コラム

残業ゼロを目指して


残業常連の皆さん。その仕事、今日やるべきことですか?

2017.04.21

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「残業がいっこうに減らない」と、よく言われます。これほどまでに「早く帰る!」「家族との時間を!」と言われているなか、厳しい現実が厳然としてそびえ立っているようです。

ところで、どれほど長く残業したとしても、きわめて多くというか、ほとんどすべての人は「電車で帰宅して」います。
ということは、どれほど長く残業したいとしても、会社に泊まり込むという事態を除けば、終電には間に合うようにしているわけです。

残業は、「今日の定時までにやるべき事が、どうしても終わらないから、定時後に残った仕事をしている」ということでしょう。

今回提案したいのは、単純なことです。「今日やるべき事だけのリスト」を作ることです

もちろん、そうしたとしても、残業が減らないという人もいるかもしれません。しかし、かなりの人が「今日やらなくてもいいことをやらないことにすれば、残業ゼロにはほど遠いにしても、残業が減ることは間違いない」となるはずです。

やっておいたほうがいい?

「今日やるべき事だけのリスト」だけをやるようにすると、どうして残業が減るのか?

「それは決まっている。そうやれば仕事が減るからだ。しかし、今日やることだけではすまないから、残業しているのだ。」

そのように思われるのも、もっともです。

しかし、まず考えてみて欲しいのですが、今日やるべき事だけを今日やることにした場合、減るのは仕事量だけではありません。判断に必要な時間と苦労が減るのです

多くの人には、計画段階で多少迷いがあります。
「これは、今すぐやるか。今日の夜にでも(残業して)やるか。それとも、明日やるか」

迷うのにも、時間は必要です。
よく「思考の速度で」と言われますが、思考はそんなに猛スピードでは働いていません。「光速」というようなイメージを持つ人もあるようですが、思考は光速には遠く及ばないのです。まして、迷って、判断するまでにはそれなりの時間を要します。

時間もさることながら、迷うとストレスにもなります。

よく、仕事というのは、小さな判断の連続だと言われることがあります。普段は気づきにくいことですが、キツいストレスなどで気持ちが弱っていると気づくことがあるでしょう。「あれ?これで良かったのか?」と考え始めると、どんなことでも不安が募ってきます。記入欄に記入する金額から、敬語の使い方、幹事として予約するべきお店のことまで。

仕事を早く終わらせる確実な方法は、ミスをなくすことと、迷わず判断できるようになることです。迷わず正しい判断を機械的にできるなら、仕事のすべてと言わないまでも、大半の仕事は非常にスムーズに、非常に「高速」に終わるでしょう。

だから「絶対に今日やることは、絶対に今日やる。それ以外のことを、今日はやらない」などの、あまりにも簡単すぎる判断基準を保つことが大きな助けになります。「今日やるべき事だけのリスト」が役に立つわけです。

これは、今日やらないわけにいかないことだから、すぐに終わらせよう。

迷いなくこのように思えることほど、スピーディに完了させられます。
当然これが、残業を減らす結果につながるわけです。
もちろん、今日やらなくていいことをやらないという決定も、今日の残業を減らすことでしょう。

でもそれで大丈夫なのか?

問題は、明日でいいことは、明日やることにして、果たしてそれで大丈夫なのか、と不安が募ることのほうです。
「今日やるべき事だけのリスト」だけをこなしていて、大丈夫なのか?

これに関しては、「まず実験してみてください」というほか、ありません。

仕事において、「やっておいたほうがいいこと」というのは、もしそれを額面通りに受け取るなら、無限にあるはずです。
今日でなくても、やっておいたほうがいいこと。
できれば早めにやっておいたほうがいいこと。
今すぐではなくても、いつかやっておいたほうがいいこと。

それらはすべてたしかに、やらないよりはやっておいたほうが「いい」のでしょう。

でも、今日やるべき事の前に「いつかやっておいたほうがいいこと」をやってしまうのは、間違っています。そんなまちがいの起こる可能性を、なるべくつみ取っておいて欲しいのです。いつかやっておいたほうがいいことに使ってしまった時間を、取り戻すことはできないのですから。

やるべき事のリストがただ並んでいるだけだと、つい、特に疲れているときには、あまり大変そうでないことをやって、とりあえず仕事を進めよう、などと思いがちです。

そうして、納期が迫っている仕事の前に、大事ではあるが、来週以後でもいい仕事などに手がけて、時間を使ってしまうのです。これは、致命的です。残業どころか、会社に泊まり込むことになりかねません。

普段いかに、緊急にはやらなくていいことをやって、しかも迷って時間を使っていたかが、よく分かると思います。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)『iPhone情報整理術』(技術評論社)などがある。

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