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旧来の「リクルーティング」から新時代の「タレント・アクイジション」へ―全米人材マネジメント協会

2017.01.05

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全米人材マネジメント協会より、「成熟した人材部門はデータを活用して、将来のニーズを予測する」と題した記事を紹介する。著者は人事専門家のロイ・マウアー。

自社が求める人材を明確に定義し、その効果的なリクルーティングを目指して企業ブランドを設定し、入社後も様々な指標で採用パフォーマンスを評価し、未来の人材ニーズ予測に役立てていく―――「タレント・アクイジション(TA)」と呼ばれるこうした総合的な人材戦略を構築する方法について、専門家が解説を施している。(以下、抄訳)

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コンサルティング会社バーシン・バイ・デロイトの調査によると、成熟したタレント・アクイジション(Talent Acquisition=TA)機能を持つ企業は、従来の受け身の採用プロセスを利用する企業と比べて、企業収益や採用パフォーマンス指標において格段に優る。

同社のTA研究責任者を務めるロビン・エリクソンは、TA機能を最適化するためには4つの成熟段階がある、と語る。TA成熟度が最も低いレベルにある企業では、統合性と一貫性に欠けたリクルーティング手法に頼る一方で、最も成熟したレベルにある企業では、進化したTA機能が「事業の戦略実現要素」として捉えられる。

バーシン・バイ・デロイトが、世界の様々な規模の企業297社を対象にした調査では、TA機能の各成熟度段階に属する企業の割合はそれぞれ、レベル1が35%、レベル2が29%、レベル3が23%、レベル4が13%だった。

高いレベルにある企業ほどTA機能への積極的な投資を行っており、その結果として様々な採用パフォーマンス指標が優れている。たとえばレベル4の企業では、レベル1の企業と比較して、キャリアサイトへの投資額が約50%多かった。またレベル4では新入社員の離職率が10%、募集から採用までの平均リードタイムが44日だったのに対して、レベル1ではそれぞれ17%と55日だった。

エリクソンによれば、企業の規模とTA機能の成熟度に相関関係はない。小規模でも成熟したTA機能を有する企業もあれば、その逆もしかりである。

エリクソンはTA機能の4つの成熟度段階について、下記のように定義している。

レベル1:リアクティヴ(Reactive:受け身)

TAプラクティスがレベル1の企業の大半は、いわゆる「ポスト・アンド・プレイ(post and pray)」、つまり「求人広告を出して、人材が集まることを祈る」という手法を採用している。こうした企業では、人事ジェネラリストが、他の職責と並行してリクルーティングを行う。この段階にあっては、リクルーティングは多くの場合「自動的」で、「ポジションに空きが出たら、新たな人材で埋める」という受け身な形式をとる。

「各部署の採用責任者は人事に欠員補充を丸投げし、一方でリクルーターは履歴書の山をふるいにかけずに人事に押しつける」とエリクソンは指摘。

「TAに関連した全組織的な標準や戦略は存在しない。応募者の管理にいまだにエクセルを利用している企業もある。ツールやシステムは、部署単位で別々に購入される。私がインタビューしたある企業では、6つの異なる応募者管理システムを使用していた」

レベル2:スタンダーダイズド(Standardized:標準化)

レベル2の企業では、タレント・アクイジションの重要性をある程度認識している。TAテクノロジー戦略を構築し始めており、組織全体で採用プロセスが標準化されているケースが多い。

ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)は明確に定義され、企業ブランディングのマネジメントも向上している。「このレベルのリクルーターは、人材パイプラインの構築や、各部署の採用責任者や経営幹部との協調に力を注ぎ始めているかもしれない。しかし真に統合化されたシステムはまだ使われていない」

レベル3:インテグレイティッド(Integrated:統合化)

レベル2からレベル3への飛躍は最も難しく、テクノロジーへの大規模な投資と社内関係の強化が必要とされる。

レベル3の企業では、力強い企業ブランドを設定し、TA機能を他の人事プロセスと統合し、TAテクノロジー戦略を明確に構築している。採用候補者関係管理(※)や、ソーシャルメディア・サーチ、ビデオ面接プラットフォームなどの最新のテクノロジーを導入している。
(※Candidate relationship management:候補者関係管理の意。採用候補者との関係性をデータベース化して活用していく手法のこと)

このレベルでは、「経営陣が人事の積極的な変革を支援し、リクルーターは率先して企業ブランドを育成する役割を担う」とエリクソンは言う。

「ソーシャルメディアを使った人材ソーシング、従業員レファラル(紹介採用)プログラム、地域に密着したコミュニティ・リクルーティングなどがすべて整備されている。採用責任者はデータを活用してリアルタイムの成績を提供し、従来とは異なる新たな主要業績評価指標(KPI)を定義する」

レベル4:オプティマイズド(Optimized:最適化)

レベル4の企業では、TAシステムが人事機能と完全に統合され、全組織的なTAテクノロジー戦略が整備され、それらが定期的にアップグレードされる。このレベルのTA機能を維持するのは、リクルーターのトレーニングへの投資も含め、多くの労力とコストを要する。

「レベル4のTAでは、この段階まで開発を進めてきたすべての積極的手法が組み合わされるため、未来の人材ニーズを事前に予測し、意思決定を向上させることができる。この時点まで達すれば、超一流の人材のリクルーティングが可能となるほか、魅力あふれる企業ブランドを発信し、すばらしい採用候補者体験を提供することができる」

エリクソンは、TA機能の成熟度を高めるヒントして、以下のアドバイスを挙げている。
・企業の目標に対して批判的理解を示し、事業運営に積極的に参加していく。
・損失緩和のために将来のニーズを予測すると同時に、敏捷性を維持する。
・有意義なデータの収集・分析を行い、採用パフォーマンスを評価し、タレント・アクイジション戦略の手引きとする。
・リクルートメント・テクノロジーへの先行投資を行う。

Mature Talent Functions Use Data, Forecast Future Needs (December 15 2016)|SOCIETY FOR HUMAN RESOURCE MANAGEMENT

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