残業ゼロを目指して
長時間労働を減らすには、「約束リスト」を作るべし!
2017.04.05
はじめまして。佐々木正悟と申します。これから週に1回程度、こちらの@人事で連載させていただくことになりましたので、よろしくお願いします。
ということで、簡単な自己紹介をします。
「心理学ジャーナリスト」という肩書きで仕事をしていますが、メインの仕事はビジネス書を書くことです。1973年北海道生まれ。会社員として仕事をしたのは、派遣社員としてドコモサービスで働いたことがある程度です。
本連載ではしばらく、「残業をなくすには?」「なくせないまでも減らすには?」というテーマで書いていきたいと思います。
残業が多いという人によく見られる傾向
時間術やライフハックによる「残業を減らすためのテクニック」などはいろいろありますし、私自身もこれまで、書籍に書いたことがあります。おかげさまで好評いただきましたが、それだけ「残業をなくしたい!」という切実なニーズがあるのでしょう。にもかかわらず長時間労働の現状がなかなか改善されないという現実もあるのだろうと思います。
会社の上の方の人、とりわけ経営陣と呼ばれる側が、「社員に長時間労働して欲しくない」と本気で思わないと、なかなか事態の改善は難しいと思いますが、残業する側でもできることがあると思います。私はやはり「コントロールできるものから先に手をつける」という原則できましたから、そういう「即効性のある話」をしたいと思います。
そもそも「会社が残業体質である」ということのほか、私が相談を受けたり、見聞したりしている範囲内で、「残業時間がいかにも長い」人々によく見られる傾向がいくつかあります。その中でもとりわけ印象に残るのが、
「残業時間がとても長い人は、約束を微妙に守ってくれない」
ということです。急いで断っておきますが、べつにそのことに腹が立つとか、もの申したいというわけではないのです。むしろ同情的な気持ちで書いています。
たぶん残業時間が長くなると、当たり前のことですが帰宅が遅くなり、帰宅が遅いと、夕食や寝る時間が遅くなるでしょう。こういうループの中で生きている人にしてみれば、たとえば私との取材の時間に「10分程度遅刻する」といったようなことは、仕方のないことだと思うわけです。
もちろんそんな時間管理状況なので、やることが山のようにあるはずですし、人と会う約束や、何かを提出する約束などもたくさんあって、すべてが遅れがちな状況だろうと思います。必然的に私と会う時間だけではなく、私に送ることになっている企画書類や、雑誌の見本なども、約束の日を過ぎてから「すみませんこれから送ります」というメールを送信する、という流れになってしまうわけです。好きでそうしているわけではないのでしょう。
こんなメールをいただくと、そこまで忙しい思いをしているわけではない私などはむしろ罪悪感が募るので、「いえ。べつにそんな謝罪メールなんか、なくてかまいませんし、雑誌の見本など、来なくても誰かの懐が痛むわけでもないですし」などと書きそうになりますが、そこまでこちらが気を使うのも変ですので、とりあえず「よろしくお願いします」というような文言を返信することになります。
が、そもそもこういうやりとりそのものが、時間をごく微量にせよ、ムダにしているわけです。先方が謝罪メールを送り、私がそれに返信する。もともと双方にとって、使わなくていいはずの時間です。約束を破るということは、ムダがどうしても増えます。もちろんそれは、問題にするに値しない程度の、1分未満のムダでしょうが、ただでさえ長く残業しているのに、余計に時間を使うことはないでしょう。
約束リストを作る
すでに書いた通り、「残業時間がとても長い人は、約束を微妙に守ってくれない」のですが、そもそもこの状態を改善するためにも、「守れそうもない約束を、安易に取り交わさない」ことが大切です。これが、「残業時間を少しでも減らす」上で重要な1歩になるのです。
仕事上の約束となれば、したくてしているわけではないので、簡単には減らせないでしょう。それでも、特にプライベートのものを含めれば、「1つでも約束を減らす」ことができるはずです。
ここで「約束を減らす」と書きましたが、「減らす」という自覚を持つためには、自分がいったいどれほどの「約束をしているか?」を常時、把握しておかなければいけません。いますぐ、自分自身が交わしている約束を頭でそらんじることができますか? できないなら、即座に確認するためのリストが必要です。
これは決して作成が大変なリストではないし、作るとなれば大ごとになるリストでもなく、本来社会人が持っていて当然のリストです。つまり、約束だけが集められた「約束リスト」です。
その中で守ることのできなさそうな約束事については、今すぐにでも、関係者に連絡して日程を変更してもらったり、少なくとも「待ってもらうことになるかもしれない」旨を伝えたりするべきでしょう。それも難しいのであれば、特別な印をつけて、その約束事をなんとかするべく手を打つべきです。
家族の人との約束まで含め、そもそも約束を守るという意識が高くなければ、残業時間が減るということには、まずならない。というのも結局、定時で帰るということは、自分や家族と交わす約束だからです。自分と交わす約束ほど、反故になりやすいものはありません。正月早々に食事に気をつけることを自分と約束しても、そんな約束など翌日から無視されます。
「自分との約束」を守ることができるのは、たぶん最後でしょう。最初は、他人との約束をせめて、守るようにすることです。そのためには、そもそも守れそうもない約束を交わさないか、どうしてもかわす場合にも、一考することです。その意識を常に持つことが、残業時間を少しでも短くするのに役立つのです。
執筆者紹介
佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック
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