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元グーグル人事トップが語る「人事の未来」

2017.02.27

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グーグルの人事トップの座を10年にわたって務め、著作「ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える」でその秘訣を公開したラズロ・ボック。彼は昨年グーグルを退職する際に、新種の採用プラットフォームの立ち上げを計画中であると述べていた。このたび全米人材マネジメント協会の取材に応えて、自身の取り組みや人事業界の今後の展望などを語っている。(以下、抄訳)

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SHRMの質問:あなたが立ち上げる会社は、他のプラットフォームとどう異なりますか?

ボックの回答:我々は他の組織が見逃している2つのポイントを追求している。

まず1つめに、誰もが企業文化の重要性を説き、自社の文化を自慢したがるが、組織や世間一般は、企業文化というものの捉え方を本質的に誤っている。この分野での調査例は枚挙にいとまがないが、その大半は従業員の仕事ぶりや満足度、注意力とはあまり関係がないものだ。

2つめに、仕事や生産性の改善は、大規模な改革プロジェクトやコンサルタントや巨額の資金を使わなくても実行可能ということ。ちょっとしたインタベンション(介入措置)で社員の感情や姿勢に、非常に大きなインパクトをもたらすことができる。

 

SHRMの質問:世間はこうしたインタベンションを知らないのですか? それとも効果的に活用できていないのですか?

ボックの回答:それは両方だと思う。問題なのは、人事手法について興味深い研究をしている学術関係者らと、実際に企業の人事フィールドで働いている関係者らのあいだのつながりが希薄であることだ。

我々は人事を行う際に、科学に頼るのではなく、直観に従いがちだ。20~30年もこの仕事をすれば、どんな手法がうまくいくか経験的に把握できるようになる。しかしその経験値がないとしても、科学的根拠や指標に基づいて、社員や企業や人事のマネジメントができるようになれば、なお好都合ではないだろうか?

この考え方は現在まだ主流ではない。企業が経験値を集約して、科学的な手法として確立することで人事手法を改善できる余地は大いにある。

 

SHRMの質問:若年層やミドル層が次世代の仕事に備えるにあたって、何か改善できる点はありますか?

ボックの回答:その点ではいくつかできることがある。これはどの世代にも当てはまる事柄だ。なぜなら今の経済の大きなチャレンジの1つは、テクノロジーの発展で多くの仕事がなくなっており、今後もその傾向が続くであろうことだ。このトレンドは世代に関係なく影響する。

1つめに、私はキャロル・ドウェックの「成長マインドセット」という考えを大いに支持している(※)。これは何かを学んでチャレンジすることに欠かせないステップは、自分にはそれができると信じることであり、人間は誰しもその能力があるとする考え方のことだ。
(※ドウェックには著作「マインドセット:「やればできる!」の研究」(今西康子訳)がある)

2つめに、組織一般の採用判断は決して的外れではいないが、人材のポテンシャルを見極めるという点では未熟と言わざるを得ない。たとえば一般的な面接でよく問われる質問は、「あなたは以前の会社では何をしていましたか? ここでもその仕事ができますか?」というものだが、これはその人物のポテンシャルにじつはフォーカスしていない。これも改善点の1つだ。

3つめに、世間では学習やスキルに関して的外れな見解が多く流布している。ある経験から最大限の学習を効果的に得る方法は、学習の焦点を狭くしぼり、それを特定の活動やニーズに結びつけ、さらにそれを素早く強化する機会をつくることだ。

 

SHRMの質問:人事の進化の次のステージについてはどう考えますか?

ボックの回答:アナリティクスが注目されるだろう。パフォーマンス・マネジメントは本当に適切か? 企業運営は公正か? 報酬格差はないか? 社員の働きぶりには満足していても、本当に彼らのポテンシャルを生かし切っているか?――こうした質問に対して、分析的手法を利用して、科学的に答えていく姿勢が出てくるはずだ。

グーグルが持つ膨大なリソースは、誰もが手の届くものではない。だが私の著作(※「ワーク・ルールズ」のこと)を読んだり、他の企業の先行事例に倣ったり、人事関連のリソースを利用することは可能だ。これに速やかに取り組む先進的企業は成功するだろう。

しかし多くの企業はきっとこう言う。「ああ、うちの会社にはあれはできない。難しすぎる。上司は支持してくれないし、経営陣も乗り気じゃない。人手が足りないし、リスクが大きすぎる」。こうした企業は、私の考えでは時代に取り残されていく。

今は人事担当者にはチャンスの時代。10年前ならば技術上の制約により得られなかったノウハウを自分のものにして、違いを生み出すことができるはずだ。社会の様々なレベルで、10年前ならばできなかった会話が為されるようになってきた。この職業には大きなチャンスがある。変革と向上を志す人にとって、このフィールドで働くのに今ほどの好機はない。

Laszlo Bock: The Future of HR Lies with Data Science (February 13 2017)|SOCIETY FOR HUMAN RESOURCE MANAGEMENT

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