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女性がリーダーシップ職に応募しない本当の理由

2017.02.17

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女性は経営幹部職の選考から漏れると、もう一度応募する確率が男性よりもずっと低い――ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)の研究者らは先ごろ、ハーバード・ビジネス・レビュー誌にこんな研究結果を掲載した。企業の最上層部における男女平等の実現を妨げる要素について、ユニークな分析を加えている。(以下、抄訳)

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なぜ女性はステップアップに及び腰なのか

世界の労働力の4割を女性が占めているが、上級管理職にかぎるとその割合は4分の1を下回る。しかもこの数値は過去10年で大きく変化していない。株価指数S&P500種構成企業のCEO(最高経営責任者)のうちで、女性は全体のわずか5%だ。

なぜ女性は高い地位に就けないのか? 研究者らはこれについて多くの理由(あからさま差別、男性に有利な昇進プロセス……)を指摘してきた。だが最も当惑させられるのは、「女性自身がリーダーシップ職に就くことに積極的でないこと」とLBSのレイナ・ブランズらは指摘。

人々はその原因を女性の「気質」に求める。女性はリスクを回避する、自信が欠如している、男性とは異なるキャリアパスを思い描いている……。だがブランズは、そこには異なる理由が存在する、と語る。

「失望効果」は女性により大きく働く

彼女らは、イギリス国内で経営幹部職の選考経験を持つ女性1万人に対して調査を実施。その結果判明したのは、女性は過去に経営幹部職の選考に漏れた場合、類似のポジションにもう一度応募する確率が、男性よりはるかに低いという傾向だった。男性と比較した場合、この不採用が女性にもたらす「失望効果」は、1.5倍以上大きかった。

この理由を探るためにブランズらが調査を進めたところ、女性たちが経営幹部職の採用プロセスについて共通のフラストレーションを感じていることがわかった。彼女たちは自分が選考時に最終候補まで残ったのは、「最終候補者リストに最低でも1人は女性を入れておかないといけない」という企業側の思惑、つまりいわゆるポリティカル・コレクトネスの結果だったのでは、と感じていたのだ。

この思惑が「事実であるか否かは別としても」、そうした印象を受けた結果として、女性らは同じような仕事にもう一度応募することにためらいを感じるようだ、とブランズらは言う。

「女性たちは自らの能力が劣っていると感じたのではない。そうではなく、彼女たちは自分たちは組織のトップレベルでは正当に評価されず、真に受け入れられないのでは案じた結論として、出世レースから身を引いたのだ」

単に女性たちにチャレンジを促すだけでは意味がない

これは女性たちが経営幹部職の労働市場におけるマイノリティ(少数派)としてネガティブなステレオタイプに晒されてきたことが一因だ、とブランズらは言う。その結果として、男性ならば「今回の職は縁がなかったが、またチャレンジしよう」と思える状況でも、女性たちは「自分は女性だから経営幹部というフィールドには無縁なのだ」という失望を感じてしまう。またこれは女性だけでなく、あらゆる少数派集団について言えることだ、とブランズらは指摘。

これらの結果を受けて、ブランズらは経営陣の男女比率の改善を望む企業に向けて、「単に女性たちにチャレンジを促すだけでは意味がない」と語る。

根本的な問題は、女性は経営陣に属する存在だと企業が心から信じていない、と女性たちが感じていることであり、組織自身にそういった偽善性がなくとも、女性たちが結果としてそういう印象を受け取ってしまう場合があることだ。したがって、女性たちに向けて無差別に幹部職への応募を促すことは逆効果にすらなりうる。それはより多くの女性を一度は拒絶することにつながるからだ。

必要なのは励ましよりも、脱落の防止

この解決策について、ブランズらは「採用と昇進のプロセスの公平性について真剣に検討すること」と述べる。そしてそれらが公平であると相手に伝わっているかどうかを、同じくらい真剣に考えるべきだという。

具体的には、次のような質問を自らに問う。選外となった候補者へ適切なフィードバックを与えているか? 不採用にした男性と女性はどんな(暗黙の)メッセージを受け取るだろうか? 少数派グループが見過ごされたり、軽んじられたりすると感じることがないよう、社会的なレベルでの帰属感を裏打ちするようなプロセスができているか?

これらの不備に対応していくことで、企業は女性や他の少数派集団が感じている「ガラスの天井」を壊していくことができる、とブランズらは言う。そして記事の最後で、米国で女性躍進のスローガンとなっている「リーン・イン」(勇気を持って、身を乗り出せ)という表現を揶揄してこう語っている。「むしろ性別多様性に関して重要なのは、女性の『リーン・アウト』(脱落)を防ぐことだ」

Women Are Less Likely to Apply for Executive Roles If They’ve Been Rejected Before (February 7 2017)|Harvard Business Review

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