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リモートワーカーの自負と悩み「自分たちは怠けものではない」

2017.04.10

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リモート環境で働く社員は、自分は熱心に効率よく働いているという自負があるが、オフィスの同僚からそれとは真逆のこと、つまり「怠けもの」と思われているのでは、という懸念がある――世界12か国のリモートワーカーを対象にした意識調査により、こんな傾向が明らかになった。全米人材マネジメント協会が報じた。(以下、抄訳)

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この調査は米ソフトウェア企業「Polycom」とリサーチ企業「Future Workplace」が合同で実施したもので、12か国・約2万5000人のリモートワーカーが対象とされた。回答者の56%が管理職・経営幹部で、68%が子どもを持つ親だった。

これによると、回答者の約3分の2が、「会社でオンサイト勤務していた頃より、リモート環境の方が生産性が高い」と回答。さらに約4分の3が「ワークライフ・バランスの調整がしやすくなった」としている。

リモートワークの最大の利点については、すべての職務レベルの回答者が、「仕事がより捗ること」と答えた。これについてPolycomの人事責任者であるビリー・ハートレスは、「CEOから一般社員まで、誰もが生産性の増加こそが最大のアドバンテージと答えている」とコメント。

見えない同僚の「視線」が気になる

この「自分は熱心かつ生産的に働いている」という自負にも関わらず、リモートワーカーの多くは、オンサイト勤務の社員がそれとは正反対の印象を抱いているのでは、と懸念している。回答者の62%が「オンサイトの同僚から怠けていると思われている気がする」と答えた。

「リモートワーカーに関するよくある誤解の1つは、彼らが怠け者であるという考えだ。そうした意見を持つ人々には、リモートワーカーは『オフィスへの出勤を面倒くさがり、家でのうのうと働く社員』と映っている」とフューチャー・ワークプレースのジーン・マイスターは言う。

「だが現実は大きく異なる。多くのリモートワーカーは、自宅が職場だと仕事から簡単には離れられないと語る。また彼らはリモート環境の方が生産性が高いことについても、口を揃える。通勤がないので、より長時間働くことができるためだ」

米運輸省のデータによると、アメリカ人労働者の平均通勤時間は往復30分だが、都市部ではその数字は2倍になる、とハートレスは指摘。

「人々は1日の貴重な時間を通勤に割いている。毎日1、2時間の通勤時間を削り、これを5日分合計すれば、1日分の労働時間をプラスアルファで捻出可能だ」

テクノロジーで共同作業を活発化してほしい

調査によると、リモートワーカーらは組織に対して、オンサイト勤務者との共同作業やコミュニケーションを促進するテクノロジーへの投資を求めている。

回答者のほぼ全員(98%)が、「共同作業テクノロジーは、同僚との協調・関係改善に役立つ」と回答。さらに約半数が、「ビデオ会議は、同僚を個人的に知る上で役立つ」とした。

マイスターはビデオ会議の利点について、「相手の話に真剣に耳を傾け、共感を示せること」と述べる。リモートワーカーらもこうしたツールが効果的に利用できれば、オンサイト勤務の同僚とのわだかまりが解けていくはず、と答えている。

リモートワークは人事戦略

マイスターによれば、リモートワークに関する研究の多くは、リモートワーカー側の便益に注目したものが多いが、これは企業側にも大きな利益がある。その1つが、優れた人材を手に入れやすくなることだという。

「最近ではリモートワークは、従業員個人への便宜的措置というより、優れた人材を採用・定着するビジネス戦略として捉えられるようになった」

たとえばマイスターによると、アメリカン・エキスプレス社はリモートワークの導入により、年間1500万ドルの不動産コストを削減している。同社はトレーニングやツールキット、ディスカッションなどを通じて、リモート環境で働く社員とそのマネージャーらをサポートしている。

大手保険会社アエトナ・インシュランスでは、47%の社員がリモート環境で働いており、これは年間7000万ドルのコスト削減効果があるという。さらにリテンション(離職防止)にも効果があり、リモート環境で働く社員とそうでない社員の自主的離職率を比較した場合、前者は2~3%、後者は8%程度と大きく差が出ている。

「リモートワーカーは傾向的に病欠も少ない。仕事の邪魔になる要素が少ないので、同じ時間内での生産性もより高いと報告している。ギャラップ社の興味深い調査例もある。自宅で働く社員は、オフィス社員より週に4時間長く働いているというのだ。そして時間をより柔軟に活用できるので、自分の都合に合うよう、その日の勤務時間を早朝や夜にずらして調整している人も多い」とマイスターは述べている。

Remote Workers Feel Productive but Also Guilty (March 23 2017)|SOCIETY FOR HUMAN RESOURCE MANAGEMENT

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