自然体で仕事する処世術
「聞き上手」な人は、ある部分に意識を集中させて話を聴いている
2017.04.24
こんにちは!F太です。
あなたは、「人の話をよく聴く」と言われたことがありますか?
あるいは、これから部下や後輩ができたら、話を聴いてあげられるリーダーになる自信がありますか?
今回は、「話を聴いてくれる、相談しやすい」と言われるような上司/先輩/リーダーになるために、誰でもすぐに実践できる、あるひとつのコミュニケーションスキルをご紹介します。
以前Twitterで募集した「あなたが尊敬できる上司や先輩の特徴を教えてください」というアンケートでも、「話をよく聴いてくれる(上司)」という回答がとても多く挙げられていました(関連記事:上司に感じるストレス第1位「指示が曖昧」への、上司/部下それぞれの対処法は?)。
- 人の話をしっかり聴く人。仕事をスマートにこなしている人。自分の機嫌で人に当たらない人。(20~24歳 女性 カルロス)
- 相談しやすい、意見を言いやすい、反論せず話を聞いてくれる、チャンスを与えてくれる、やりたいことを応援してくれる、心配してくれる、アドバイスが自分よがりじゃない、辛いことも笑い話にできる。(25~29歳 女性 きつつき)
- 話を聞く意図を伝えようとする姿勢と、話を伝える意図のある話し方。情報は思っている通りに伝わらないことを理解して、互いの間で言葉の定義を決めながら話していくことの出来る人。(35~39歳 男性 エビカニ)
部下や後輩を叱らねばいけないとき。あるいは、同僚や友人の悩み相談を受けているとき。
相手のある部分に意識を集中して話を聴くだけで、「よく話を聴いてくれる人」という印象が高まります。
コミュニケーションから「感情」を抜き取るべし!
失敗をした部下を前に「なぜこんなことが起きてしまった!?」「誰が責任をとる!?」「再発防止策は!?」という話をいきなり始めてしまうのは、悪手中の悪手です。
トラブル発生時は、不満や怒り、恐怖といった様々な負の感情が、関わった人たち全員のなかに渦巻いています。
なんてことをしてしまったんだ……。いや、自分は悪くない。あの人が悪い。そもそも、会社のシステム自体に問題があるんだ……。
負の感情は事実を捻じ曲げ、無用な争いを引き起こし、適切な情報提供を阻害します。
トラブルが起きた後の話し合いの目的は、「今回のトラブルについてしっかり情報交換し、今後同じようなことが起きないようにし、より働きやすい環境を共に組み立てていく」ことです。
負の感情が台風のように吹き荒れる中、新しい仕組みを組み立てていくのはとても無理な話です。扇風機の前でトランプタワーを積み上げようとするくらい無理のある行為です。
まずは負の感情を、話し合いの場からできるだけ取り除くことが必要なのです。
とはいえ、カウンセラーやセラピストのように、相手の感情を全て溶かすスキルが必要かといえばそうではありません。延々と何時間も部下の言い訳を聴き続けなければいけない、というわけでもありません。
話し合いをするときに、相手の「感情に関する情報」を意識するだけでいいのです。これなら誰でもすぐ実践可能。そして効果は抜群です。
特に、「自分自身、感情的になりがちだ」という方にはぜひとも取り入れていただきたい手法です。この手法を実践すれば、相手の言うことに、自分自身の感情を揺さぶられることが圧倒的に少なくなります。
相手の「感情に関する情報」だけに焦点をあてる!
会話というコミュニケーションでやりとりされているのは、言葉だけではありません。言葉の抑揚とか、表情とか、目線といった、様々な非言語情報も同時にやりとりされています。
ああ、怒っているなぁ、とか、つまらなそうにしているなぁ、とか、すごくこの話に興味があるみたいだな、とか、そういう情報をたくさんやりとりしています。
これら膨大にやりとりされている情報の中から、まずは相手の「感情」に関する情報にだけ、意識を集中するのです。
とにかくまず、相手の話を聴くことに徹します。これは話し合いというより、傾聴に近い作業です。相手が感情をはきだす作業を手伝うようなイメージで、相手の「感情にまみれた意見」を聴き出してください。
その間、自分の意見を挟まず、ただ、相手の物語を聴き続けます。
なぜそう感じるようになったのか?今まで、その思いにどう対処してきたのか?失敗した時どう思ったか?
