コラム

残業ゼロを目指して


時間短縮には、「きっかけ」から「反射的に行動を起こす」仕組みが効果的

2017.06.06

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「仕事はすでにいつも遅れている」という認識を

この連載では「空いている時間はない。少なくとも余剰な時間などというものはあり得ない」という前提で書いています。この前提をインストールしないと、「残業をなくす」などという目標はまず実現できません。

5日かかる仕事を3日でやるとか、24時間を48時間にするというのは、リアリティがありません。仕事を今までの半分の日数ではまずできません。1つや2つだけの仕事を倍速でこなしても、仕事時間が半分にはならないからです。本当に作業日数を半分にするには、ぜんぶの仕事を倍速でやらなければなりません。その上休憩時間を半分に、お昼休みも半分にしなければならないのです。これは現実的ではないでしょう。

また、24時間は48時間にはならないし、往復の通勤時間に関して言えば、時間を生み出すには運行電車の速度が倍速にならなければなりません。睡眠時間も、いきなり1/2にするのはナンセンスです。

というわけで、もっと現実的な発想を持つ必要があるのです。そうなると最も大事なことは、まず認識を変えること。すなわち、時間はまったくなく、仕事はすでにいつも遅れている、という認識を「常識」にすることです。すでにいつも遅れ気味だから、「延長時間」=残業が必要になるのです。これは誰が悪いといった話ではなく、仕事が端的に多すぎて、人手が不足しているせいです。

目次
  1. 少しずつしか高速化はしない
  2. いつでも同じ「きっかけ」を使う

少しずつしか高速化はしない

しかもほとんどの人は、すでに十分スピーディかつ効率的に働いています。

今のような時代、そうそうモタモタ、ダラダラばかりしていられません。何でも機械化されてきているため、モタモタするのには限度があります。まだ私が会社に勤めていたような時代であれば、かなりたくさんの郵便物が物理的にあったため、たとえば午前中「モタモタ」していたら、連絡が2~3日遅くなる、などといったことが実際にあり得ました。
しかし今だと、メールで文書連絡が一瞬で終わってしまうので、「モタモタ」できるのはむしろ送信前くらいでしかないのです。ということは、そこを「高速化」できたとしても得られる時間はわずかなものです。

それでも「時間を作る」のであれば、そのわずかな時間短縮を積み重ねていくしかありません。

時間はもともとなく、最優先事項をすでに効率的に実行しているなら、さらにできることは、最優先事項以外のことを決してしないようにして、その判断も、最優先事項の実行時間も、すべてをさらに短時間で終えることくらいしか、当面できることはないわけです。

それでも、「あらゆることがら」についてそれだけの「時短」を施せば、一定の時間的余裕が手に入るでしょう。わずかな時間であってもできることは少なくありません。その中でも、比較的時間的余裕につながりやすい方法を考えてみます。

いつでも同じ「きっかけ」を使う

私は、この連載や「本を書く」時に、いつでも決まって使うきっかけと、それに応じて動き出す儀式のような仕組みがあります。

まずiPhoneの通知が「原稿を書く時間です!」と知らせてくれます。通知されたら、『Ulysses』というエディタから、決まったフォルダを開き、新しいテキストファイルに、たとえば「/atjinji」と打ち込みます。するとTextExpanderというツールによってお馴染みのテンプレートが起動し、定型文が呼び出されるのです。完全に同じではないですが、簡易な例として次のようなものが呼び出されると思ってください。

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2017/05/18

この連載では

小見出し:

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これだけで、文章が書けるというものではありませんが、大事なのは同じきっかけを使って同じ行為を起動するところにあります。そうすれば判断に躊躇したり、なんとなく後回しにしたいという気持ちに先んじて、タスクを実行できる可能性が高くなります。

迷う時間は戻りません。たとえ結果として先送り「しなかった」としても、原稿を書くことができたとしても、原稿を書くことを「先送りしようかな?」と「思った時間」は取り戻せません。判断して「書ける」のであれば、判断するのにかける時間はゼロであるのが理想的なのです。

なんだか、おそろしくせせこましい話に聞こえるでしょうが、アメリカでベストセラーとなった『習慣の力』という本に次のような一節があります。

フットボールでは1000分の1秒が勝敗を分ける。だから、数百ものフォーメーションを教えるのではなく、いくつかのフォーメーションだけを教えて、反射的に動けるようになるまで繰り返し練習させた。彼の戦略が成功すれば、自チームの選手たちは誰もかなわないほどの速さで動けるはずだ。(p102)

チャールズ・デュヒッグ『習慣の力』(講談社)

私たちはなにも1000分の1秒を競っているわけではありません。しかし、これほどのスピードを求められる世界ですら「きっかけ」から「反射的に行動を起こす」ことでライバルよりすばやく動いています。デスクワークの世界ならきっとそれができるに違いありません。

たくさんの時間を一気に短縮しようと考えることは、それこそ時間の無駄に終わるものです。節約とは、こうしたものです。でも「時間短縮できた」なら、それがたとえわずか1秒であっても、その分残業時間が減っていきます。逆に時間を余計にかけたなら、たとえわずか1分でも、その分残業時間が延びていきます。

かかる時間が減っているか増えているか。最終的に大切なのはその方向性です。

連載コラム〈残業ゼロを目指して〉

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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