自然体で仕事する処世術
トラブルに強い思考回路は「感情をマネジメント」することで作られる!
2017.03.24
こんにちは!F太です。
「理想の上司や先輩を想像できますか?」
こう聞かれて、すぐに思い浮かぶ人はいますか?
できれば憧れのカリスマ的存在というよりは、自分自身が「こうなりたい!」と思えるような理想の上司、リーダー、先輩を想像してみてください。
さて、その「理想の上司(に近づいた自分)」は、トラブルが発生したとき、どのように振る舞うでしょうか?
以前Twitterで募集した「あなたが尊敬できる上司や先輩の特徴を教えてください」というアンケートでは、憧れる上司の立ち振る舞いとして、以下のようなものが挙げられていました。
- 部下の立場(社員・パート・派遣)に関係なく思いやりを持って対応してくれる。頭ごなしに怒ったり感情論で注意するのではなく、互いに業務上での問題を意見交換し解決に導いてくれる(30代前半/女性/うさぎ)
- 感情的にならない。失敗したら叱るのではなく、対策と対処の指示のみ言う上司(20代後半/女性/maya)
- 面倒見がよく、自分の非も認められる。場を和ませる努力もする(30代前半/女性/まちる)
誰だって嫌われるよりは尊敬されたいですから、世の多くのリーダー、上司は誰だって多かれ少なかれ、努力していると思います(思いたい)。
でも実際には、責任を取ろうとしない、責任を押し付けてくる上司に日々ストレスを感じている方がとても多い。
「最近、上司や先輩とのやりとりでストレスを感じたことを教えてください」というアンケートでも、責任を取ろうとしない上司に対する不満が多く寄せられていました。
- 具体的理解してないくせに責めてきたとき。理由があるのに聞いてくれないとき。暴言をはいたとき(30代前半/女性/さよ)
- 真相を確認しないまま、いきなり”あなたのせいで”のような言い方で責められた(30代前半/女性/Bianca)
- 先輩が間違っているのにあやまりもせず、「そういうことは言ってくれなきゃね」って私のせいにされた(40代前半/女性/はりはり)
この不満を読んで、「いるいる!」「こうはなりたくない」と思うだけでなく、
- 「自分もそんなことをしてしまっていないだろうか…」
- 「自分がそんな上司にならないために、できることは何か」
そんな考えが少しでも頭をよぎってくれる人のために今回の記事は書きました。
- 体面を気にして、つい、言い訳をしてしまったことがある。
- つい感情的に、皆の前で相手のミスを指摘してしまったことがある。
「問題があったときについ、弱さがでてしまう」という、人間として当たり前のことを、少しでも改善できたらいいなと、思っている人に読んでいただきたい記事です。
せっかくの経験やスキルを活かせないのは、感情をマネジメントできていないから
日々、時間と人間関係のプレッシャーに追われる中で突発的に発生するトラブルは、大いに感情を揺さぶります。
感情が揺れ動くとき、人間の思考は軽いパニック状態に陥ります。そんな時は防衛本能が働くので、つい攻撃的な態度をとってしまったり、つい責任逃れな言動をとってしまったりしがちです。
何のために避難訓練をするのかといえば、いざという時、心の余裕をなくし、ややパニックになった状態でも、避難経路に従って逃げることが出来るようにするためです。
思考が一時的なパニック状態に陥った瞬間にどう振る舞うか。その流れをあらかじめしっかりとイメージし、練習しておくことで、混乱の中でも最善の行動を選択できるのです。
この点についてはこちらの記事で詳細に書きました。
せっかく学んだスキルを活かせない理由。必要なのは「微量だが、瞬間的な怒り」のマネジメント
今回はいざトラブルに見舞われ、思考が一瞬パニックになってしまったときに、どうすれば適切な考えや行動が取れるようになるのか?を、より詳しくみていきたいと思います。
トラブルが発生したとき、頭の中ではどんなことが起きているか?
最近で、トラブルが発生した瞬間の自分の思考の流れを思い出せるでしょうか?
とっさに「悪いのは誰だ!(怒り)」「もしかしたら私が悪いのかも(不安)」という考えがよぎりませんでしたか?
