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人事のキャリア


【第8回】「解」がないから、人事の仕事は面白い(日本カバヤ・オハヨーホールディングス・山路志保里さん)

2017.06.21

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ホールディングスの人事として、既存の新卒採用活動を抜本的に変えていく

さまざまな業種の人事担当者に、仕事のやりがいやキャリアについてインタビューする「人事のキャリア」。第8回は、日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社の人事部で働く山路志保里(やまじしおり)さんに話を伺いました。(2017年5月取材、聞き手:尾越まり恵、撮影:尾越まり恵/仲村介架)【写真:日本カバヤ・オハヨーホールディングスのオフィスにて】

カバヤ食品株式会社、オハヨー乳業株式会社など、グループ13社からなる日本カバヤ・オハヨーホールディングスは、今後の全国展開、海外進出を見据え、2016年4月にホールディングス化しました。山路さんは、各社と連携しながらグループ全体の人事業務に奮闘しています。

山路志保里(やまじ・しおり)

大学4年生の9月から都内ITベンチャーに入社。学生時代から採用活動をメインで任される。その後、さらに深く人事の仕事に関わりたいという思いから、採用代行業をメインとする企業に転職。2年間採用代行業を務めたのち、日本カバヤ・オハヨーホールディングスに入社。採用プロジェクトチームの立ち上げに関わる。

採用の仕組みを抜本的に見直す

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――現在担当されている業務内容について教えてください。

山路 私はホールディングスの人事部に所属しており、ホールディングス単体の採用活動以外に、グループ各社の新卒・中途社員の採用と、研修に従事しています。2016年4月にホールディングスが発足し、人事部は私と上司である人事部長が中途社員として入社したタイミングにできました。これまではグループ各社で経営が独立しておりましたが、ホールディングス化したことで、現在は情報やノウハウなどの効果的な連携・連動を生み出していこうという体制に変わってきています。

――グループ各社にも人事機能があるのでしょうか?

山路 各社の総務部に人事や経理、庶務といった管理業務が包括されています。総務部総務課の中に人事担当がいる場合もあれば、総務部人事課として人事の部署が独立している会社もあります。私は今、各社で人事実務を担当している方たちと一緒に採用や研修業務を進めています。

――12月に入社して、最初に担当された業務は何ですか?

山路 入社してすぐに、グループを牽引している、オハヨー乳業、カバヤ食品の2社を中心に、既存の新卒採用活動を抜本的に変えていくことを任されました。

――重大な任務ですね。どんな課題があったのでしょうか?

山路 当社グループはもともと岡山発祥の会社で、特にオハヨー乳業、カバヤ食品の2社に関しては、地方では就職人気ランキングにも必ず入っています。それぞれ創業から60~70年ほどの歴史ある会社で、ずっと黒字経営。中・四国では、オハヨー乳業、カバヤ食品に入社できたら、家族総出でお祝いするほど、優良企業として認識していただいてきたのです。

そのため、ありがたいことに新卒採用のエントリー数には困っておらず、こちらから学生を採りに行くという姿勢がありませんでした。

しかし、ホールディングスが発足して、これから全国展開し、世界も目指していこうというタイミングにおいては、この“待ち”のスタンスが課題だったのです。今までと同じようなスタンスで採用活動をしていては、世界で活躍できるような人材は集まらないのではないか、という会社の方針から、既存の“待ちの採用”活動を見直し、求める人物に来ていただくための戦略的な“攻めの採用”をすることにしたのです。

――まずは、何から手を付けられましたか?

山路 オハヨー乳業、カバヤ食品2社の連携を深めるため、採用プロジェクトチームを発足させました。その後は両社の採用担当者の顔合わせとメンバー間の信頼関係の構築、既存の採用活動の把握理解、採用における戦略・戦術の変更、採用コンセプトの設定などを順次行っていきました。

また、これまでは明確な採用基準がなく、判断が属人的になっていました。そのため、グループの変革期のタイミングで求める人材はどのような人なのか、会社としての目指していく方向性から決め直しました。ツール類では、その人物像に刺さりやすいような採用サイト、説明会のスライドなど、採用で伝える各社の企業イメージをこれまでとは大きく変えました。さらに、各社の選考ステップ、採用担当者の役割も明確にし、ジャッジメントやフォロー、口説きの部分のトレーニングを採用担当や面接官、役員の皆様向けに行いました。

――トレーニングを受けられた皆様の反応はいかがでしたか?

