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オートメーションに最も影響を受ける国は「日本」

2017.04.20

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米ハーバード・ビジネス・レビュー誌より、「オートメーションに最も影響を受ける国、受けない国」と題した記事を紹介する。著者はマッキンゼー・グローバル研究所のマイケル・チュイら。各国の労働力の自動化潜在性や、その差異に寄与する要因が解説されている。(以下、抄訳)

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自動化潜在性のトップは「日本」

チュイらはこの研究で、全世界の労働力の80%を構成する46か国の調査を実施した。現時点での自動化潜在性(automation potential:既存技術の導入で自動化できる労働の割合)を分析したほか、将来的な自動化の展望の類似点や相違点を探った。

これによると、現在のグローバル経済における賃金労働の約半分は、既存技術の導入で自動化できる潜在性がある。具体的な数字では、フルタイム雇用者1人当たりに換算すると12億人分の労働、賃金換算では14.6兆ドル分の労働が、既存技術により自動化できる。国ごとの自動化潜在性は、40~55%の範囲だった(トップは日本の55.7%)。

なぜ日本の仕事は自動化しやすい(されやすい)のか?

国ごとの自動化潜在性の違いは、産業構造の相違や、産業内での業務バランスなどを反映している。たとえば2つの先進経済大国である日本とアメリカを比較した場合、両者の自動化潜在性は55%と46%と10%近くの差がある。

チュイによると、これは主に両国の製造業の産業構造の相違を反映しており、日本の製造業は71%の自動化潜在性があるが、アメリカのそれは60%にとどまる。

この違いが生まれる理由は、両国の製造業における業務バランスの違いによるもので、総労働時間で換算した場合、日本の製造業は「生産業務」(日本54%、アメリカ50%)、「事務業務」(日本16%、アメリカ9%)などの自動化潜在性が比較的高い業務が全体に占める割合が高い一方で、アメリカでは既存の技術では自動化しづらい「マネジメント」、「設計」、「エンジニアリング」などの業務が占める割合がより高い。

4つの「自動化潜在性大国」

グローバルレベルで見ると、中国、インド、日本、アメリカの4つの経済大国に自動化潜在性が大きく集中している。これらの4か国だけで、世界全体の労働の賃金換算で約半分、雇用者換算では約3分の2を、既存技術の導入により自動化できる潜在性を持つ。中国とインドは労働力の相対的規模が大きいため、世界全体の雇用へのインパクトも大きく、2か国で雇用者7億人分の自動化潜在性を有する。

各経済圏の自動化展望

各国における自動化の展望については、チュイらは調査対象国を3つのグループに分類して、それぞれ経済成長の見通しや、人口動態のトレンドに応じて、どのように自動化が進展していくか予測している。

先進国(アメリカ、日本、ドイツ、オーストラリアなど)

これらの国々はおおむね労働力の高齢化に直面している。オートメーションによる生産性のブーストは、それにより生じる経済成長の鈍化をカバーできる可能性がある。このため自動化技術を早急に開発・導入していくことが主な関心となる。

高齢者人口の多い新興国(ブラジル、中国、ロシアなど)

これらの国々でも、労働人口の成長ペース低下による経済成長の鈍化が予測されている。このため、オートメーションによる生産性増加で、現在の国民1人当たりのGDPを維持することが課題となる。自国の発展目標に見合った成長軌道を達成するためには、ビジネスプロセスの革新などの付加的な生産性ソースによりオートメーション導入を補っていく必要がある。

若年者人口の多い新興国(インド、メキシコ、ナイジェリア、トルコなど)

これらの国々では、持続的に増加する労働人口が、現在の国民1人当たりのGDPを支えていくことができる。しかしながら、高い成長目標を達成し、グローバル経済での競争力を維持するためには、オートメーションによる生産性増大が必要となっていく。

政策立案者の課題は?

記事の最後で、チュイらは次のようにコメントしている。

「国ごとに様々な違いはあれど、オートメーションの課題の多くはユニバーサル(普遍的)なものだ。産業界にとっては業績面での利益は比較的明確だが、政策立案者らにとってはこの問題はより複雑だ。積極的な投資を促す政策や、イノベーションを促す市場刺激策を通して、自国の経済が自動化による生産性増大から利益を享受する機会を探ると同時に、それが雇用にもたらす影響に労働者や企業が適応できるように、経済構造を進化させ、適切な政策立案を行っていく必要がある」

The Countries Most (and Least) Likely to be Affected by Automation (April 12 2017)|Harvard Business Review

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