そんなふうに相手の「思い」や「感情」にフォーカスを当てた質問を投げかけます。
相手が目をそらしたり、じっと考え込んだり、髪を触ったり貧乏ゆすりをしたり、といった感情的な動きも観察してみてください。
繰り返しますが、言い訳がましいなぁ、とか、いやそれはこっちにもこういう事情があって……。といった「話を聴いている自身の評価」を挟まないよう、注意してください。
実際やってみるとわかりますが、この傾聴はかなりの集中力を使います。相手の話を聴き取るので精一杯。自分の方から意見を言う余裕はありません。
ついつい感情的に反論してしまう、相手の話を途中で遮ってしまう、という方は、むしろ相手を観察することでいっぱいいっぱいになることで、余計な口を挟まずに済みます。
そして相手にも、真剣に話を聴こうとするこちらの意思が伝わります。
この「感情の聴き取り」のステップを最初に踏んでから、ようやく事実関係についての話し合いに入ります。
ここから先は、これまで色々な本や研修で学んできた問題解決のフレームワークを存分に駆使してください。
せっかく学んだビジネススキル、話し合いのスキルも、感情を処理するステップを踏まないから上手に活用できていなかった、ということが実感していただけると思います。
実践編
では、この「感情だけに焦点をあてた傾聴」を、日常業務に取り入れる方法についていくつか具体例をご紹介していきます。
ランチミーティング
まずおすすめなのがランチミーティングです。
食事中は、空腹が満たされるにつれ血糖値が上昇していき、徐々に気分が落ち着いていきます。
そんな中、ゆっくり相手の話に耳を傾けることで、相手には、あなたが話を聴いてくれているから気持ちが少しずつ落ち着いてきている、と感じられます。
ランチミーティング中は感情の聴き取りに終始し、午後以降、具体的な対策を検討するための時間を設けることで、よりスマートに話し合いを進められます。
時間がかかりそうならば、二分割して一日以上開ける
おそらく、部下を上手に叱ることが難しいのは「忙しすぎてゆっくり部下の話を聴いてる暇がない」というところに理由があるのかもしれません。すぐに「原因と対策」に話を進めてしまいたくなるのです。
この場合、話し合いを敢えて二分割するのがおすすめです。
例えばトータルで1時間かかりそうなら、30分づつ、2日に分けて行うのです。
まず感情を聴きとる時間を設け、それから一日あけて、より具体的な話し合いをします。気持ちをすっきりさせた後、更に一日あけることで相手も自分も思考がまとまり、クリアで冷静な状態で話し合いが進められます。
傾聴とメールを組み合わせる
「感情の傾聴」は対面で行い、その後の具体的な対策に関しては文章でまとめて報告してもらう、というのも有効な方法です。
トラブル後の具体的な対策プランは、次回また同じようなことが起きた時の対応マニュアルにもなるので、本来、文章でまとめておくが適切です。
しかしこれも一旦、感情の傾聴を済ませておかないと、言い回しが気になってむやみに長い文章を書かせてしまったり、書いてはいけないことを書いてしまったり、伝えるべき情報が間違って伝わってしまったりと、さらなるトラブルを呼びかねません。
文章で報告を求める際は、小難しい配慮はいらないからシンプルに対策だけ書くよう指示しておけば、相手に余計な心理負担をかけずに済むでしょう。
まとめ
話し合いの前に、「感情だけに焦点を当てた傾聴」コミュニケーションを挟むべし!
今回もお読みいただきありがとうございました。
実践してみた感想など、ぜひTwitterで筆者までお寄せください。また更にご質問などあればお答えいたします。
執筆者紹介
F太 宮城県出身。公認会計士の勉強中に始めたTwitterで、心をふぅっと楽にする言葉や情報を発信し続け、なぜか「フォローしとくと運が良くなる」と話題に。現在メインアカウント「F太」のフォロワーが約10万人。厳選したツイートのみ発信するbotアカウント「ひらめきメモ」のフォロワーが約24万人。2015年5月に初の単行本『明日ちょっと運が良くなる、思考のメモ』を出版。
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