だとしたらそれはごく自然な反応です。人間は危機的な状況を感知すると瞬間的に、自分を守る態度を取ろうとします(逃走・闘争反応)
とはいえ、トラブル発生時にいちばん大切なのは、誰が悪いか考えることではなく、そのトラブルを速やかに解決することです。
しかし、そのことを頭ではわかっていても、人間の動物としての本能が先に反応し、その思考を妨げているのです。
大切なのは、トラブルのとき「逃げたい」という思考が出てきた直後、その本能に負けじと問題解決に立ち向かうこと。
そのために有効なのが「if-thenプランニング」と「思考のリフレーミング」です。
思考の流れはコントロールできる
if-thenプランニングとは、悪い習慣をなくしたり、新しい習慣をつくるときにとても有効な方法です。
まず、「もしAならばBする」というシンプルなルールを状況に合わせて作成します。
今回の場合、「もしトラブルが起きたら、問題解決に意識を集中する」というルールを決めておきます。そしてこのルールを定期的に思い出せるよう、目につく場所に書き記しておくか、定期的にリマインドしてくれる仕組みを作っておきます。
そして実際にトラブルが発生したときには、このように思考します。
トラブル発生!
↓
(とっさの思考)私が悪いのかもしれない
↓
(if-thenプランニング)でもまずは、問題解決に意識を集中しよう。
(リフレーミング)自分が悪いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも自分が悪かったとしても、迅速に行動し、対処した方が周りの印象もいいはずだ。まずは問題に対処しよう。
トラブル発生!
↓
(とっさの思考)またあいつだ!いつもあいつのせいでトラブルが起きる
↓
(if-thenプランニング)でもまずは、問題解決に意識を集中しよう。
(リフレーミング)彼の日頃のふるまいについて改善を強く主張するためにも、この問題にしっかり取り組み、貢献しておこう。
トラブル発生時、とっさに怒りの思考や責任逃れの思考が出てきてしまうのは仕方がないことです。より重要なのはその後の流れ。if-thenプランニングで自動的なとっさの思考に気づき、方向性を変えていくことができれば、その後の行動も変わってくるのです。
さらに、if-thenプランニングで自動的な思考の方向修正ができたなら、認知行動療法でいうところの「リフレーミング」という技術を使って、思考の流れをさらに変化させていきます。それが例の後半部分です。
相手や自分を責めてしまうとっさの思考から、問題解決に前向きに取り組むための思考に書き換わっているのがお分かりいただけると思います。
このような書き換えのレパートリーは、たくさん用意しておけばおくほど、迅速に対応できる確率が高まります。
感情的になってしまい、コミュニケーションを失敗した、と感じたときは、「次はこう考え、こう動こう!」というイメージを文章にして残しておき、定期的に見返すことによって、if-thenプランニングとリフレーミングによる思考のコントロール力を強化していことができます。
理想のリーダーも良くないことは考える。でも感情的にならないだけ。
if-thenプランニングにより、感情的な思考に流されることを防止し、リフレーミングによって思考の流れを書き換え、より建設的な行動をとる。
責任の所在云々は、問題解決後、ゆっくり対処すればいいのです。
尊敬される上司やリーダーの中には、生まれつき逃げ腰な思考とは無縁そうな立派な人物もいるでしょう。しかし多くの普通の人が尊敬される人物になるまでには、まずは逃げたくなる自分を抑え、しっかり問題解決に立ち向かえるような思考法を、コツコツと身につけてきたのだと思います。
感情が揺れるようなトラブルが起きた時に適切な思考を選べるかどうか。そのトレーニングを日常的に意識して積んでいるかどうかが重要なのです。何度も繰り返しif-thenプランニングとリフレーミングを繰り返すことで、自転車に乗るかのように自然に、理想のリーダーとして立ち振舞える自分を作っていきましょう。
執筆者紹介
F太 宮城県出身。公認会計士の勉強中に始めたTwitterで、心をふぅっと楽にする言葉や情報を発信し続け、なぜか「フォローしとくと運が良くなる」と話題に。現在メインアカウント「F太」のフォロワーが約10万人。厳選したツイートのみ発信するbotアカウント「ひらめきメモ」のフォロワーが約24万人。2015年5月に初の単行本『明日ちょっと運が良くなる、思考のメモ』を出版。
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