コラム

研修マスターの6つ星“指南術”


新入社員の「初めての日」を不安にさせないようにするために、既存社員ができること

2017.02.08

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目次
  1. 新人を受け入れる「初めての日」が重要
  2. 新入社員は「歓迎されていない」という感覚に敏感
  3. 「初めての日」は会社や職場との信頼関係を決める
  4. 受け入れるためのおすすめ準備ポイント
  5. 新入社員が定着し、実力を発揮できる環境をつくる

新人を受け入れる「初めての日」が重要

アルバイト先での初日、入社式、新入社員研修、初めての職場……「初めての日」というのは、とても記憶に残りやすいようです。

私の場合、もう何十年も前になるのに今でも鮮明に覚えているのが、生命保険会社に入社し配属先の職場に初めて行った日のこと。オフィスの入り口に「入社おめでとう!」と書かれた模造紙が張られ、頭上にはカラフルな輪飾りが取り付けられており、とてもビックリしました。「あぁ、歓迎されている」と感じ、とても嬉しかったです。残念ながら私は、その会社で長くは働きませんでしたが、今でもそこで働くことができたことを感謝していますし、家族も含めてその会社の商品やサービスを利用しています。

新入社員は「歓迎されていない」という感覚に敏感

反対に、「歓迎されていない」と感じた体験もあります。それは、チェーンの飲食店でのアルバイト初日のこと。店長から「今日からがんばってね」と声をかけられ、「うちでは、会社のことをよく知ってもらってから仕事をしてもらうから、まずはこの休憩室でビデオを見てくれるかな。大体30分ぐらいのビデオだから見終わった頃にまた来るよ」。店長は、それだけ伝えて去っていきました。

ビデオを見ていると、1人の女性が現れました。「あら、あなたね、今度の新人さん。よろしくね」「でもいつまで続くのかしらね~」と、私に言っているのか独り言なのか、か細い声でつぶやき、タバコを吸い終わるとすぅっとお店に戻っていったのでした。私は(えっ、何今の?)と、頭が真っ白になり、ビデオはそこから上の空。その後、店長の指示で店内へ。すると、店長がいなくなるや否や先ほどの先輩以外も「邪魔よどいて!」、「そこ、私が通るから!」と、どう考えても「コイツに来て欲しくない」という態度を示され、私は翌日そのお店を辞めたのでした。この出来事は30年前ですが、今でもありありと当時のシーンが思い浮かびます。そして、そのチェーンの飲食店にはよほどの理由(そこしか店舗がない場合など)がない限り、利用していません。

「初めての日」は会社や職場との信頼関係を決める

この出来事から私は、採用後「初めての日」というのは、その会社や職場との信頼関係を決める大事な日ではないか、と思うようになりました。そして、その関係は生涯続くと思っています。

その上で事例を見ると、例えばアルバイト希望者が多く、離職率が低いことで有名なスターバックスでは、アルバイト採用後80時間の研修が用意されています。研修は、理念や業務を学ぶということが主のように見えますが、実は、会社との信頼関係を築く場でもあるのではないかと思います。

このように捉えてみると、新しい社員を受け入れるときは「初日」の準備をしっかりするかどうか。これが、社員のその後の成長や定着に影響するのではないでしょうか。

受け入れるためのおすすめ準備ポイント

さて、それではどのような準備が効果があるか、おすすめの準備ポイントを3つご紹介します。

準備ポイント1.ウェルカムメッセージ

1つ目は、「ウェルカムメッセージ」です。模造紙、サイン帳程度の大きさの紙への寄せ書き、メッセージカードなどに「ようこそ!」「これからよろしく!」「一緒にがんばろう!」といった気持ちを伝える。これは、多くの職場が取り入れ効果を上げている方法です。

準備ポイント2.メンバーへのヒアリング

2つ目は、「初めて職場に来た日に困ったこと」を今のメンバーにヒアリングし、それを解消することです。例えばよくあるのは、休憩の取り方、トイレや自販機の場所、お昼をどうするか、服装など、自分から切り出しにくい話題です。もし、「自分から聞ける人に育てたい」ということであれば、聞きやすい関係をしっかり築くためにどうするかを考えておくことが必要でしょう。参考までに私が近年入社した新入社員にヒアリングしたところ、「帰るときに、どう言っていいのかわからなかった(「お先に失礼します」がOKで、「お疲れ様でした」がNGを知らなかった)」や、「歓迎会の翌日、どうお礼を伝えればいいかわからなかった」といった意見が複数ありました。社会人経験がある人にとっては「あたりまえ」のことも、初めて社会に出るとわからないことも多いということを知っておきましょう。

準備ポイント3.コミュニケーションのタイミング

3つ目は、コミュニケーションのタイミングを伝えておくこと。最初はわからないことだらけで不安です。しかし、質問や確認できるタイミングがわかっていれば「やってみよう」という気持ちになります。気持ちを前に向けていくこと、これができると、仕事に意欲的に取り組んでいってくれることでしょう。

新入社員が定着し、実力を発揮できる環境をつくる

雇用環境が改善した影響もあり、以前に比べ離職率も高くなりつつあります。さらにこれからは高齢化が進み、若手の採用は難しくなると言われています。そうなると、採用した人が定着し、実力を発揮できる環境を提供できるかどうかが、マネジメント上の大きな課題となっていくのではないでしょうか。

そうした課題に向き合い「あの会社に入りたい」と言われる会社がやっていることは、一人一人のちょっとした気遣いです。新しい仲間に「ようこそ」という気持ち、伝える工夫をしてみませんか。


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執筆者紹介

原田由美子(はらだ・ゆみこ) (Six Stars Consulting 代表取締役) 大手生命保険の営業職を経験後、人材育成コンサルティング会社にて研修企画および営業部門の責任者として活躍。その後、将来のマネジメント職やリーダー育成のためのSix Stars Consultingを設立。代表取締役に就任。大手企業の部門内教育や中堅企業の教育体系およびアクションラーニング型のプログラム開発を得意としている。東京および横浜商工会議所では、リーダーを対象とした研修を担当。

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