採用につなげるオウンドメディアの立ち上げと運用方法」イベントレポート
ウォンテッドリー、サイボウズ…ファンを作る「オウンドメディアの法則」とは
2017.04.20
ビジネスSNSツール『Wantedly』を通じて新しい働き方を提案するウォンテッドリー株式会社は、2017年4月18日に「採用につなげるオウンドメディアの立ち上げと運用方法」を開催した。
同イベントでは4人のメディア担当者が登壇し、採用や広報のための会社の情報発信に課題を感じている人に向けて「オウンドメディアやSNSの活用術」を紹介した。成功例に基づいた情報発信のコツは、どれも戦略的だ。
今回は、メディアやブログを立ち上げたものの「ネタが見つからない」「ヒットする記事が書けない」といった悩みを持つ担当者必見のノウハウをレポートする。
普通の人を魅力的に書く3つの法則
ウォンテッドリー株式会社の採用広報として、毎週の出来事や社員インタビューを中心にコンテンツ制作をしている稲生雅裕氏は、実務経験を通じて「社員をより魅力的に見せるコツ」や「PVを獲得し採用につなげる記事の書き方」を習得した。
運用する『Wantedly Blog』は、一緒に働く疑似体験をしてもらうツールだ。一緒に働く日常は、言ってしまえば「普通」。だからこそ発信する「普通」のコンテンツを魅力的に見せなければならない。
営業職の人材が欲しいからと言って、単に社内のナンバーワン営業を紹介しても読者の心には響かない。読者の視点で考えれば、一方的な情報の押しつけは迷惑だ。ポイントは、読み物として面白いコンテンツを作ること。その成功例が以下の記事だ。
こうしてニトリの販売員だった僕は、Wantedlyに入社して、DroidKaigiで登壇しました。
この記事では以下の「普通の人を魅力的に書く3つの法則」を利用している。
1.ギャップ
本人の特徴を洗い出し、一番ギャップのある組み合わせをピックアップする。
ここでは「ニトリの販売員」と「DroidKaigiで登壇」にギャップがある。
2.具体性
その人にしか言えないことをインタビューで深堀りする。
アプリのPVが上がって喜ぶのは普通のこと。この記事では「ある日、突然南米からの流入が増えていて、「なんだなんだ」と思い、Google Analyticsを確認したらブラジルからめっちゃトラフィックがあったりして(笑)」という言葉で具体的な背景を描写している。
3.共感
良い記事とは「教えてあげたい!」「めっちゃわかる!」と感じる記事。
強い共感を持たせるために、想像しやすい自分自身もターゲットにして記事を書く。
こうしたポイントをおさえて作った記事は、多くの反響を生む。記事制作の際に心がけると良いだろう。
新卒採用に成功したオウンドメディアによるブランディング
株式会社サイボウズの明石悠佳氏は、同社が運営する情報サイト『サイボウズ式』に興味を持ち、新卒で入社した。
『サイボウズ式』の想定読者は、就活生と20~30代のビジネスパーソン。「チームワーク溢れる社会を作る」というサイボウズ株式会社の価値観を基盤に、チームワークや働き方をテーマにした記事を展開する。企業ブランディングの一環として5年前に立ち上げたメディアが、今では採用に大きく貢献しているという。
1.どのようにオウンドメディアから採用までつながったか
明石氏は、出版業界を目指す学生だった。ところが、採用イベントで株式会社サイボウズの人事担当者から「サイボウズにもメディアがあるんだよ」と言われ、初めて『サイボウズ式』の存在を知って興味を持った。
その後読んだ『サイボウズ式』の記事は「宇宙兄弟から読み解くチームワーク」と「酒嫌いの僕が飲みにケーションを進める理由」。面白いと感じる反面、会社のことはわからなかった。しかし、そこから会社に好感を持つようになり、自分からOB訪問を重ねて企業理解を深めていったという。
こうした経緯で入社するケースは全体の4%ほどだが、着実に効果が出始めている。
2.オウンドメディアの目的とは
目的は「認知」「興味」の2つだ。入社までは「認知・興味・理解・行動」の4ステップが必要だが、『サイボウズ式』は最初の2ステップに特化したメディアである。OB訪問や説明会でその先の「理解・行動」を促進する。
学生の認知度の低さをカバーするために、SNSで拡散されやすい「コンテンツの面白さ」に重点を置いて記事制作している。このように、採用のどの部分に貢献したいかでメディアのあり方は変わるものだ。
3.目的を達成するためにどのようなコンテンツを作っているのか
『サイボウズ式』は、読者のためにならないことはやらない。大半の読者は社内の雰囲気やサービス概要に興味がないため「サイボウズに興味がない人が読んでも面白いものを作ろう」という考えを徹底している。企画考案時は「自分がもしサイボウズに興味がない人でも、この企画は本当に面白いと思う?」と自問自答し、コンテンツの精度を高めているそうだ。
編集部はオンラインサービスで旬の話題や興味がある情報を共有する。そこで盛り上がった話題は、編集会議でのブレストを重ねた後、一本の企画として成立する。
このように読者目線を徹底的に追及した結果、企業メディアとしての質が担保されている。
メディア取材につなげる企業ブログ運営術
木村石鹸は創業93年の老舗石鹸会社。社内のアナログ文化を打破し、企業ブログ『木村石鹸 よもやま噺』をPR・販促・採用に欠かせないメディアに押し上げ、自社ECの売り上げを昨対で倍々にした人物が峰松加奈氏だ。
会社の沿革や説明を長文で掲載しても、会社への興味は持たれない。そこで、ブログ記事の連載で会社の歴史をストーリー調にしてまとめたり、社長の想いをインタビュー風にまとめたりと工夫を重ねていった。
また、メディア向けに話題性を重視して「日本一汚い家を掃除する」という企画も実施。これには年末の掃除シーズンの売り上げを上げたい、という意図もあった。無事話題になり、メディア露出が増えて売り上げも上がったという。今では企業ブログをきっかけに、1年に30本以上のメディア掲載を実現している。
社員が片手間でも質の高い記事を作るコツは「リアリティ」
コーチ・ユナイテッド株式会社の社員数は約20人。限られたリソースながら、企業ブログ『サイタ開発ブログ』は、技術やマーケティングから組織運営全般まで、サービス開発のノウハウを発信するメディアだ。TwitterやFacebookで600件以上シェアされることも珍しくない。担当者の貴山敬氏は、社員が片手間でも更新できる手軽さと、コンテンツの質を両立させるために試行錯誤してきたという。
どうやったら社員が面白い記事を書けるか。その答えは、リアルな情報発信にあった。実際の実務内容を、外部の人にとっても役立つノウハウの形にしてまとめるようにしたのだ。もちろん、無難にまとめるだけでは個性がなく、面白くない。「内部情報ダダ漏れ」レベルで、リアリティにこだわって作っている。その結果ファンが増え、採用率アップに直結する重要な人事施策となった。
たとえば、コールセンターに警察から電話がかかってきた時の対応マニュアルなどを公開している。マニュアルは新入社員の教育ツールとしても活用できる。ブログの役割は教育3割、採用7割だ。
記事制作をノルマにすると不満が出るため、書きたい人が書く方針だ。それでも問題なく更新できているという。書きたい人が意欲的に書いてこそ、良いコンテンツができ、拡散され、採用につながる。
こうしたノウハウを活用すれば、限られた社内リソースで情報発信ができ、さらに採用や企業ブランディングでも成果を出せるだろう。
執筆者紹介
萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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