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シリコンバレーの企業陣が取り組む、人事手法のイノベーション

2017.05.17

  • ダイバーシティ
  • 経営・人事戦略
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米経済誌「フォーチュン」は先ごろ、「ベイエリアの企業が目指す職場の創造的革新」と題した記事を掲載した。ベイエリアとはシリコンバレーを含むサンフランシスコとその近郊地域のことで、著名IT企業や新興企業が多く拠点を置いている。記事ではこの地域の企業が、従来とは異なる革新的な人事手法に取り組んでいる旨が紹介されている。(以下、抄訳)

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過去の手法には倣わない。革新的精神を応用した新しい人事

「サンフランシスコとシリコンバレーは、世界でも有数の革新的企業が拠点を置いている。この地域の企業の多くは、市場に最新のIT製品を売り出すだけでなく、そのクリエイティブ精神を内側にも向けて、新しいチャレンジに挑んでいる――従来の人事モデルとは一線を画す職場形成により、従業員のエンゲージメントとエンパワーメント(権利向上)に取り組んでいるのだ」と記事は論じる。

調査機関「Great Place to Work」でコンサルタントを務めるハンナ・ジョーンズによれば、ベイエリアの企業に共通するマインドセットは、「ステータス・クオ(現状)へのたゆまぬ挑戦」だという。

「これは製品やサービスだけの話ではない。ベイエリアの多くの企業は、過去の人事手法をお手本とすることに興味がない。彼らは自らが持つ企業家精神や革新的エネルギーを、組織デザインや人材マネジメントに応用しているのだ」とジョーンズは言う。

アドビ・システムズが新人事制度を導入

「Great Place to Work」では例年、従業員意識調査を基に「働きがいのある会社」ランキングを発表している。ランキングにはベイエリアの企業が多く名を連ねるが、中でもここ数年で最も目覚ましいオーバーホール(改革)を成しとげた企業の1つが、ソフトウェア企業アドビ・システムズだという。

同社は年次人事評価を廃止して、代わりに各社員がマネージャーと頻繁にフィードバックを交換し合う評価システムを導入した。給与決定は今でも年1回の実施だが、キャリア相談や、業務プライオリティの設定などは、日常的にリアルタイムで行われる。

オフィス社員の6割「従来の人事評価は役立たない」

アドビはこの制度転換が大きな成功を収めたと主張し、最近そのメソッドを他企業に公開してオープンソース化した。また今年初頭のレポートでは、自社調査データを基にオフィス社員の6割近くが従来の人事評価はパフォーマンス改善に役立たないと感じていると報告して、制度改善を広く促した。

重要なのは社員に「意義」を感じさせること

ベイエリアの企業は報酬が高く、福利厚生が充実していることで知られる。しかし記事によれば、一流企業ではそうしたベネフィット(利得)よりもエクスペリエンス(経験)の提供を重視する傾向があり、社員ひとりひとりがいかに世界にポジティブな影響を与え、真に意義ある仕事ができるかを強調しているという。

このアプローチの効果は「Great Place to Work」の調査でも示されており、「自分は貢献できていると感じるか」との質問に肯定の返事をした社員は、そうでない社員と比較して長期的に組織に留まる確率が6.6倍高いという。

「充実した福利厚生」に潜む罠

記事では、大手求人サイト「Indeed」の社員のコメントを紹介している。「私の会社では巷のIT企業と同じく福利厚生が充実しているが、こうした特典は仕事そのものが退屈だったり、経営陣の質が低ければ無意味だと思う」

「私が以前勤めていた企業では、社員特典を餌にして人材をおびき寄せていた。だがいったん入社させてしまったあとは、ひどい扱いをしていた。Indeedのやり方はもっとバランスが取れている。まず第一に、仕事が面白く意義とやりがいがあり、特典はその取り組みを促すためにある」

ビジネス改善案を提出した社員に、賞金5万ドルの特別報奨も

「Great Place to Work」のランキングで上位に入ったベイエリア企業の大半では、優れた仕事を成した社員に対する特別報奨制度を設けているという。以下はそのいくつかの例。

  • ホテル&レストラン・チェーンのキンプトンでは、特別に優れた顧客体験を作り出した社員に対して、旅行やギフト、ボーナスが支給される。また実利的報奨の代わりに、ゼネラル・マネージャーとのマンツーマン・ランチや、企業幹部に密着したジョブ・シャドウイング(職場での仕事観察)を選択することもできる。
  • 弁護士事務所オリック・ヘリントン・アンド・サトクリフでは、最も優れたビジネス改善案を提出した社員に、賞金5万ドルのイノベーション賞を与えている。
  • ソフトウェア企業セールスフォースの社員ボランティア上位100名は、1万ドルの助成金を自らが選んだ非営利団体の支援に使うことができる。上位10名は、ハワイで行われる年次経営会議に同行することができる。

「これらの企業では、社員への感謝を示すプログラムを作って、自社の組織使命や価値観を反映させている。ベイエリアの優れた企業は、社員のキャリアをより有意義にすべく、常に新たな機会を率先的に開拓している」とジョーンズは述べている。

These Bay Area Companies Are Set to Disrupt the Workplace (April 26 2017)|FORTUNE

翻訳編集=櫻谷知央

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