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コラム

社員に選ばれる会社の人事制度・人材開発


ハラスメントなどの相談窓口設置と研修展開の時期・タイミング

2017.04.12

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コンプライアンス違反・不適切なビジネス行動・パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど道義に反する言動の場面に遭遇した、あるいはご自身がそういった被害にあわれていると感じた社員に対する相談窓口を会社として設けることを、かつて検討・実施したことがあります。私が在籍していた事業会社では、「スピークアップホットライン」という名称をつけていました。近年、ある程度の規模の企業では何らかの形で、こういった仕組みを持っているところが多いでしょう。

ただ、その具体的な相談内容をどのように受付、対応するのかといったことは各社の環境や社風に応じた取り組みが必要であると思います。今回は、相談窓口(スピークアップホットライン)をどのように企画したか、およびその運用について記載したいと思います

目次
  1. 相談窓口設置の目的
  2. 外部委託の要否検討およびその結果
  3. 全社員向け研修実施概要
  4. 相談窓口の設置と運用

相談窓口設置の目的

職場環境におけるトラブルの解決に、人事部門が介入することはよくあることでしょう。特にパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに関しては、内容がセンシティブなため、人事部門と関係者・部門にて適切に対処する必要があります。被害にあった社員やそれを目撃した第三者が何らかの形で報告できる窓口があった方が、社員にとってもわかりやすいし、問題が全く対処されない……といったことも無いだろうというのが設置のきっかけです。

外部委託の要否検討およびその結果

当初は、相談窓口の業務は外部に委託した後、しばらく期間をあけて、社内の「課題」が見えてきた段階でそれに即した研修プログラムを開発して実施するという流れを想定していました。そのため、外部委託先には以下のようなサービスの提供ができることを軸として選定しました。

・ハラスメントを中心とした労務関係の相談窓口および1次対応。24時間365日対応できる(あるいは限りなくそれに近い状況である)
・月次レベルで会社にレポートを提出できる(件数、内容など)
・上記の相談実績をふまえて、実際の課題に即した研修プログラムのデリバリーができる

外部に委託することによるメリットとして以下のように考えていました。

・相談相手が社外の方のため、社員が相談し易い
・専門家による具体的なサポートができる

上記のスキームでいくつかの外部ベンダーを選定し、どこに依頼するのかを検討していました。最終的に決定しようとする中で、相談窓口の設置よりも先んじてハラスメント研修による社員への知識啓蒙活動を行った方がよいだろうという方針転換が発生しました。そのため、全社員へのハラスメント研修の実施を経て相談窓口設置というように順番が完全に反対となりました。

全社員向け研修実施概要

研修実施方法に関しては、全国に社員が勤務していることもあり、階層と職種を軸に以下の3つの方法で研修を実施しました。

・管理職:東京本社での集合研修(1回 2時間)
・オフィス勤務の非管理職:e-Learning(想定受講時間 1時間程度)
・店舗勤務の非管理職:冊子配布&レポート提出(A4用紙1枚のアンケート回答方式)

集合研修は半年くらいの間で15回程度行いました。店舗勤務の管理職(店長)については、本社に集合する機会がある前後に研修日を設定するなど、参加しやすいように計画を立てました。

e-Learningは受講開始時期が繁忙期だったので、受講期限を4ヵ月程度先に設けることで確実に受講できる状況を作り出しました。いわゆるASP(アプリケーションサービスプロバイダー)を利用していたので、未受講者に受講を促すメール送信もできました。それだけではなく、受講状況を人事部門でモニタリングして未受講者に対する直接的なフォローをすることで、最終的には9割以上が受講完了となりました。

冊子配布に関しては、全国に160くらいの店舗があったので、店舗ごとの部数確定と送付先リスト作成などの準備を行い、実際の配送処理は他部門(配送センター)に協力をしてもらうことで完了することができました。

相談窓口の設置と運用

こういった研修プログラムを実施している間に、当初予定していた相談窓口を設置することになりました。検討した結果、社内担当者(人事部門長)および社外担当者(顧問弁護士)を置いて、社員からは電話・メール・封書といったあらゆる方法で、いずれの担当者にもアクセスできるようにしました。外部委託するかどうかは、上記の体制で運用してからの件数や内容などを鑑みて判断することにしたのですが、それほど発生件数も多くないため、現在も同じ運用体制です。

また、匿名によるスピークアップは受け付けないものとしました。その背景として、調査結果のフィードバックや詳細ヒアリングなどが匿名の場合は不可能となるためです。もちろん、それによる不利益が発生することは一切無いと周知徹底しております。

このようなスピークアップ窓口が積極的に活用される状況ならば、職場環境として問題があるかもしれませんが、こういったものが既に設置されているのかどうかということは、社員からみれば安心材料(セーフティーネット)になると思います。そのため、新入社員向け研修で人事制度を説明する際に、このスピークアップ制度については必ず紹介はしつつ、「職場環境をつくるのは、上長だけの責任ではなく、そこに関わる全ての人の責任である」ということもあわせて伝えていました。

執筆者紹介

永見昌彦(ながみ・まさひこ) アルドーニ株式会社代表取締役。外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。

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