デキるビジネスパーソンの時間管理術
余裕のある休日を過ごすためには、予定がないことを焦らないこと!
2017.05.23
長い休みほど早く過ぎ去ってしまうもの
いまさらのようですが、ゴールデン・ウィークはいかがでしたか?十分にお休みになれましたか?やりたいことは思う存分、できたでしょうか?
なかなかそういうわけにはいかなかった、という方もきっといらっしゃるでしょう。
前にも書いたことですが、時間というのは不思議です。1分が妙に長く感じられることもあれば、それこそ9連休が一瞬で過ぎ去ってしまうこともあります。子供の頃からおなじみの、時間の伸び縮み感覚ですが、これを完全にコントロールしようなどとしても、それこそ不可能と思われます。それほど時間とは、とらえようのないところがあります。
普段から時間がないと感じているなら
突然ですが、いつも「もっと時間があれば!」と思うことが多いでしょうか?たぶんこちらの連載をお読みになっている方に、そうした人は多いと思います。
それであれば、まず確実に起こっていそうな現象があります。
連休など、まとまった時間がとれそうな日程に、ついいろんなタスクを詰め込んでしまっているのではないでしょうか?
日頃の疲れを癒やしたい。
日頃遅れている読書も勧めたい。
ご無沙汰している友達にも会いたい。
ずっと滞っていた資格試験の勉強も始めたい……などなど。
空いているときほど埋まっている。
使えそうな時間ほど、全く使えない。
こういう逆説的なことは、いつでもどこにでもよく見られます。
それは当然なのです。「空いている」と思えば、どんどん使用する予定で埋め尽くしていくのです。それがもう習慣化して、無意識のうちに進めてしまっていることだったりすると、「たくさん時間がある」はずだったゴールデン・ウィークほど、全く時間がとれないということになるのです。
予定を「見える化」する?
こういう事態にならないように、と、時間管理術などではよく「予定を見える化しておきましょう」と書いてあります。
「バーティカルの手帳などを使い、今後2週間、どれほど予定で埋め尽くされているかを確認しておきましょう」などというアドバイスを、読んだことのある人は多いでしょう。今どきならGoogleカレンダーがおすすめかもしれません。
しかし、私はこういうアドバイスをもはやあてにする気になれません。これをやって、うまくいった人って、どのくらいいるんでしょう?
さらに、この種のアドバイスは次のようにも言います。「あまり予定を詰めすぎず、余裕を持つようにゆったりと過ごしましょう。」
そんな余裕が、いったいどこから来るのでしょう? 時間管理アドバイザーは、時間をくれたりはしません。代わりに仕事をしてくれたりもしません。そして1日はやはり24時間。あらかじめヴァーティカルの手帳に予定を書いておいたからといって、余裕が生まれるなどということはあり得ないのです。
手帳の空白を怖がらない
余裕が生まれるのは、手帳が空白だからです。そこに予定を書き込まないからです。
予定がびっしりと書き込まれた手帳。それ以上予定が入らないことが「見える」手帳。それでどうして「余裕」が生まれて、ゆったり過ごすことが可能になるでしょうか?
今後も「大型連休」はあるでしょうし、月曜がお休みの日もあるでしょう。
気がつけば、連休に余裕が全くなかったという人は、ぜひ次回から「予定をどんどん詰められそうな空白に、予定を詰めない」という方針を貫いてみてください。
「そんなわけにはいかない。資格試験の勉強も、サボりがちなフィットネスジムにも行きたいし……」となるのはよくわかりますが、そのすべてができた上に「余裕を持った時間の過ごし方もできた」という話を、私は聞いたことがありません。むしろまったく逆の、「何もできなかった罪悪感が……」という話ばかりです。
予定を入れたくなったら「1分だけ」と考えてみる
どうしても「自己啓発」や「充実した時間を過ごす」のをゼロにできない、ゼロにするのは怖いというのであれば、何を入れてもいいことにして、ただしどれも「1分だけ!」くらいにしておきましょう。「1分ずつ」ならば、たとえ欲張って10コの「予定」をこなしたとしても10分で済みます。
冗談にしか聞こえないと思いますが、1分でもできることはあります。1分間でも勉強をしたり、せめて勉強したい教科書を開くことができれば、1秒も何も手をつけない罪悪感を抱くよりはマシだと思うのです。「1分で何ができるか!」と思われた方へ、この連載で近いうちに、「1分の効用」のお話もしたいと思います。
なにより、最初に予定をたくさん立てておいて何もしないというのよりは、最初から何も予定がないという一日を過ごした方が、精神衛生上はるかにベターです。休んだ効果をずっと大きくできるのです。
執筆者紹介
佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック
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