、会社の成長を人事面で支えることで、「会社の成長や戦略達成のためには人事が重要なんだ」と世の中に発信していきたいと考えています。
―ありがとうございました。

渡邉さんのキャリアアップのポイント

  • 意気投合できる相手と働く
  • どんな相手でも大人扱いする
  • 長期的な目標を持つ

株式会社フィードフォース 人事部 マネージャーの渡邉康晴氏③

渡邉さんとともに人事部を盛り立てる川口詩織さん(右)と看板前で。「私はどちらかと言えば、制度や戦略、組織に目が行ってしまう人です。社内外含めて、もっと個人の感情とかに寄り添う人事も絶対必要で、どっちが良いって話ではないですが、川口さんには個人に寄り添うことを期待していますね」(渡邉さん)

渡邉さんの「ある日のスケジュール」

株式会社フィードフォース、オリジナルの開運おみくじ付きカプセルトイ「フォースガチャ」

エントランスにはオリジナルの開運おみくじ付きカプセルトイ「フォースガチャ」がある。

7:00 起床
9:00 出社。始業より1時間早く来て雑務を終わらせます
10:00 始業。チームで今日やることと今週やることの確認
10:30 今日会う予定の応募者のプロフィールに目を通す。どんな話に興味を持ちそうか想像しておく
11:00 学生と1対1で面談。1日に何人も会うことも
13:00 来期の採用計画立案。定量的・定性的に昨年の活動を振り返る
14:00 メンバーと1on1Mtg。採用の進捗確認と、成長のためのフィードバックを行う
16:00 評価のつけ方について現場マネージャーと意識合わせ
18:00 新人研修について現場ヒアリング
19:00 日報を書く。翌日の予定確認
19:30 退社

渡邉さんの年間スケジュール

株式会社フィードフォース 人事部 マネージャーの渡邉康晴氏④

※情報は2017年6月掲載時点

企業プロフィール

会社名:株式会社フィードフォース
国内実績No.1のデータフィード最適化サービスや、ソーシャルログインサービスを提供し、300社を超える企業のデジタルマーケティングを支援する。
所在地:東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル5F
事業内容:データフィード関連事業、デジタル広告関連事業、ソーシャルメディアマーケティング関連事業、その他事業
設立:2006年8月
社員数:68名(2017年5月末時点)
URL:https://www.feedforce.jp/

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