イベントレポート「社長に聞く!〜はじめてのインターン採用と戦力化から新卒採用まで」
社内の6割がインターン生! 日本一長期インターンが活躍する会社にその戦力化を聞く
2017.05.02
採用型ブランディングツールとして活用されるビジネスSNS『Wantedly』を提供するウォンテッドリー株式会社は、2017年4月19日、人事・採用広報担当者を対象にしたトークイベント「Wantedly HRmeetup!番外編 社長に聞く!〜はじめてのインターン採用と戦力化から新卒採用まで」を開催。「インターンは新卒採用にも効果があるのか」「そもそもインターン生は戦力になるのか」などの疑問を抱える担当者が多く来場した。
同イベントでは、社員90名に対してインターン生140名を採用している株式会社キュービック代表・世一英仁氏と、今後インターン採用を加速させる株式会社おかん代表・沢木恵太氏、ビジネスインターン生を10名マネジメントした経験を持つウォンテッドリー株式会社・武藤正樹氏の3名が登壇。鼎談形式で参加者の疑問に答えた。 今回は、キュービック社のインターン事例にフォーカスしてレポートする。【写真は左から沢木氏、世一氏、武藤氏】
正社員より多い140人のインターン生が活躍。大学1~2年生が40以上も参加
株式会社キュービックは、デジタルマーケティングをメイン事業としており、広告やメディア運営、コンサルまで幅広く展開している。現在、成果報酬型のビジネスモデルで拡大中だ。インターンが組織全体の約60%を占め、2017年4月時点でのインターン在籍人数は約140名以上。「日本一長期インターンが活躍する会社」と呼ばれている。
一般的なインターンは大学3、4年生の割合が高いが、同社ではインターンの40%以上が大学1、2年生。インターン生の大半がメディアと広告を担当し、Facebook広告の運用などを行う【上写真:「インターン職種」参照】。理系や専門学校の学生はエンジニアとして活躍し、経営企画などの上流部門に関わるインターン生もいる。
これほどインターン生が活躍するキュービック社では、インターン生をどのようにマネジメントしているのだろうか。
雑用はNG!インターン生にも裁量を与える
新卒にも言えることだが「インターン生のモチベーション維持には『承認文化』が必要」と世一氏【上写真】は語る。人の役に立つことで自身の価値を見出す若い世代にとって、会社に認められることが働き甲斐につながるのだ。
そこで有効な手段が、裁量を与えることだ。キュービック社で最優秀インターン賞を獲得した長嶋友基氏【下写真】は、高校時代から広告に興味があり、大学1年生からインターンを開始。広告の部署に入り、社員レベルの広告運用を任されるようになったという。
「上司に仕事を任されることがモチベーションになりました。丸投げではなく『長嶋なら』と信頼したうえで任せてもらっているので、『ここまで任された以上、上司の期待に応えて力になりたい』という想いで主体的に働くようになりましたね。もし任されずに手取り足取り教えてもらっていたら、ここまでやる気にならなかったと思います」
裁量を与えた分だけ、インターン生にも当事者意識が生まれる。「インターン生だから」という色眼鏡で見てしまうと、その分成長を妨げてしまうのだ。
その一方で、学生目線に立ったコミュニケーションも必要になる。長嶋氏は同社の「学生の意見を頭ごなしに否定しない」姿勢に救われたという。
「大学1年生からインターンをする学生はほとんどいません。それに、僕は意見を言うタイプなので『意識が高い』と笑われるんじゃないかと思っていて。でも、キュービックの人はだれも笑わなかった。なかには未熟な発言もあったと思います。それを頭ごなしに否定せず、同じ目線に立ってアドバイスしてくれたのがうれしかったです」
大学1年生からインターン採用をしているキュービック社には、インターン生が半年に1回異動希望を出せる「インターンドラフト制度」がある。これはインターン生自身が考案した制度で、インターン生が成長機会を自ら掴み取れる環境づくりの一環だ。
長嶋氏は同社での経験を重ねるにつれて、自身のモチベーションが「広告の仕事をすること」ではなく「人のサポートをすること」だと気づき、インターンドラフト制度を利用して人事部への異動希望を出した。希望が通り、現在は人事部でHRテックのサービスづくりに励んでいる。
同様に、キュービック社でインターンを始めたばかりの学生も「雑用を任されるだけだとアルバイトと変わらないので、インターンの意味がない。多くの裁量を与えられた分だけ、モチベーションが上がって会社にコミットできる」と述べる。
インターンの中には、テレアポ300件など、裁量のない作業を任せているだけのケースもある。世一氏は「インターン生に裁量を与えるだけでもインターン採用の差別化につながる」という。
「インターンは、学生のスイッチが入るかどうかにかかっています。お金のために働いている子もいれば業務内容で頑張る子もいます。ただ、どのタイプの学生であっても、小さい成功体験を積み重ねるとやる気になります。そして成功した時にきちんと褒められるように、会社側で承認文化を根付かせておく。こうしたプロセスを経てインターン生の成長意欲を上げていくのが理想です」
インターン生の採用・育成はインターン生が行う
とはいえ、インターン生の育成に課題を感じている企業も多いだろう。入社するかどうかも分からないインターン生に、社員が多くの時間を割いて基礎的な知識を教えるのは困難だ。世一氏は「大人数のインターンを抱える」ことでこの課題をクリアできるという。
「大人数のインターン生がいれば、インターン生同士での教育が可能です。キュービックでは主要部門に学生インターンをアサインするのが企業文化になっていますが、一般的にそれを社員に受け入れさせるのは難しいでしょう。そのため、最初は経験豊富なインターン生に教育を任せ、ある程度戦力化してから現場に割り振るようにしています。それまでは人事や広報で抱えておくと、現場で揉めるリスクを軽減できるでしょう」
また、教育のみならず、インターン生の採用もインターン生自身が担当する。1次面接をインターン生が担当し、応募全体の約3割に絞るという。1次面接で性格タイプを判断した後、適性のある部署に振り分け、2次面接で現場社員が面接して採用可否が決まる。
「採用はマーケティングそのもの。インターン生が3Cの観点を持って会社の特徴を語りながら採用活動を行うことで、企業理解が深まり、人材としても成長していきます」
採用を担当するインターン生のモチベーションが上がると同時に、採用される側も自分と同じ立場の学生を目の前にすると意欲的になるという。インターン生の特徴のひとつに、強いライバル意識がある。「負けたくない」という意識がインターン生全体のレベルを底上げするのだ。
今回登壇した3者は、インターン採用に対して「型にとらわれずに行動するインターン生は、社員の刺激になる」「インターン生のひたむきな姿に背中を押される社員も多い」とポジティブな意見を述べた。
インターン未導入の企業も、インターン採用にチャレンジしてはいかがだろうか。
執筆者紹介
萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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