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フェイスブック幹部が語る、職場のジェンダー・バイアスを解く方法

2017.05.18

  • ダイバーシティ
  • 女性の活躍
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米経済誌「フォーチュン」は先ごろ、「フェイスブック幹部が語る、職場のジェンダー・バイアスを指摘する方法」と題した記事を掲載した。著者はフェイスブック社でプラットフォーム・マーケットプレイス担当バイス・プレジデントを務めるデブ・リュウ。

彼女は自身の体験談を基に、職場におけるジェンダー・ステレオタイプ(性別に基づく固定観念、またはそれを原因とする意識的・無意識の差別)を克服する方法について解説している。(以下、抄訳)

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ステレオタイプの多くは無意識バイアスがもたらすもの

リュウは記事冒頭で職場のジェンダー・ステレオタイプについて次のように論じる。

「職場におけるジェンダーのステレオタイプ化は、多くの場合、意図的ではなく、無意識バイアスの産物だ。しかし、そうしたステレオタイプ(の思い込み)を毎回放置していると、その存在を相互に認め合ってリアルタイムで解決していくチャンスを失ってしまう。それは無言のうちに、ステレオタイプを許容することにほかならない。そして機会を逸し続けるうちに、ジェンダーのステレオタイプ化が進んでいく」

このステレオタイプ化を防ぐには、オープンな議論を促して偏見の少ない職場文化を育んでいく必要がある、とリュウは説く。

「相手が男性だったら、あなたは同じ言葉を使いますか?」

リュウはIT業界での15年のキャリアの中から、無意識バイアスに基づくジェンダー・ステレオタイプを同僚に指摘した事例を2つ引き合いに出す。

一度目は、社員採用プロセスにおいて、男性の同僚が口にした発言がきっかけだった。この男性はある採用候補者を指して、「彼女は良い候補者ではないと思う。どことなくボッシー(bossy:高圧的、威張り屋)だから」と言った。

これに対してリュウは反応した。「そういう表現は口にすべきではない。もし候補者が男性だったら、あなたはその単語は使わないはず」と。

同僚は失言を認めたのちに、自身の意図をこう釈明した。「僕が言いたかったのは、面接中の彼女(候補者)の話しぶりは、説得力や影響力に欠けるように感じた、という意味だった」

リュウはこの事例についてこう解説する。

「ステレオタイプを指摘されたことで、彼はジェンダー・ステレオタイプに基づく決まり文句に頼るのではなく、自身の意図をしっかりと明らかにすることを余儀なくされた。そしてその女性がなぜ候補者として適任ではないと思うのか、より明確に表現してくれた」

「無意識」のバイアスだからこそ、他人が指摘する必要がある

別の機会では、やはり男性の同僚が彼女のミーティング運営手法について「ゴシッピー(gossipy:おしゃべりな、噂好きな)」と表現した。そこでリュウはその意図を問い質した。

「なぜなら相手が男性だったならば、彼は決してそんな言葉は使わなかっただろうから」

同僚は次のように返答した。「僕が言いたかったのは、君のミーティングは多くの場合、始めにしばらく他愛もないおしゃべりが続くことが多いから、もっと早く本題に入った方がいいと思う、という意味だった」

男性の同僚はリュウの指摘に感謝しただけでなく、その一年後に「これは無意識バイアスの存在を教えてくれたという点で、今までのキャリアで最も効果的なフィードバックだった」と彼女に述べたという。

いずれのケースにおいても、ステレオタイプは当たり障りないものだった、とリュウは語る。しかしながら、言葉の背後にある真実を追究したことで、会話をもっとクリアにすることができたという。

女性たちに課される暗黙の負荷

「ジェンダーのステレオタイプ化は、我々の文化や対人関係に組み込まれている。だからそれは自ずと職場でも表れる」とリュウは言う。

女性はリーダーの資質として、「人間的に温かみがあり、有能であること」を求められるが、男性の場合はそうした資質がなくてもリーダーと目される、とリュウは論じる。

「社会の期待に基づいて、女性にはわずかだが男性よりも重い負荷が課されている。女性だからといって温かい人間とは限らないのに、多くの人はそれは女性リーダーに欠かせない資質と見なしている」

さらにリュウはジャーナル・オブ・ソシオロジー誌が2007年に発表した調査から、PTAへの所属歴が履歴書にある女性は、そうでない女性と比べて、採用率が79%低く、オファーされる給料が1万1000ドル安いというデータを引き合いに出す。これは「PTAへの所属=仕事へのコミットメントが低い」というステレオタイプがもたらす結果だという。

「こうした期待が意味するのは、女性は職場において要求されるものが男性より多いという事実だ。人柄は温かくなければならず、家庭と仕事の両方にコミットしていると証明する必要がある。こうした社会的期待を克服することは困難だが、それを直視して挑戦していくことでその撤廃プロセスに着手することができる」

暗黙のステレオタイプを明らかにして、オープンに立ち向かう

リュウによれば、フェイスブックでは包括的な環境作りを目指して、多彩な社内教育プログラムを実施し、ジェンダー・ステレオタイプの特定と克服に取り組んでいる。シニア・リーダーシップ(経営陣・上級幹部)のほぼ100%が無意識バイアスのマネジメント講座を受講しており、社全体でも7割以上が受講済みという。

これらの講座を開始して以来、社員らが進行中のバイアスを指摘する場面を何度も目にしてきた、とリュウは語る。

「暗黙のジェンダー・ステレオタイプを明らかにして、オープンに立ち向かうことで、それを無力化することができる。ステレオタイプの影響力が持続するのは、人々がその先入観に迎合してしまうからだ。発言や考え方に注意を払って、より深いレベルでの理解を目指すことで、我々は先入観を疑うようになる。これは最終的に全員に利益がある」

Facebook Exec: How to Call Out Gender Bias at Work (April 26 2017)|FORTUNE

翻訳編集=櫻谷知央

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