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社員の離職・定着に「統計的」に関わる要素―米研究

2017.03.16

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「社員が組織を去る理由は、多くの場合とてもシンプルなもの。これをしっかりと追及しない雇用主らは、いたずらに社員を失っている可能性がある」――こう指摘するのは、米グラスドア社のチーフ・エコノミストのアンドリュー・チャンバーレイン。

同社は近年急成長中の求職情報サイトで、社員・元社員から収集した企業のレビューやレーティング(評価点)を掲載している。評価項目は、採用プロセス、企業文化、給与水準、経営スタイルなど多岐にわたるが、このたびチャンバーレインらは中でもどんな要素が社員の離職・定着に統計的に関わるのかを探り、結果をハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載している。(以下、抄訳)

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1.辞めるのは「いつまでも昇進できないから」

グラスドアでは先ごろ、2007~2016年にかけてサイト上でシェアされた企業社員の異動・転職データを分析。各企業の評価点や給与情報などのデータと組み合わせて、社員の離職や定着にはどのような統計的要因が関わっているのかを探った。

これによると、主な離職要因の1つめは、「同じポジション(地位)での停滞」だった。他の条件が一定の場合、同じポジションに社員を10か月留めることは、その社員が離職する確率を1%上昇させる。これは「統計的には重要な影響だ」とチャンバーレインは言う。

これに対する解決策としてチャンバーレインは、「社員に明確なキャリアパスを示し、定期的・段階的に昇進させること」を挙げる。

2.辞めるのは「待遇が見劣りするから」

だが調査によれば、社員を昇進させるだけではリテンション(社員定着)には十分ではない。「給与水準がライバル企業に見劣りしないこと」も、長期的な人材定着には不可欠な要素だった。

調査では、基本給が10%上がるにつれて、その社員が次の異動の際に企業にとどまる可能性が1.5%上昇していた。

このデータの教訓についてチャンバーレインは、「長期的には、社員は役職が変わるだけでは満足しない。昇進に見合った昇給を与えなければ、社員が去る確率は高くなる」とコメント。

3.辞めるのは「職場文化が肌に合わないから」

肩書きと給与の引き上げのほかには、「職場文化」も社員リテンションに大きく関わる要素だった。グラスドア社はユーザーの採点に基づいて、企業の総合評価を5点満点で発表しているが、この点数が1点上がるにつれて、社員が次の異動の際に企業にとどまる可能性が4%上昇していた。

職場文化の具体的な評価項目の中でも「キャリアチャンス」と「文化・価値観」の点数はリテンションと統計的な関わりが深かった。

「明確なキャリアパスが見えており、ポジティブな価値体系を持つ企業で働いていると感じる人々は、職場を去る確率が統計的に低いようだ」とチャンバーレインはコメント。

経営者の好感度やワークライフ・バランスはあまり関係がない

一方で、社員の離職とは統計的に関連の薄い要素もあった。まずは「シニア・リーダーシップ(経営陣)の質」。グラスドアはCEO(経営者)の評価点も100点満点で掲載しているが、この点数の多寡は、キャリアの停滞を感じる社員の離職・定着とは関連が薄かった。むしろ今のポジションでの成長見込みや、直属の上司との関係のほうが、リテンションに大きく関わる、とチャンバーレインは言う。

2つめは「ワークライフ・バランス」で、これも社員の離職・定着と統計的な繋がりがほとんど見られなかった。「ワークライフ・バランスは社員の全般的満足度に貢献することは確かだが、他の要素と比べれば離職との関連性はあまりないようだ」とチャンバーレインは言う。

記事の最後でチャンバーレインは、「社員の離職は雇用主にとってコストのかかる難題。だがこれは部分的には制御可能で、明確な対策もある。リテンションの向上には、明確なキャリアパスを与え、ライバル企業に見劣りしない給与を支払い、健康的な職場文化を育めばいい」と述べている。

ソース:Why Do Employees Stay? A Clear Career Path and Good Pay, for Starters (March 6 2017)|Harvard Business Review

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