コラム

「ひとり人事」の職場改善計画


それ、ハラスメントですか?業務指導ですか?

2017.02.27

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目次
  1. これって◯◯ハラですよね?
  2. 過大な要求か?業務指導か?
  3. ハラスメント対策には、断固とした措置と教育が必要
  4. 普段からの信頼関係構築が重要

これって◯◯ハラですよね?

「これって◯◯ハラですよね?」という同意を求められることがよくあります。

ハラスメントとは、直訳すると「悩ますこと、嫌がらせ」を指します。ですから、パワハラ、セクハラ、マタハラ、モラハラ……その種類に応じて、◯◯ハラという言葉は無数に存在するといえます。ただ、具体的な行為について、何がハラスメントに該当するのかが判断しにくいため、部下がパワハラを受けることに怯える一方、上司は、自分の行為がパワハラとされることに怯える。という状況も発生しがちです。

例えば、パワハラの定義としては厚生労働省より下記のように定義されています。

「職場上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

さらに、6つの類型として下記が取りまとめられています。
・身体的な攻撃(暴行・障害等)
・精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損等)
・人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずれ、無視等)
・過大な要求(達成不可能なノルマの強制、大量の作業指示等)
・過少な要求(必要以上に程度の低い仕事を与える等)
・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること等)
※詳細は「あかるい職場応援団」参照

しかし、これらについて「業務の適正な範囲」「職場環境の悪化」とは、何がどの程度だったら「適正」で「悪化」しているのか、「過大」「過少」とはどの程度を指すのか、には絶対的な基準がありません。

ある程度の例示はありますが、時速@@Km以上で走ったらスピード違反というような明確な線引きがなく、個人の主観や価値観によって相対的に左右される部分も大きいため、例示が目の前の状況には当てはまるとは限りません。廊下でたまたま上司と目が合ったことが複数回重なったことをきっかけに、監視されている=「個の侵害」=パワハラであると訴えてくるケースもあります。

過大な要求か?業務指導か?

例えばこんな事例を考えてみましょう。

「ある営業職の上司が、部下に対していつもより大きめの目標を設定しました。目的は、部下にもう一段成長してほしいからです。彼ならきっとやり遂げられると信じていたからでもあります。しかし、部下は、自分に対して達成不能なノルマを強要されていると感じ、労働基準監督署に相談に行きました。」

さて、これはパワハラでしょうか?

もしこれをパワハラとして上司に対して「過大な要求」について焦点をあてた教育を行ったらどうなるでしょうか?会社全体としての、部下指導に対する萎縮を招いてしまうかもしれません。では部下に対して「業務指導の範囲だ」と説得を行ったらどうなるでしょうか?「会社ぐるみのパワハラ」と感じてしまう可能性もあります。これは、珍しいことではありません。

ハラスメント対策には、断固とした措置と教育が必要

では、いったい、ハラスメント対策としては何を行えばよいのでしょうか。

まずは、会社としての制度を整え、断固とした措置をとることの毅然とした方針表明や、一般的に「ハラスメント」とされるものの事例共有や教育を行うことなどは必要です。例えばパワハラであれば、厚生労働省から出されている「パワーハラスメント対策導入マニュアル」などが参考になるでしょう。

しかし、どんなに完璧な措置を行ったつもりでも、ハラスメントが「人」と「人」との間で起きる問題である以上、認識の行き違いによるトラブルの発生は防げません。皆さんは、信頼している人のことを殴りますか?罵りますか?信頼している人からの厳しい言葉を、嫌がらせ、と感じますか?「何を言われるか」より「誰に言われるか」が大きく影響を与えることもあります。それまでの信頼関係によって、同じ言葉でも効果が変わります。これは、パワハラだけでなく、ハラスメントと呼ばれるもの全般に当てはまることです。

全てのハラスメント問題がコミュニケーションの問題で解決できるわけではありませんが、判例や行政指針とのにらめっこだけでなく、一見ハラスメントとは関係のないところでの日常の人間関係の積み重ねもまた重要なのです。

普段からの信頼関係構築が重要

では、信頼関係を築くにはどのようにしたらよいのでしょうか?業務の効率化やシステム化に伴い、複数人で協力しあわなくても、ひとりで業務を行うことが可能になりつつあります。直接会話をしなくてもメールでやり取りできます。だからこそ、疎遠になりがちなアナログのコミュニケーションを意図的に発生させる工夫も必要なのではないでしょうか。

ひとり人事の立場であれば、各部署のキーマンとの日頃からのパイプを作っておくことが必要ですし、各社員同士の接点を増やす手段としては、衛生委員会のように、強制的に参加しなければならない仕組みを活用するのが有効なケースもあります。または、古典的ではありますが、小集団活動、飲み会、誕生月ランチ会、家族参加の運動会等が効果があるケースもあります。

業務遂行は効率的に。コミュニケーションはアナログに。それぞれのメリットデメリットを考慮しつつ、会社の文化に応じたやり方を、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

郡司果林(ぐんじ・かりん)(社会保険労務士) office role代表、第1種衛生管理者。日本大学卒業後にIT企業のSEとなるが、過酷な労働環境に疑問を持ち、社会保険労務士の資格を取得して外資系IT企業の人事担当に転職。10年あまり人事担当として、社内の規程整備、衛生委員会の構築運営、メンタルヘルスケア対応等を行ってきた。現在は独立し、労務相談実績1500件を超える。

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