山路 はじめに今期の採用目的をしっかり伝えた上でトレーニングの位置づけを説明し、コンテンツを進めたので、納得していただけたのではないかと思います。これまでは採用に関して研修機会がまったくなかったので、トレーニング自体は非常に好感触でした。

奥深い人事の仕事を極めたい

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――山路さんのこれまでのキャリアを教えてください。

山路 新卒でITベンチャーに入社しました。内定を承諾した後、大学4年生の9月後半から先んじて人事部にアサインされていました。社内には人事担当者がおらず、その会社の採用を学生時代からメインで任された、これが人事としてのキャリアの始まりです。

――初めから人事を希望されていたわけではないのですね。

山路 はい。ただ、面接のとき時から「人事向きかもしれない」と言われたので、適性を見ていただいていたのだと思います。1クール、採用活動をやりきった後で、業績の関係で事業部の営業を兼務することになりました。はじめは戸惑いましたが、諸先輩や同じ部署の同期メンバーから仕事を教わり、それなりに目標数値を達成できるようになりました。ただ、たった1年で人のことなんて分かるわけないな、という思いがあって。せっかく面白いキャリアの始まりなので、もう少し人事の経験と専門性を身に付けたいと考えるようになったんです。そこで、人事と採用代行業をメインにする会社に、第二新卒として入社し直しました。

この会社では、「お客様に課題をヒアリングして、支援できることを提案する」という、企業の人事様へのソリューション型営業をしていました。ご契約いただいた企業様に、納品している内容が、採用におけるコンサルティングや採用実務ということになります。

メインクライアントを年間3社くらい受け持ち、中途・新卒採用のお手伝いをします。裏方で管理や運用のフォローをすることもあれば、説明会のプレゼンテーション代行、面接官代行、リクルーター代行をすることもありました。全面的に学生と対峙するようなリクルーター代行のお仕事の場合は、その会社の携帯電話・パソコン・名刺を貸与していただき、1クール一緒に採用担当者として動きます。

――何年くらい勤められたんですか?

山路 2年1か月です。もっと続けようと思っていたのですが、自分の本当にやりたいことや、キャリアを見つめ直したタイミングで、「代行」の歯がゆさを感じている自分に気が付きました。例えば、新卒のリクルーター代行の仕事だと、9月30日付で契約が終了になることがほとんどです。自分が出会ってから内定承諾までフォローしてきた一人ひとりの学生の、内定式も入社式も見られない。入社した後のパフォーマンスがどうなのかも見守ることができず、分析もできません。そのもどかしさがあって、企業人事にもう一度携わってみたいという思いが強くなりました。

ですが、すぐに辞めるというよりは、転職活動をしてみて良いご縁があれば身を置く場所を変えようと思っていました。そんな中、日本カバヤ・オハヨーホールディングスとの出会いがありました。

――新卒からずっと、人事なのですね。お仕事の魅力は何でしょうか?

山路 「解がない」ところです。営業にしても製造にしても開発にしても、組織が発展するかどうかは、すべては「人」がカギになります。人の価値観が多様化している昨今では、ただ会社が枠的に研修制度や体制を作れば完成というわけでもない。与えすぎてもいけませんし、放任しすぎてもうまくいかない。一人ひとりの望むキャリアも異なります。会社のフェーズによって、組織体制の理想的なあり方も変化していきます。それらに解はありませんが、だからこそ本当に奥深く、面白いなと感じます。

――人事の仕事でスキルアップするために、どんな勉強をしましたか?

山路 1社目のITベンチャーの時は、社内に直属の上司がいなかったので、採用関係の本を片っ端から読みました。その時に、前職の社長・曽和利光さん(過去記事はこちら)が書かれた本に出会いました。採用のイロハいろはが何もわからなかった当時の私にとって、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社/井上和幸氏と共著)という本は非常に役に立ちました。

他にもセミナーに足を運んだり、そこで知り合った他社の人事の先輩に話を伺ったりもしていました。最近では、「ビジネス心理学」を学んでおり、年末に試験を受けて初級に合格したところです。日々の業務に生かしたいと思っています。

――今後も山路さんの仕事の軸は、「人」ですか? 目標を教えてください。

山路 私が仕事をする上で判断軸としているのは「1.ワクワクするか」「2.全社最適か」「3.現場感があるか」、です。一生人事の仕事をしたいかと言われれば、正直分かりません。ただ、人事から始まったキャリアなので、今のところは、この仕事を極めていきたいと考えています。人材開発の奥深さを知ってしまったので、納得いくまでやり抜きたいですね。現場にも寄りすぎず、経営にも寄りすぎず、その間でうまく潤滑油になりたいと思っています。

この先、どんな仕事をするにしても、人に対する敬意を忘れず、学ぶことを厭わず、何より楽しんでいたいと思います。常に笑顔で活力溢れる人間でありたいですし、そのことで周囲に良い影響を与えられたら嬉しいです。

山路さんのキャリアアップのポイント

・経験と専門性を大切にする
・「解がない」ことを楽しむ
・現場にも経営にも寄りすぎないバランスを持つ

山路さんの「ある1日のスケジュール」

9:15 出社
9:15 スケジュール立て
9:30 朝会
9:50 メールチェック
10:30 プロジェクト進捗確認
11:30 打ち合わせ
12:30 昼食
13:30 メールチェック
14:00 来訪
15:00 打ち合わせ
16:00 資料作成
18:30 帰宅

企業プロフィール

会社名:日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社
所在地:(本社)岡山県岡山市北区駅元町1-4 ターミナルスクエア11階
(東京本社)東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル10階
事業内容:カバヤ食品、オハヨー乳業を中核とする13社による持株会社。食・住・教育・レジャー・ITなど、生活に密着した商品・サービスの提供を行っている。

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