「ひとり人事」の職場改善計画
「口コミ」時代の人材獲得…現社員の満足度を高めて採用力を上げよう!
2016.12.26
人材採用や人材流出に関するご相談は増えるばかりです。
人材定着のひとつの手段として、以前に「就業規則で人材定着」というお話をさせていただきましたが、現実には、「そうはいっても運用がうまくいかない」「労基署がこなければコンプライアンスは後回し」というケースもあるでしょう。そんな場合は、認定取得を目指してみてはいかがでしょうか?
仕事を探している人は、応募しようとする会社が、いわゆる「ブラック企業」でないかどうかを非常に気にしています。就職活動における会社選びも食べログ化(=ネットの口コミによって企業を判断すること)しています。だからこそ、国のお墨つきをもらってアピールしたり、現社員の満足度を上げて社員口コミサイトの上位を狙ったりするなどしなければなりません。
アピールに効果的な認定とは
従業員の働く環境や、人材活用の仕組みを整えることによって取得できる認定で有名なものとしては、たとえば下記のようなものがあります。
・安全衛生優良企業認定(https://goo.gl/jsYTjS)
労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組んだものとして、厚生労働省から受ける認定。
・ユースエール(若者雇用促進法に基づく認定)制度(https://goo.gl/7Y1gaq)
若者の採用・育成に積極的、かつ状況が優良な企業に厚生労働大臣から与えられる認定。
・くるみんマーク(https://goo.gl/0pjEhJ)
「子育てサポート企業」としての厚生労働大臣の認定。
これらの中でも、おすすめしたいのは「安全衛生優良企業認定」です。以下、この認定制度がおすすめである3つの理由を紹介していきます。
「安全衛生優良企業認定」がおすすめである3つの理由
1つ目は、全従業員への取り組みを対象としたものだからです。「ユースエール」や「くるみん」もすばらしい取り組みではあるのですが、若者や子育て世代などに焦点が当てられているため対象となる従業員がいない、または層として少ない場合は馴染みません。企業文化によっては、かえって反発を招いてしまうこともあります。しかし、安全衛生の取り組みであれば、年齢、性別その他の属性を問いません。
2つ目は、認定取得の評価項目の内容には、コンプライアンスを前提とした社員の労働環境改善に関するものが多く含まれるからです。たとえば、「従業員の労働時間をタイムカードなどで適正に把握する」ことや、それを「管理者が理解して改善の取り組みを行う」ことなどは、認定取得を目指そうが目指すまいが「いつかはやらなければならないこと」です。すなわち、企業からみれば、普段からコンプライアンスに基づく労務管理をしていれば、比較的取得しやすいものとなりますし、そうでない企業にとっては、認定取得を目指すことによって、結果的にコンプライアンスに基づく労務管理の実現が可能になります。労働時間を把握するために勤怠管理をシステム化しよう、といった話も進めやすくなります。
3つ目は、衛生委員会を使って、全社を巻き込んで認定取得の取り組みを行うことが可能だからです。たとえば、認定取得の評価項目として掲げられている「過重労働防止対策の計画を策定、実施しているか」「メンタルヘルス対策を推進するための計画を策定、推進しているか」などは、まさに衛生委員会の審議内容とも重なります。
優良企業認定取得の効果は?
認定取得の大きな2つの効果は、「求職者へのアピール」「職場改善による在籍従業員の人材定着」でしょう。
認定を取得すると、厚生労働省のサイトで企業名が公表されます。また、認定マークの使用が許されるため、名刺、自社HPに掲載するなどにより、優良企業であることを効果的にPRすることができます。求職者は、必ずWeb上でチェックしてから応募してくると考えた方がよいでしょう。Web上に認定マークがあれば、求職者に対して大きなアピールが可能です。いい人材は、いい会社に集まります。
また、安全衛生への取り組みを通じて、「残業を減らす」「有給休暇の取得率を上げる」などの現実的な変化が生まれれば、現在いる従業員にとっても「いい会社」になっていきます。そしてどんどん居心地がよく、働きやすい職場になっていくのです。小手先だけの人材集めに留まらず、真に社員が能力を発揮し、人材が定着する会社になっていきます。
まとめ:認定取得を目標に全社的な取り組みを
やらなければならないことは分かっているけれど、なかなか進まない、上司や会社を説得できない、ということもあるでしょう。そんな場合は認定取得という具体的な目標を掲げると、全社を巻き込んでの活用に取り組みやすくなります。「採用力向上」と「人材定着」をキーワードに、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
執筆者紹介
郡司果林(ぐんじ・かりん)(社会保険労務士) office role代表、第1種衛生管理者。日本大学卒業後にIT企業のSEとなるが、過酷な労働環境に疑問を持ち、社会保険労務士の資格を取得して外資系IT企業の人事担当に転職。10年あまり人事担当として、社内の規程整備、衛生委員会の構築運営、メンタルヘルスケア対応等を行ってきた。現在は独立し、労務相談実績1500件を超える。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
コラム
元DeNA人事による「採用の現場」論
「ダイレクトリクルーティング」で候補者の入社動機を高める3つのポイント
core words株式会社CEO/Creative Directorの佐藤タカトシと申します。企業のダイレクトリクルーティングと、採用ブランディングの支援業務を展開しております。...
2016.12.02
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第3回
シニア人材の活躍事例――これまでの人生経験を生かす
シニア層の活躍: 未経験業界への挑戦第1回は、シニア層の就業実態および意識をシニア個人と企業双方の視点からお伝えし、第2回では、積み重ねたキャリアで得たスキルや専門性を生かして生き...
2023.08.25
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第2回
シニア人材の活躍事例――これまでのキャリア・専門性を生かす
シニア人材の採用と活躍:スキルと経験を生かす方法第1回では、リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター』が実施した「シニア層の就業実態・意識調査(個人編・企業編)」をもとに...
2023.08.18
-
コラムニュース・トレンド
「人的資本経営」の実践のポイント 第4回
人的資本経営の実践に向けて――マネジャーのリスキリング
人的資本経営の実践の要となるミドルマネジャーの「リスキリング」に注目本連載では、人的資本経営の実践のポイントとして、「人的資本の情報開示」「人事部の役割変化」「ミドルマネジメントの...
2023.08.10
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?